新潟明訓合宿日記

東京学館新潟グランド

 

8月17日(土)

 3年ぶりに明訓合宿に行くことになった。昨日の菅生戦を井越は6回を0点に抑え、勝ちたかったが今日の明訓戦に備えリリーフを送り、見事逆転され4−2で負けた。それくらい今日の試合に選手も監督も燃えている。

 朝、6時に日野高に集合し大型バス1台で新潟に向けて出発。昨日遅くまで試合をしたばかりだというのにみんな元気がいい。特に井越、元気を通り越してうるさい!バスの後ろに陣取って、騒がしい。寡黙な青松と違って今度のエースは1人でお祭り騒ぎをするタイプ。まあ、個性といえば個性だが・・・。

 高速道路に入って1時間もすると急に静かになった。ふと後ろを見ると全員寝ている。やっぱり疲れているなと感じる。後、3時間もすると第一試合が始まる。今日の1試合は長岡商業だ。監督の恩師の柴山先生率いるチームには負けられない。監督を退いたが今日の試合は指揮をとるそうだ。

 10時半にグランドに着いた。懐かしい香りがする。明訓のグランドはさほど変っていないがバックネット裏の観客席に屋根がついた。ぬれないし、涼しいし実にいい。特に今日は涼しい。さいきん30度くらいでは涼しいと感じるのだから8月上旬の東京は狂っていた。

 いよいよ長岡商業との第一試合。先発は2年の川瀬。実は1年生ピッチャーの高岸、三浦は肩痛とわき腹の痛みで戦線離脱。使えない。ここは他のピッチャーでどうしても頑張ってほしい。ところが川瀬が1,2回に打たれて5点を献上。つらい試合展開になった。しかし、初登板の日野が見違えるような投球を見せて長商打線を抑えていく。聞くところによると何でもお父さんに教わったそうだ。いいお父さんを持っている。さらに、宮本が超スローボールを駆使してこれまた抑えていく。よく工夫して努力のあとが見える。驚いた。そうこうしているうちに逆転して9−6になってしまった。残すは9回表だけ。勝ちが見えてきたがあせった宮本がヒットとエラーで点を返されさらに江川が打たれてなんと4点取られ逆転されてしまった。むこうの打線の気迫と根性と監督の激がすごかった。野球は技術じゃないといわんばかりだった。結局10−9とひっくり返されてしまった。

 さて、休憩もそこそこに第二試合が開始。春はうちが明訓に大差で勝っているから今度は完璧なベストメンバーでした。井越はうれしくて気合が入りすぎて立ち上がりいきなり連打されありゃりゃという感じ。それにしてもカミソリのような鋭い打球を打たれ格の違いを見せつけられましたが、5回以降監督の緩急をもっと使ってのアドバイスから0点に抑えたのはすごい。打線はエースに完璧に抑えられた。確か春は打ち込んだ投手だったのに別人のようでした。あんなにブレーキのあるカーブを見たのはうちの選手は初めてでしょう。そういう意味ではいい経験をしました。結果は7−0でしたがいいゲームでした。

 夜はあちこち監督コーチが集まって宴会が始まった。東京のお店では味わえないようなすごい料理と飲み物で歓迎を受けたが、なんといっても一番の魚は9回の逆転劇でした。監督はつらいね〜。思いっきり言われてました。勝てば官軍の世界ですから負けるとボロボロ。最後は”ヤッパ負けたらいかん!”でした。

 

明訓監督の指導を受ける選手たち

 

8月18日(日)

 二日目は東京学館新潟とのWです。昨日とうってかわって夏の暑い日ざしがぎらぎらしてきました。ここは甲子園にはまだいってないが準決勝までいったことのある、いわゆるスポーツ学校です。日本文理、明訓にはとどかないが実力のあるチームです。昨日井越が完投しているので他のピッチャー総出の戦いになります。

 一試合目は2年生江川の先発。頑張るのだけどどうしても打たれてしまい序盤3点を取られた。次は昨日好投した宮本。今日も連打されることなくのらりくらりと打ち取って大量点をやらず。終盤わき腹の痛みをおして三浦を登板させるがちょっと無理。結局8点取られる。打線は終盤3点を返すのがやっと。8−3で負け。でも大量点をやらず辛抱しました。

 二試合目は初回に3点を取りなんとかなりそうかなと思ったその裏、先発川瀬が打たれて一挙5失点。3回にも6点取られて一方的に。四球で崩れたわけではないので何でそんなに打てるのか不思議でした。後は日野につないだが最後こらえきれずに結局16−5の大敗でした。

 がまんと辛抱の1日でしたが井越が投げなくても何とかゲームにする工夫が分かった気がします。特に1年生何人かの活躍が目を引きました。それにしても、明訓にしろ、学館にしろよく打ちます。何とかこの打法を身につけて帰りたいなあ。守りもほぼ完璧ですからつけいる隙がありません。こういう野球がしたい見本のようなものです。

 今日はこれで終わりと思いきや、明訓グランドに帰って練習です。明訓監督自ら手取り足取り選手は教えてもらいこんなにしてもらえる選手は幸せだなあと思います。今回は特に内野の守備についての違い、基本を分かったことでしょう。後は選手が自分で工夫してやるだけです。このことを絶対に忘れてはなりません。

 夜は明訓、村山、日野の監督コーチで盛り上がりました。いつもながら明訓の監督から色々有意義なことを教えてもらい早速明日から練習です。新潟に来て4連敗。何とか明日は勝って気持ちよく東京に帰りたいものです。

 

夜間照明の中練習する日野、村高の選手たち

 

8月19日(月)

 いよいよ合宿最終日、朝食をとってさあ行こうと思うのですが、みんな食べない食べない。おかわりするのは数えるほど。小食すぎる。残す子もいる。これでは太るわけないなあ。好き嫌いが激しいのか、間食してしまうのか、これでは筋肉つかない。横川が懐かしい。何杯食ったか分からないほど食っていた。夕食を見ていないので分からないが多分にたりよったりでしょう。

 さあ、午前中に新潟向陽とやって帰ります。はじめてやる県立高校ですが、数年後に隣に明訓高校が移転する計画があり親しくなったそうです。のどかな田んぼの中にある学校という感じでのほほんとしています。部員が少なくて20人いないかな。それでもきちっとテントを張ってくれていたりグランド整備も行き届いていました。特筆すべきは3年前に選手全員で内野の土を黒土にしたそうです。外野は黄砂のような砂地ですが(これでもうちよりいい)内野は3cmほど掘って黒土を入れて整備したそうです。素晴らしい。50万で出来たと聞いてがぜんやりたくなってきました。やっぱりいいな〜黒土は。

 試合は序盤から今までのうっぷんを晴らすように打線が爆発して21点を取って勝ちました。井越は完封こそ逃しましたが2失点で完投しました。これで気持ちよく帰れます。最初にバスを出迎えてくれた選手は両方松葉杖で両足が使えない(多分小児麻痺)だったと思いますが、ボールを集めたり本当にこまめに動いてました。身体全体から野球がすきなのが伝わっていました。打ったり守ったり出来なくても野球にかかわってみんなの役に立ちたいという思いは非常に強いものがありました。最後に見送ってくれたときの笑顔も忘れられないものになりました。

 今回の合宿で選手は何かを感じてくれたと思います。それを今後どうつなげていくかだと思います。練習試合でそれをみたいな〜。帰りのバスでも相変わらす井越はうるさかったけどすぐみんな爆睡していました。途中、甲子園の野球中継をやめてまでも見たビデオ、モーニング娘の”ピンチランナー”は最○でした。ああいうのやめてくれ〜。おねがい。