2008年 秋季大会

本大会1回戦 対 安田学園

 
安田学園 12
日   野

 

 6年ぶりの神宮第二球場での本大会1回戦は安田学園に決まった。6年前は青松、横川のバッテリーでベスト8に進出したいい思い出がある。今日もぬけるような青い空で試合は始まった。どんなチームかわからないので立ち上がりが大事だ。

 初回、安田学園の攻撃、1番を三振に打ち取り、2番を初球ライトフライに打ち取った。蓑田にしてみれば幸先のいいスタートだ。だが、3番を迎えライトに特大のファールを打たれた。明らかに動揺している。粘られ結局レフト前に持っていかれた。かなりいい3番打者だ。しかし、4番のワンスリーからの盗塁は小林が刺してチェンジ。フー。何とかなった。

 その裏の日野の攻撃は、さすがにもうヒットはないだろうと思っていた櫻井が期待を裏切るきれいなレフト前ヒットで出塁した。すごすぎる。5試合連続先頭打者ヒット!なおも、すかさず盗塁を決め坂田の送りバントで3塁へ。ワンアウト3塁の絶好のチャンス。3番長瀬、4番豊田と続くので1点はもらったと誰しも思った。が、いつになく長瀬が緊張しているようだ。シニアでの経験も豊富のはずだが、バットとボールがとんでもなく離れている。いくらうちの苦手な左投手だからといっても当たらない球ではない。しかし、空振り三振。信じられない。続く豊田のバットも空を切る。三振。ありえない。所詮まだ1年生というところか。この初回のチャンスを逃したのは痛かった。

 2回表、先頭4番の初球ストレート。外よりの高めに投げた球は鋭く振り抜かれあっという間に左中間スタンドに突き刺さった。ホームラン。明らかに蓑田は動揺してちじんでいる。しかし、後続を3人で打ち取った。調子は悪くはないが少し高めに浮いているようだ。
 
 さあ、こうなったら反撃だ。その裏、小林がファーストエラーで出ると、藤巻が何とか送り、7番岩崎の初球、左対左を苦にせず左中間を破る2塁打。やりました。同点です。続く渡辺も1,2塁間を抜き逆転。蓑田レフトフライの後、1番に帰って櫻井は四球。ここでピッチャー交代。よし、エースを引きずりおろした。が、出てきたのはまた左投手。球も速い。こっちがエースかな。さらに坂田は飛距離十分のファールを打つが結局デッドボール。あれが入っていたら。しかし、満塁で長瀬。初回の借りを返してもらおう。いつもの長瀬なら何とかしていたはずだがショートフライ。あー残念。まあ、逆転したからいいか。点取れそうだし。

 【魔の3回表】 先頭の8番がセンターフライを打ち上げてくれた。ラッキー。あっ、センター渡辺が人工芝に足をとられて滑ってこけた!あわてて前に突っ込んだらボールが高く跳ねて後ろに。2塁打にしてしまった。なんというアンラッキー。しかたない。バントで送られ、1番のショートごろの間にランナーが返って同点。しかたないか。2番にはストレートのファーボール。えっ、ツーアウトだからここで踏ん張らないと。なんだか蓑田がおかしくなってきた。3番にはレフトライン際に打たれた。藤巻が飛びつくが取れずに長打になってしまった。逆転。明らかに気落ちしている。4番には今度はスライダーを狙い打たれ2打席連続のホームラン。すごいバッターです。5番にもストレートの四球。6,7番にも打たれ悪夢の6失点。ここでようやく渡辺にスイッチ。センターとピッチャーが入れ替わりました。渡辺は8番をショートゴロにしとめようやく長い3回が終わった。野球の怖さを知りました。足が滑っただけで6失点ですから。でも、ツーアウトから守りきれない弱さを露呈してしまった。

 こうなったら打撃戦に持ち込むしかない。だが、代わったピッチャーのストレートと落ちるシンカーかツーシームがなかなか捕らえきれない。微妙に芯を外されている。ヒットも出るが点差があるのでバントも出来ずに得点できない。6回まで無得点。安田打戦も代わった渡辺にまったくタイミングが合わず、7回まで完璧に抑えた。

 7回裏、日野の攻撃。やっと長瀬がボールを捉えレフト前のヒット。遅い。4番豊田に代わって代打1年の菊地(お兄ちゃんは夏の中軸打者でした)。長打力と思い切りのいいスイングが持ち味。ワンストライクからの2球目を見事に捕らえ左中間2塁打。やっと1点返した。続く小林のセカンドライナーがエラーになり、藤巻のショートゴロでランナーが返ってもう1点。しかし、後続が続かず2点どまり。何とか7−4まで持ってきた。あと3点。

 だが、8回表。何とかここまで好投してきた渡辺だが、5,6番に連続ヒットを打たれ7番にはピッチャー前にうまいバントをされノーアウト満塁の大ピンチ。8番の初球がデットボ−ルになり押し出しで1点。9番はしめたと思ったセカンドゴロを坂田が余裕を持ちすぎてホームセーフ。アウトに見えたが・・・。1番に帰って浅いセンターフライ。蓑田の前に落ちた。タッチアップにいっていたランナーがホームに来る前に蓑田の好返球がストライクでホームホースアウト。珍ファインプレーでツーアウト。2番ショートゴロでチェンジ。せっかく取った2点を返された。9回にもヒットとエラーで3点を献上。

 最終回。ヒットで出るも代打1年の鈴木(翔)のセンター前ヒットで1点を返すのがやっとでした。結局12−5。完敗でした。手も足も出ない試合ではなく、勝つチャンスもありました。流れをこっちにもって来れずに突き放されたのは安田学園のうまさでした。

 本大会で勝つことの厳しさを知ったと思うし、まだまだ力が足りないこともわかったと思う。いい経験をしたのだから一人一人が反省して来年につなげてほしい。期待しています。たくさんの応援本当にありがとうございます。来年に向けてさらに選手はがんばっていますので更なる応援お願いいたします。

渡辺

坂田

長瀬

菊地

写真提供 青柳氏

 

 

第9ブロック決勝 対 玉川学園

 
日   野
玉川学園

 

決勝の相手は八王子実践でも明法でもなく玉川学園になった。どこも素晴らしいピッチャーを持っていた。決して侮れない相手だ。多分、初対戦です。天気もよく絶好の決勝戦日よりです。

日野の先行で始まった初回、これで4試合連続ヒットとなる3塁打を櫻井が打った。恐ろしい1年生だ。しかし、2番の坂田はサードライナーになり、飛んだコースが悪くゲッツーになってしまった。長瀬セカンドゴロでチェンジ。その裏,玉川学園の攻撃はやはり先頭がいきなり2塁打を放った。しかし、蓑田はバントをサードで殺し、3番をショートゴロで2封し、さらにショートゴロで0点で切り抜けた。

 2回表、豊田がレフト前にヒットを打つと小林が初球をショートゴロでセカンドアウト。小林スチールのあと藤巻は三振だが3塁へ進み、岩崎の初球キャッチャーパスボールで1点。岩崎左中間に2塁打を打つが渡辺サードフライでチェンジ。まず1点先行。3回は長瀬のセンターオーバーの2塁打で1点追加。5回は四球を挟み渡辺、櫻井、坂田、長瀬の4連打と藤巻の左中間2塁打で5点を取り、試合を決めた。

 しかし5回裏、気が抜けたのか蓑田はヒットとファーボールで1死満塁とし、初回に2塁打を打たれた1番にレフト前に運ばれ2点を返された。しかし、日野は7回豊田のヒットと小林の犠牲フライで2点を返し9−2とした。蓑田は6,7回を何とか切り抜けゲームセット。7回コールド。やりました。横川の時以来の6年ぶりのブロック優勝です。1年生の多い新チームで不安もいっぱいでしたがここまでやるとは立派なものです。

 久しぶりの本大会。頑張りましょう。

 

第9ブロック準決勝 対 成蹊

 
成    蹊
日    野

1×

 

 ブロック準決勝の相手はやはり会場校の成蹊になった。2年前の夏と大昔の夏の大会でやられている。絶対に勝ちたい相手だ。天気予報では午後から雨が降ることになっているので何とかこの試合は出来るだろう。だが、空はどんよりと暗い。

 初回表、成蹊の攻撃は1,2番がセカンドゴロ。坂田が難しいゴロをさばいてアウトに。ファインプレーでした。続く3番のサードゴロを今日は岩崎が確実にアウトにし、いい流れを作った。その裏日野の攻撃は、先頭櫻井の3試合連続のレフト前ヒットで出塁。なんだかこれがうちのパターンになってきた。坂田が確実に送ろうとした初球が頭にデッドボールになり、臨時代走。今日の坂田は大当たりだ!長瀬の送りバントはピッチャー前になりサードアウト。へた。しかし、牽制暴投で2,3塁に進んだ。チャンス。だが、4番豊田は浅いレフトフライでツーアウト。成蹊の投手も切れのいいストレートを投げてくるのでこのまま点にならないかと思ったが、5番絶好調男の小林がレフト前にヒットし2点を先制できた。

 先発蓑田は2回に3本のヒットを打たれて1点取られるが、その後7回までエラーと四球が絡んでいたがノーヒットに抑えて好投した。日野の攻撃は4回に押し出しで1点。7回には長瀬の3塁打と豊田、藤巻のヒットで2点を入れ、この時点で5−1とリードし、今日の蓑田の投球を考えると楽な展開になって来た。

 しかし何が起こるか分からないのが高校野球です。4回頃からなんとなく小雨になって来た雨は7回ぐらいからかなり降り始めてきた。7回を終わっているので試合は成立していたが8回表、今まで好投してきた蓑田はついに指先からボールが滑り出して投げられなくなってきた。ファーボールとヒットを重ねられ2点を取られ5−3になったところで試合中断。土砂降りになってきた。30分くらいで少し小降りになってきたのでグランド整備が行われ試合再開。ショートゴロに抑え、何とか2点に収まった。その裏うちも四球とバントヒットと併殺崩れで1点を取った。

 いよいよ最終回。土砂降り。こうなると点差なんか関係なくなってくる。ほとんどストレートはスローボールのようになっている。野手は足を取られて動けない。ツーアウトを取りながらもやはりヒットと四球を絡められ3点を取られてしまった。6−6の同点だ。しかし、よく同点で収まったものだ。蓑田はよく腐らず投げました。まじめな性格でよかった。

 最終回裏、こういう状況ではうちも打ちません。先頭小林が四球を選び、藤巻は1,2塁間のヒット。このころには野手はまったく動けない状態です。岩崎はピッチャー前のバント。もちろん投げても暴投でノーアウト満塁。成蹊は絶体絶命のピンチ。うちは最高のチャンス。8番渡辺はまったく打つ気なくストレートのファーボールでゲームセット。勝ちました。というよりも負けなくてよかった。この展開で負けたら悲しすぎるところでした。何とか成蹊にリベンジ出来ました。

 こういうゲームはしたくてもなかなか出来ません。雨の日の戦い方を経験出来ました。実際にこういう事は夏の大会でもあります。点差はまったく関係なくなってしまいます。いい経験が出来たのではないでしょうか。これで春季大会出場が決まりました。あとひとつ勝ってブロック優勝だ!

蓑田

小林

 

第9ブロック2回戦 対 高島

 
日    野
高    島

 

 2回戦の相手は高島。春のブロックで戦うはずだったがやはり縁があるらしい。簡単にはいかないだろう。初回、先頭の櫻井がまたもセンター前のヒットで出塁すると坂田は送って長瀬は死球。豊田が四球のあと5番小林がライトオーバーの2塁打。あの体のどこにそんなパワーがあるのだろう。よく振れている。またしても2点先取したが続く藤巻、岩崎がレフトフライでチェンジ。

 その裏、蓑田は立ち上がりを攻められ1,2番にヒットを打たれピンチ。だが、フィールディングのいい蓑田はバントを体勢が崩れながらも三塁でアウトにした。やります。4番を三振に取り、何とかなるかなと思ったら、次打者の簡単なサードゴロを岩崎が大暴投。振り出しに戻ってしまった。緊張しすぎ。その後蓑田は立ち直って5回まで0点に抑えたが、岩崎はサード前に簡単にセフティーバントを決められたり、7回には2度目のエラーをして今にも泣きそうになってしまった。厄日でした。

 日野の攻撃は毎回のようにランナーを出すが得点できずイライラしたが、4回、打順よく1番の櫻井が四球を選びパスボールで2塁へ。坂田が送って3塁へ。長瀬の時にキャッチャーがはじいてほんの少し球を見失った隙に櫻井がホームに突っ込み逆転。素晴らしい走塁でした。長瀬が歩き、今度はディレードスチールで2塁へ。豊田の犠牲フライで3塁へ行くと、またも小林がライトオーバーのヒット。3塁へ走ったが、中継がよくアウトになってしまった。でもこの打球エンタイトルで、ネットに当たりツーベースのはずだったがアピールが遅いといわれそのままになってしまった。しかし、4−2にした。

 6回表、ツーアウトから坂田がバントヒットで出塁し、長瀬が左中間にヒットを放ち坂田は3塁まで行き、カットプレーでショートがセカンドにふわっとした球を投げた瞬間を坂田は見逃さず一気にホームへ。最高の走塁で坂田はは1点をもぎ取った。普段の練習の成果が出た場面でした。この一点は重かった。その裏、3本のヒットと犠牲フライで2点を失ったからだ。

 8回裏には先頭にヒットを打たれ四球、三振でワンアウト1,2塁のピンチに岩崎に代わってサードに鈴木(翔)が入っていた。そのサードに強烈なゴロが来た。グラブで弾いたがすかざすセカンドに投げゲッツーを取った。出来そうで出来ないファインプレーだった。チームを救い、試合を決めるプレーでした。

 7,8回はさすがに2年生の渡辺、蓑田、小林で3点を取って結局8−4で勝ったが、この試合はなんといっても走塁で勝った試合でした。全員が走れるともっとすごいチームになるでしょう。さらに走塁の意識を高めてほしい。

 

 

第9ブロック1回戦 対 山崎

 
日    野 15
山    崎

 初戦は成蹊グランドで山崎と対戦することになった。30年ぶりの成蹊グランドは変らずとても素晴らしい。よく手入れが行き届いている球場だ。武蔵野の面影も残っている。毎日こういうグランドで練習できたらどんなにいいかとも思うが今の日野もだいぶ良くなっている。

 さて、新チームは1年生が5人レギュラー入りをし、ベンチにもたくさんはいっている。どんなゲームをするのか楽しみだ。初回、先頭の1年ライトの櫻井が初球を打ってショート内野安打。積極性がいい。2番2年のセカンド坂田が確実に送って、3番1年長瀬がファーストエラーで1,3塁。4番の1年豊田は力んでファーストフライ。5番2年生キャッチャー、ちっちゃいキャプテン小林が四球を選んでツーアウト満塁。6番1年レフトの藤巻は夏の早実戦の空振り三振を引きずることもなく左中間にヒットを放ち2者生還。幸先のいいスタートを切った。

 2回にも8番2年のセンター渡辺がエラーで出塁すると、9番1年サードの岩崎がバントヒットで1,2塁。あとはエラーをヒットで得点し、とどめは小林のレフトオーバーの3塁打でノーアウトで6得点して試合を決めた。その後、毎回の得点で5回で15点をもぎ取った。”打撃の日野”ののろしを上げた。

 ピッチャーは小室の抜けた穴を1,2年生の投手陣が頑張ることになるが、一歩抜けたのが練習試合で東海大三と新潟明訓で好投した蓑田だ。初回にヒット1本を打たれるが、2回をほぼ完璧に抑えた。3,4回は渡辺が6人でぴしゃりと抑え、5回は初試合の加藤が1回をしっかりと抑えた。新チームの初戦を危なげなく勝ちこれで勢いに乗れるでしょう。

 

 

2008年 夏季大会

5回戦 対 早稲田実業

 
早稲田実業
日    野

 いよいよベスト8をかけた試合はシード校同士の早稲田実業との対戦になった。ここまでで立川球場での戦い方は選手も熟知している。勝つ気持ちの強いほうが有利に決まっている。空回りしないようにしたい。以前のようにもう「紺碧の空」はいっぱい聞きたくない。たのむよみんな。それにしてもすごい人、ひと、ヒトでした。応援グッズと小室のテーピングのために1時間半前に行ったのにすでに何十人もチケット売り場に並んでいる。やむなく早く開場したようだがあっという間に席が埋まっていく。応援と父母の席を確保するのがやっとだ。日曜日ということもあったが外野の芝生もどんどん埋まっていく。そのうち身動きが取れなくなってしまった。タクシーで乗りつける人も多く、立ち見やそこら辺に座っている人もいるし、試合が始まってからもあとからあとから列をなしている。新聞によると3千500人以上入ったらしい。この状態で平常心でうちの選手は出来るのか心配になって来た。それにしても早実の人気は凄過ぎる。なかには日野の応援に来てくれた人もいたのだろうか。3塁側から埋まっていったことがうれしかった。

 いつものように初回の「はいり」が重要だ。テーピングしながら今日の初球はどうする?などど小室に聞くと「今日はストレートで入ります。」「意見が一致したね〜。」「最初は力勝負です。」「たのもしいね〜。」 実際ゆるい球を狙ってくるのは分かっているので納得した。

 初回表早実の攻撃、ストレートで追い込み先頭を切ってほしかったが、痛烈なショートゴロを神谷がグラブに当てたが後ろにそらしエラー。これを何とかしてほしかった。つづく2番は初球送りバント。「しめた」と思ったフィールディングに自信のある小室は握り損ねたまま2塁へ悪送球。一番やってはいけないことだったがタイミングはたぶんアウトでした。3番にライト前に打たれ、1点。4番は三振。5番にレフト前に打たれ、あっという間に2失点。6,7番を三振に取りチェンジ。結局3三振を取りながら2失点。悪夢〜。

 早実の先発は1年生ながら4番の右の本格派。ストレートはそんなに速く感じないが伸びがいい。苦手な内角をどんどん攻めてくる。3回まではほとんど完璧に抑えられてしまった。小室も2回、3回は先頭を出し確実に送られながらも後続を断ちきり、5回まで0点に抑えた。

 早く追いつきたい日野も4回にやっと絶好調の近藤がライト前に初ヒット。菊地送れず三振のあと、小松が送って小室は四球。神谷に期待がかかったがセカンドゴロ。チェンジ。何とか少ないチャンスをものにしたい。5回にもツーアウトからサードゴロエラーで出塁したが、平林がセカンドゴロ。差し込まれている。

 そして6回表の早実の攻撃。8番三振のあと、9番が四球。1番に戻ってセンターフライ。ここも小室が踏ん張るはずだったが、早実ベンチが仕掛けてきた。牽制もうまいのでほとんど盗塁されたことのない小室がほんの少し気を許した瞬間に盗塁だ。そして、牽制球がそれランナーは3塁へ。まあ、ここで抑えればいいかと思っていたが、2番に強いゴロをサードベース際に打たれた。菊地が反応したがグラブに当たりレフトに抜けた。痛い3点目だ。早実のそつない攻撃だった。記録はヒットだが取ってほしかった。

 しかし流れは徐々に日野に傾いて来た。選手もようやく球場の雰囲気に慣れ落ち着いて来た。球場全体も「どうせコールドだろ」から「なかなかやるな、日野高頑張れ」に変って来たようだった。そしてめぐってきたチャンスは7回裏、小室レフトフライのあと、神谷、蓑田、小林の連続ヒットでワンアウト満塁に。ここでとっておき隠し玉の1年生代打の藤巻が登場。親父は14期OBで恐れられていたキャプテンだ。ストレートにはめっぽう強い。だが、早実もコントロールのいい同じく1年生ピッチャーに交代。球場は最高の盛り上がりを見せた。一打長打で一気に同点だ。

 その初球、厳しいコースの外角ストレートはストライク。2球目、チェンジアップかフォークボールが低めで空振り。やばい、追い込まれた。3球目、高目のつり球ストレートであえなく空振り三振。荷が重かった。残念。やはり甘い球は来なかった。そして、1番平林はセカンドゴロ、万事休すかと思ったらイレギュラーバウンドして胸に当てエラー。やったー。1点を返した。が、もしセカンドが少しでも変な方向に弾いていたらもう一点入っていた。ファインプレーだった。続く近藤は三遊間に打ったがサードに好捕されて結局1点どまり。つくづくもう1点がほしかった。それを阻んだ早実の守りのほうが1枚上手だった。

 9回裏最後の攻撃、神谷三振のあと蓑田が意地を見せ、右中間に3塁打。まだまだあきらめないぞ!しかし、1点差ではなく2点差だったためスクイズに行かずに打って出た。小林は浅いセンターフライ。ここで今日も途中からセンターに入った吉野は粘ったが結局セカンドゴロに倒れゲームセット。悪霊の運も尽きた。

 小室はさすがに早実打線を簡単には抑えられなかったが、膝のケガを抱え、1日おきに真夏に3試合投げ、投球数163、被安打9、長打なし、奪三振9個は見事でした。このチームでもっと勝って神宮に行き、甲子園を本気で狙っていたので残念でした。去年の秋は最弱チームといわれ小室に頼りっぱなしだったのが、冬の間に力を付け春に勝ってシード校になりここまで来たのはチームを引っ張って来たキャプテン近藤の力が大きかったように思う。残念ながら甲子園まではまだ距離があるがその距離感は縮まってきたことを選手は感じてほしい。

 小室のすごさは1年夏から練習試合も含めて一度も崩れて交代したことがなかったことだ。大量点を取られたことがない。ランナーを出しても抑えていく粘り強さはたいしたものでした。もっと、もっと小室のピッチングを見たかった。

 今回、選手もベンチ上も父母もOBも一体感を持って応援できました。また、本当にたくさんの応援をいただきました。ありがとうございます。ますます強くなっていく日野高野球部をこれからもよろしくお願いいたします。

【写真集】

平林

近藤

小室

 

小松

菊地

 

神谷

蓑田

 

小林

渡辺

 

吉野

藤巻

 

写真提供 菊地氏 青柳氏

 

 

4回戦 対 実践学園

 
実践学園
日   野

 

ベスト16をかけた相手は実践学園。強打で勝ちあがってきた。ここで勝って夏に弱い日野のイメージを払拭したい。7月上旬までは涼しかったが大会が始まって猛烈に暑くなって来た。国立戦もそうだったが今日も暑い。小室のスタミナが心配になって来た。

 先攻は実践学園、先頭を三振に打ち取ったが、2番のセカンドゴロを近藤がはじいて1塁。少し難しい当たりでした。3番は初球を死球。おいおい。4番はいただきのショートゴロゲッツーかと思ったが、近藤の送球が少し高かったのとファースト蓑田が足元を気にしてグラブをかすめまさかのエラー。ランナーが帰って1点献上。ありえない・・・。その裏過ぎたことは仕方ない。気を取り直して日野の攻撃、実践の投手はサウスポー。苦手だ。先頭平林が初球デットボールで出塁。いただき。近藤はバント失敗のピッチャーフライ。こんどーー。小室も初球右のエルボーに当たる死球。痛くないからラッキー。ワンアウト1,2塁から小松がセカンドゴロ、菊地が三振で0点。えっ、なんかちぐはぐ。

 小室は2,3回はヒットを打たれるが抑え、4,5回は三者凡退。それに対し日野は7回を除いて毎回ランナーを出し攻めた。2回は神谷が四球、蓑田の送りバントは野選になり、小林が確実に送ってワンアウト2,3塁。渡辺が初球をピッチャーゴロ。なおと〜。1番に返って平林がセカンドゴロ。また、ちぐはぐ。どうして?早く追いつこうよ。

 3回裏、近藤が名誉挽回のセンター前ヒット。小室は2打席連続の死球。左の膝に当たった。ピッチャーですよ〜〜〜。かんべんして〜〜〜。痛そうだけど何とか1塁に出たので一安心。4番の小松が送って菊地がライト前にヒット。やったー、逆転だ。悪い流れを断ち切るぞ。しかし、神谷のピッチャーゴロで飛び出し菊地アウト。2点どまり。4回は小林のバントヒットを渡辺がバント失敗。すかさず盗塁。平林のヒットで1,3塁。2盗を決めワンアウト2,3塁のチャンス。今度こそ近藤と思ったがピッチャーゴロ。小室センターフライでまたも0点。なんかおかしい。まだまだチャンスであせっている。5回は先頭小松がセンターオーバーの2塁打。でた〜。さすが4番!だが、バントの構えに釣られてキャッチャーからの送球で小松撃沈。ほんとかよ。

 6回も先頭小林が右中間2塁打。いい働きだ。しかし渡辺またも送れず三振。2年のレギュラーだぞい。平林センターフライ。近藤センター前にヒットを打つが、小室がレフトフライでチェンジ0点。まだ2−1ですよ。いいの?このままで?ほとんど押しているのに点が入らず重〜〜〜い展開。

 実践の攻撃は小室が抑えていたが、3回の死球が当たりどころが悪く左ひざの骨のかどを直撃していた。腫れがひどく回が終わるとアイシングをするという状態だった。テーピングで痛みを抑えたが本人は緊張と興奮であまり痛くないらしい。このまま早く終わってほしい。しかし、強打の実践がこのままで終わるはずもない。6回表、実践の反撃が始まった。2番3番の連続ヒットで無死1,2塁。4番のバントは小室のフィールディングでサードアウト。うれしいが膝が心配だ。5番を三振に取りツーアウト。ここで実践は勝負に出た。

 6番に代えてレギュラーのファーストが代打だ。実はこの選手、大会で右肩を負傷したらしい。前の試合でやはり代打で出場して逆転打を打った。一番マークしていた選手だ。一打逆転のピンチ。ここが正念場だ。さすがにフルスイングすると肩が痛そうだ。しかし、ここは小室の気迫が勝り三振に切り捨てた。続く7回も先頭が菊地のエラーで出塁。バントで送られ、9番は右中間のライトフライ。セカンドランナーがタッチアップしたが、俊足強肩の平林と神谷の連携プレーで3塁アウト。意味が分からない。でも助かった。

 勝負を決めたのはまたも8回裏、蓑田、小林が倒れ早くもツーアウト。実践学園は4回から背番号1のエースに代わっている。打者は9番吉野。7回から不調の渡辺に代わり吉野が守備に入っていた。2球目をセフティーバント。ピッチャーのエラーを誘い1塁へ。まだ1点差の8回裏、平林のショートゴロは緊張したショートが2塁に暴投。よしっ。ツーアウト2,3塁。ここで近藤の打球は低いセンターライナー。浅く守り一瞬前に出たセンターの上を抜く2塁打だ。やってくれたよキャプテン!やっと出たこの一打で勝負を決めた。それにしても吉野は何かを起こすタイプ。春季大会でもそうだった。ラッキーボーイと言えばそれまでだが、監督は「悪霊がついている」と言っていた。足は遅いのに。

 これで夏、10年ぶりにベスト16を決めた。流れはよくなかったがみんなの頑張りとやはり小室の頑張りがすばらしかった。打たれたヒット4本、奪三振11。あの膝の状態でよく投げきったものだ。緊張が解けたら、これから痛みが相当出るだろう。しかし、そんなことはもう言ってられない。やるしかない。試合後、監督も部長も実践の選手の態度がよかったと話していた。負けて泣きながらもきちんと挨拶が出来ていたのは真剣にまじめに野球に取り組んでいたからだと感心していた。

 しかし、今年のチームは何でいつもこんなに見ているほうがつらくなるような試合ばかりなのだろうと思ってしまう。たまには安心して見ていたいものなのに。

  

 

3回戦 対 都国立

 
国  立
日  野

 

 6年ぶりにシード校になっての初戦の相手はやはり勝ちあがってきた国立になってしまった。昨年まで日野の監督をしていただいていた佐藤監督と因縁の対決になってしまった。お互い練習試合もしているのでとてもやりにくい。特に日野の選手のことはほぼ完璧に知っているので困ったものだ。左打者7人が並んでいるがその中でも本当に足の速いのが誰かは熟知している。小室のいいところも悪いところも知っている。1年経って選手一人一人が想像以上にうまくなっているかが勝負のカギになる。こちらも国立のエースのことは色々情報を持っている。調子がいいと実に厄介な戦いになるだろう。

 先攻は国立、小室の立ち上がりが気になるが先頭を三振に打ち取り、2番はこの大会からセカンドショートを入れ替えた近藤へのセカンドライナーでツーアウト。3番四球のあと4番にライト前に打たれ1,2塁のピンチ。だが、5番をピッチャーゴロに打ち取りチェンジ。なんとかふんばった。その裏、平林が四球を選び、近藤が初球をきわどいコースにバントしてファーストのエラーを誘い平林が俊足を飛ばし3塁へ。ヤッター!ノーアウト1,3塁のチャンス。3番小室は3球目をセンターへ痛烈な低いライナー。平林が飛び出さずにタッチアップしてまず1点先取。見えないファインプレーでした。春季大会から初回に点を取るパターンは健在でした。

 しかし、4番小松が四球を選び、5番菊地のバントヒットで一死満塁にしたが、6番神谷がボールだまに手を出しサードゴロホームフォースアウト、7番蓑田はファーストゴロでチャンスを生かせず1点どまり。サイドスローから135kmを超えるストレートを投げる投手をつぶす絶好のチャンスを逃した。

 案の定、2回から立ち直ったピッチャーに7回までランナーを出しながらも抑えられてしまたった。5回は平林が盗塁を試みるが、キャッチャーの強肩に刺されてしまい流れが向こうに行ってしまった。しかし、小室も2回から5回までほぼ完璧に抑えていた。

 勝敗を分けたのは流れが変った6回表、先頭の1番に初球センターオーバーを打たれノーアウト3塁の大ピンチ。国立ベンチは大盛り上がりだ。誰もが1点を覚悟した。2番はセカンドゴロでまずワンアウト。助かった。3番は3球目を「キターーー」スクイズだ。ところがボールは内角高めのストレート。バットに当たらない。スクイズ失敗だ。落ち着いてサードランナーを殺しツーアウト。次打者をショートフライに打ち取り0点に抑えてしまった。また、流れを引き戻した。

 重苦しい雰囲気のなか8回裏、先頭の近藤が値千金のライト線を抜ける3塁打。「よっしゃーーー!」責任感の強いキャプテンがやってくれた。さあ、3番小室。小室にバントはない。追い込まれ、くずされながらも内角スライダーを右中間に落とした。「わざあり」 1点。小松が送って菊地が四球を選び、ワンアウト1,2塁。神谷がまたもセカンドゴロで2塁ファースアウト。神谷が走ってツーアウト2,3塁。もう何点かほしいところだが、蓑田がセカンドゴロ。だめかと思った瞬間セカンドがはじいて2者生還。勝負を決めた。

 打ったヒットは内野安打が2本と2塁打、3塁打の4本。打たれたヒットはシングル2本と3塁打の3本。取られた三振3個、取った三振は小室にしては少ない4個。ほとんど互角の投手戦でした。運が勝負を分けたといっていい試合でしたが、あとで小室に聞いてみると、6回のスクイズを外したのは肩越しにランナーが走ったのが見えて、キャッチャーの取れる内角高めに投げたそうです。たいしたものです。

【写真集2】

上田

小室

菊地

吉野

 

神谷

 

高崎

須崎

晝間

坂田

 

小松

近藤

蓑田

阿部

加藤

小濱

ピンチ

 

島田監督 加藤部長

ベンチ前

 

嶋田監督

吹奏楽部

吹奏楽部

 

 

2008年 春季本大会

4回戦 対 日大鶴ヶ丘

 
日   野
日大鶴ヶ丘

 

 再度江戸川球場。ベスト8を決める試合。日鶴とは過去初めての対戦だ。前の試合は同じ日に別の球場でやっていたのでこちらはまったく偵察なし。聞きかじりの情報しかない。エースは右のサイドスローと聞いていたのに先発は左ピッチャーだ。う〜ん、やだな。先発9人のうち7人が左だからだ。

 いつものように先攻は日野。初球をたたいた平林はショートゴロ。2球目を打った近藤はセンターフライ。3球でツーアウトか。菊地は粘ったが三振でチェンジ。

 その裏、日鶴の攻撃。1番をショートフライに抑えほっと。しかし、2番は追い込みながらもスライダーにビックリしながら三遊間に合わされた。うまい。レフト小松がイレギュラーに反応できずにもたつく間にランナーは2塁へ。まずい。3番は四球。4番をキャッチャ−フライに仕留め何とかピンチを脱したかったが、5番に痛烈に左中間に持っていかれた。いや、凄い当たりでした。2点取られてしまった。続く6番にもレフト前にヒットを打たれたが7番はショートゴロで終った。いきなりの先制パンチはさすがと言わざる終えない。先の思いやられる試合になりそうだ。

 日野の2回表は3人で終ってしまったが、3回は先頭を四球で出し、送ったが後続を打ち取られた。

 日鶴の2回裏、ツーアウトからヒットを打たれたが小室のうまい牽制でアウト。3回裏は2番にバントヒットを決められたが送りバントをセカンド封殺。4番のセカンドゴロは4−6−3のダブルプレーで切り抜けた。今日は内野陣がとてもいい。いいプレーをしている。

 4回表、ワンアウトから菊地、小室の連続ヒットが出た。押せ押せのムード。しかし、5番小松の痛烈な左中間への打球はセンターに好捕された。「おしい〜」つづく神谷は三振。なかなか打てそうでゆるいカーブにてこずって得点できない。

 4回裏、日鶴の攻撃、先頭5番に初球をまたしても痛烈なセンターオーバーの2塁打。さすがの守備のいい吉野も取れない。続く6番のショートゴロで飛び出したセカンドランナーを挟んだ。追いかける俊足サード菊地はすでに打ったランナーを視界に捕らえている。ダブルプレー狙いでまずセカンドランナーにタッチし、すぐに向きを変えて打ってセカンドに向かってきているランナーにタッチ。練習どおりの完璧なダブルプレーだ。ところがセカンドランナーしか見ていなかった2塁塁審が2塁ベースにたどり着いた選手に「セーフ」のコールをしてしまったからたいへんだ。球場全体から怒号が飛び交ってしまった。誰がどう見てもダブルプレーだった。ただそのあとが失点に繋がらなかったのがせめてもの救いだった。でもなぜ審判が集まって協議しなかったのかが疑問だった。

 5回はお互いツーアウトからランナーを出すが得点できず。

 8回表、平林の右中間2塁打でようやく2回目のノーアウトのランナーを出した。ここは2点差なので打て。しかし近藤はサードゴロ。打たされた。3番菊地は粘りに粘って11球目を右中間に鋭いライナー。これもライトに好捕されたがタッチアップで平林は3塁へ。小室も粘って四球。ツーアウト1、3塁。力が入ったか小松はサードフライ。残念。

 9回表、ようやく先頭神谷がヒットを打ちチャンス。ここもバント無しで小林はファーストゴロ。セカンド封殺。蓑田はセンターフライ。代打の須崎はピッチャーゴロでゲームセット。今日はチャンスでヒットを出させてもらえませんでした。

 春の日野の快進撃はここまででした。よく頑張りました。課題も分かりました。この6試合の経験を夏に生かしてあと数ヶ月を一生懸命練習して、また夏の大会に最高の形で臨みたいものです。たくさんの応援本当にありがとうございました。

 

3回戦 対 足立新田

 
足立新田
日   野

1×

 

                          写真提供 情報掲示板

 今度は江戸川球場。過去に何回かやっている。天然芝は人工芝と違い外野のゴロはまっすぐに行かない。特にここはボコボコしている。もう少し何とかならないか。芝も長めに刈ってある。今日の相手はシードを倒した足立新田だ。都立同士の夏シード権をかけた試合になった。足立新田は昨夏ベスト8、一昨夏ベスト4の実力高。都立と思わない方がよさそうだ。

 足立新田の試合前のアップとノックは独特だった。個人の能力を大切にするチームなのかな?天気は曇り、午前中は降らない予報だが試合が始まるとすぐに雨になってきた。こうなるとボールが滑るので乱打戦になるのか。とにかく粘りのピッチングしかない。

 この大会初めての後攻でスタート。初回表、小室は無難な立ち上がり。その裏、先頭平林が平凡なサードゴロ。サードが余裕を持って1塁に投げようとした瞬間、ベンチは「しめた」と思った。完全に平林の足が速くセーフ。内野安打にした。これで新田ベンチは度肝を抜かれ動揺が走ったようだ。続く近藤がきっちり送りバントを決め、菊地はワンスリーからセンター前にヒット、小室の打席で盗塁を決めワンアウト2,3塁にした。小室のサードゴロエラーの間に平林が帰り、新田は早くもピッチャー交代。

 右アンダースローから右上手投げに代わった。続く小松のセカンドゴロの間に菊地が返り2点をヒットなしで取った。当然日野のペースで試合が運ぶかに見えた。しかし、2回表、ワンアウトから連続ヒットと死球でワンアウト満塁のピンチ。8番の打った打球はホームべースで跳ねてキャッチャー小林がベースを踏んでラッキーなゲッツーだ。ついてる。しかし、3回表、先頭の代わったピッチャーが外角高めのボールだまを振り切って、狭い江戸川球場の風にも乗ってライトポール際にホームラン。事故でした。その裏日野はツーアウト満塁のチャンスに神谷が凡退。

 5回表、ツーアウトから1番に2塁打を打たれピンチ。平凡なセカンドゴロを神谷がトンネル。信じられない。「あきら〜」いくらグランドが湿っていたからって言い訳できないエラーで同点に追いつかれてしまった。勢いに乗ってしまった新田は6回、7回にも1点づつヒットで加点し4−2。やばい、流れが完全に変わってしまった。

 新田の投手は荒れているのに捕まえ切れない。スライダーも縦に落ちる。このままでは負ける。

 リードされた7回裏、先頭吉野が初球をサード前にセーフティーバント。「うまい」。平林が四球を選び、近藤はバント失敗。「こんど〜」。当たっている3番菊地だが、ここはバントを決め、ツーアウト2,3塁、一打同点のチャンス。さあ、4番小室だ。見てるほうも緊張する場面だが、ツーツーからの5球目。スライダーを逆らわずに左中間に見事に打ち返した。やったー!レフトがもたつく間に二人が帰り同点だ。ベンチも沸いている。

 これで生き返った小室は8,9回をきっちり投げ無失点。お互い延長戦は慣れっこだが、そうは行かせない。勢いが違った。9回裏、先頭平林が得意のレフト前ヒット。今度は近藤が確実に送り、ワンアウト2塁。さよならのチャンス。菊地、小室と続く。その菊地の初球。フルスイングした打球は当たり損ねてサード、ショート、レフトの間にいやらしく切れて飛んでいった。ショートが取れそうで取れない。バウンドしてファールグランドに流れて行く。それを見ていた平林は一気にホームへ。カットプレーから好返球はキャッチャーミットへ。クロスプレーだ。「セ〜〜〜フ」一瞬早く回り込んだ。勝った〜〜〜〜〜〜!サヨナラだ〜〜〜!!!ベンチもスタンドも沸きに沸いた。

 久しぶりに2度目のシードを獲得した。青松、横川以来だ。これで後は思い切って戦うだけだ。 

 

2回戦 対 東京

  10
日   野
東   京

 

 初めての太田スタジアム。いいところだと聞いていたが、かなりいい。設備もグランドも広く内野も人工芝だ。イレギュラーは全くなさそう。ただ、とにかく遠い。ほとんど遠足状態だ。2試合目だったからいいけど1試合目だったら選手は一体何時に家を出なければならないのだろう。それでもラッシュに揺られてきたのだろう。バスを持たない都立だからがまんだ。

 今日の相手は東京高校。東東京のチームは全く分からない。しかし、錦城戦の前に昭和第一とやっていてコールドで勝っている。その試合を見る限り、強い。強豪私立じゃない!特にピッチャーがいい。130キロ後半は出ている感じがする。コントロールもいい。スライダーも切れる。簡単には勝たせてくれそうもない。また、投手戦の予感。

 そうはなってほしくないので今度こそ初回から行こう。初回の攻撃、1番平林がやってくれた。富士森戦を除く試合はこれで全部ヒットで出塁。今日は近藤がきっちりバントを決めた。菊地四球のあと、さあ4番小室、ツーツーからの5球目、ストレートをきっちり捕らえ、打球はライト線に「もらったー」。え、なんでそこに居るの?ライトに背走されて取られてしまった。初めからライト線によっていた。ちくしょー。研究されてました。普通抜けて長打です。犠打にはなったが。続く小松はショートフライ。あ〜。0点

 しかし、2回の攻撃、先頭神谷が左中間に2塁打。小林が送って、蓑田がレフト前にタイムリーヒット。やってくれました。あっさりと先取点です。ここから先は案の定、両投手ともナイスピッチング。日野のほうがやや押し気味に試合を進め小室は2回にヒットを打たれた後は6回までノーヒットピッチング。このまま1−0でいくのかと頭をチラッとかすめたが、7回裏ワンアウトからセンター前にヒットを打たれ、バントで送られ、次打者は四球。パスボールでツーアウト1、3塁になり代打が出てきた。東京にとっては初めてのチャンス。ワンツーからの4球目。粘られてライトに流された。ライト平林がホームはすでに間に合わないからすかさず取って、ライトゴロを狙いに。しかし、ボールはわずかにそれてバックネットへ。沸きに沸く1塁スタンド。ワンチャンスで同点にされた。ここで後続を断ち切ったが流れは東京へ。東京のピッチャーは完全に立ち直ってしまった。8、9回は付け入る隙もない。小室はがっくりとしているし。そして試合は延長戦へ突入した。

 こうなると先攻は分が悪い。早く点を取りたい。試合の流れを変えたのは島田監督の「激」だった。ベンチの中でもいつも一番元気のいい監督だが、「俺たちの方が強いはずだ〜〜!』の一言で勇気百倍。10回の表、先頭吉野が四球を選ぶが、1番平林はバントさせてもらえずセンターフライ。2番近藤は1回に続ききっちりバントを決め3番菊地へ。ここを逃すともうこの試合はどうなるのか。菊地は今までになく集中しているのが分かる。ワンツーからの三球目。やられてきた内角ストレート。無心に振ったバットは「カッシーン」という音と共に強烈なセカンドライナー。ジャンプしたセカンドに取られたかと思ったその手前から打球はグーーーンと伸び右中間を真っ二つに。やったー!まず、吉野が返ってこれる。広い球場の一番深いところへ飛んでクッションボールの処理をほんの一瞬戸惑った瞬間をサードコーチャー高崎は見逃さなかった。俊足菊地の足も考え、右手はぐるぐる回っていた。まさかホームに行かないと思い込んでいたのか、あせったセカンドがボールをこぼし、一気にホームイン。「ヤッターーー!」2点ランニングホームランになった!菊地がどのくらい足が速いかというと、前を走っていたセカンドランナー吉野を抜いてしまいそうな勢いでした。1点ではなく2点、これは効いた。

 さあ、10回裏の守り。ここはピシャリと行きたいものだ。先頭のサードゴロ。よし、ワンアウトと思ったらさっきの菊地が固まって暴投だ。「たかや〜、頼むよ〜。」1番は切れの良いストレートで三振。2番にセンター前に打たれ1、2塁。2点差でよかった。ここは小室の気迫が勝っていた。気合の入った球で三振とレフトフライに仕留めた。ふ〜〜〜。またも危なかった〜。

 次はいよいよ目標としたシード権をかけて都立足立新田と対戦する。油断の出来ない相手だ。 

 

【写真集】

平林

近藤

小室

菊地

小松

神谷

小林

蓑田

吉野

菱田

晝間

須崎

高崎

上田

渡辺

伊藤

加藤

画像提供

菊地氏 小林氏 

 

応援

 

1回戦 対 錦城

 
日   野
錦   城

 

 本大会1回戦は慣れ親しんだ立川球場。相手は前評判の高い錦城高校です。錦城は秋季大会ブロック優勝し、本大会で日大三高に惜敗しています。投手戦が予想されますが何とか先取点を先に取って試合を有利に進めるのがこのチームの勝利の方程式です。すでに2試合しているこちらに利があるはずです。

 と思って試合に臨んだ初回、いつものように平林がセンター前にヒットを放ちムードが盛り上がった。ところが、なぜか平林が早すぎるスタートしてしまいけん制アウトになってしまった。あせらなくても俊足なんだから普通にスタートしてもセーフになるのに。続く近藤は三振、菊地もレフトフライで情けない初回になってしまった。

 その裏、先頭のサードゴロを菊地が完璧なエラー。「菊地よおまえもか。」富士森戦の蓑田に続きいきなりエラー。バントで送られ3番はサードゴロでツーアウト。何とかいつものように小室がピンチを切り抜けるかとおもったら、セカンド牽制がセンターに抜け、ゴロがイレギュラーしてセンター吉野が後ろにそらし、ランナーは一気にホームイン。何という最悪な立ち上がりと点の取られ方。

 そのまま2、3回ともヒットでランナーを出すものの点には結びつかず、重い空気のまま4回表。3番菊地の三遊間を抜くヒットで先頭を出したが続く小室、小松はファーストフライ、センターフライで2塁にも行けず。このままこの回も終わりかと思ったが、6番神谷が暗いムードを振り払う値千金の痛烈な右中間3塁打を打ってくれた。続く小林も抜け目なく初球を三遊間に運び逆転した。これでムードは一変した。5回には9番吉野のヒット、平林のバントヒット、近藤四球、ノーアウト満塁から菊地のライト犠牲フライ、小松のセンター前のヒットで計3点を取り、がぜん有利になった。

 しかし、7回、9回はチャンスを作りながら追加点が取れなかった。

 小室は6回まで四球、エラーがありながらもノーヒット0点。7回は先頭に初ヒットの2塁打を打たれたがその後しのいだ。8回はワンアウトから死球を出し、4番に左中間に2塁打を打たれ2失点目。続くイージーセカンドゴロを神谷がはじく。3点目。ありえないエラーでした。

 9回裏にも先頭をヒットで出し、送りバントで2塁。サードゴロを菊地がランナーを牽制しすぎてオールセーフ。一つアウトとればいい場面でした。1番に帰り、レフト前に打たれてワンアウト満塁の大ピンチ。一打同点、長打が出るとサヨナラだ。ここから小室は踏ん張りライトフライ、ショートフライに打ち取りゲームセット。危なかった。

 試合後選手に話を聞くと、球場でやるのは初めてなので舞い上がってしまったそうです。そういえば、大会は小室しか球場ではやっていなかった。秋は河川敷で1回で負けたし。いろいろ経験しないと駄目なチームです。1回戦突破し、勝ててほっとしたゲームでした。
 

  

            応援

  

           ブラバン

 

2008年 春季大会・1次予選

決勝 対 富士森

 
日   野 10
富 士 森

 さて、昨日勝って連戦になってしまった富士森戦。連戦なので祝杯をあげることも無く朝が来た。コールドで勝ちあがってきている相手なので打線はいいはず。小室がどこまで抑えられるかがポイントだ。

 初回、先攻は日野。あっさり3人で終る。なんだかまだ緊張感が残っている感じがする。その裏1年生で1塁に抜擢されている蓑田がいきなりやってくれた。1番の打球はイレギュラーしたがファーストゴロエラーだ。どうした蓑田。富士森は沸いている。味方からもやじられる。これが大会の緊張ですね。さらに牽制球が取れずに2塁へ。どつぼ。顔が青ざめ引きつっている。富士森は押せ押せムード。しかし、ここからが小室が並みの投手でないところ。送りバントをすかさずサードアウト。素晴らしい。1年の失敗を先輩が取り戻してくれた。後続を断ち切り何とか切り抜けた。

 2回の攻撃は4番小室から。レフト前にはじき返しヒット。小松四球、神谷ファーストゴロエラーの間小室が帰ってまず1点。1、3塁から小林が痛烈なセカンドゴロを打つがセカンドファインプレーでアウト。しかし、ここでさっきエラーした蓑田が汚名返上のレフト前ヒット。1点追加。吉野死球、1番に戻って平林がセンター前にヒット。2点追加。その後、押し出しでもう1点。計5点を取り、試合はがぜん有利になった。

 3回にもエラーと四球のランナーを吉野、平林、近藤の3連続タイムリーヒットで3点を取った。4回は小林のタイムリー、7回も神谷、小林の連続ヒットで加点した。

 投げては小室は2、3回はランナーを出すが、キャッチャー小林の盗塁刺殺や6−4−3のダブルプレーで切り抜けた。圧巻だったのは4、5回は3番から9番まで6人連続三振でした。だが、 6回は四球で出したランナーをショート近藤のエラーで失点。7回は甘く入った球を連続2塁打された。

 終ってみれば、10−2、7回コールドだったが、富士森打線のフルスイングも脅威だった。しかしこれで、ブロック優勝、本大会出場です。シード目指して暴れますよ。

 

2回戦 対 明治学院東村山

 
日   野
明学東村山

 
 ブロック初戦の相手は都立高島を破った明学東村山に決まった。初めての帝京高校のグランド。こっちも気になってしょうがなかった。駅を下りるとさて、グランドはどこか全く分からない。周りに高いビルやマンションが連立している。仕方なくタクシーで行くことにした。帝京高校グランドはとても合理的に出来ていた。狭いスペースにうまく配置され校舎が外野のフェンスのように立ちはだかっていた。その分、内野のファールグランドとネット裏にスペースが無く日野の父母は外野で立って観戦を余儀なくされた。回りは住宅なので騒音の苦情も気になる。しかし、外野は人工芝に砂を混ぜてあり全くイレギュラーの心配は無い。グランド整備も楽そうに見えた。人工芝にしたのは砂埃の問題もあるかもしれない。都会の苦労を感じた。これだと日野高のグランドの方が思いっきり出来て良いかも。まあ、今日は周りに観客がいないので緊張もしないですみそうだ。

 さて、試合は日野の先攻で始まった。1番平林は粘ってからピッチャー強襲安打で出塁。俊足巧打で抜擢されたが見事に当たった。続く近藤はセカンドゴロエラーで1、2塁。菊池が送って小室は四球。ワンアウト満塁とし、5番小松は見事に三遊間を抜くヒットでまず1点。続く神谷のショートゴロの間にもう1点追加。これでほっとして緊張が少し緩んだ。3回にも小室のヒットと神谷のヒットで1点。小林の犠牲フライで1点を追加し4点をもぎ取った。

 エース小室は初回の3三振で始まり、3回を打者9人に対しセカンドゴロ2つとファーストゴロ、三振6で完璧でした。4回からは初めての公式戦登場の菱田。緊張しながらも気合が入って7回こそ2塁打とヒットを打たれショ−トゴロエラーで1点を失ったが3安打で切り抜け、初めてにしてはまずまずのピッチングでした。

 試合は7回にも小林のタイムリーで1点追加し結局9安打5−1で逃げ切った。明学のピッチャーも丹念にしぶとく投げてくるため大量得点にはならなかったし、選手の気迫とあきらめない気持ちが伝わって来て油断の出来ないチームでした。さて、明日は富士森と青山の勝者とやります。なんとしても勝って本大会に進みたいものです。