著者:土門弘幸
イラスト:岩堀大輔
発行:1999年 2月25日
発行所:メディアワークス
発売元:主婦の友社
定価:本体570円
ISBN4-07-310924-3
私はそんなにお金持ちではないので、普段本を買うのは古本屋がほとんどです。け
れど、本屋の近くを通りかかったときはやはり覗いてしまいます。そして見つけたの
がこの本でした。
最初は特に買うつもりはありませんでした。著者の土門さんは、第1回の電撃ゲーム
大賞で見事「大賞」を受賞した人。一応そのシリーズは持っているので、「へぇ、土
門さんがまた本を出しているや」という認識しか持たなかったからです。
でもまぁ一応ぱらぱらとめくってみました。絵柄はまぁまぁ。主人公の女の子はわ
りといい感じ。私が買う決心をしたのは、この本が「トレーディングカードゲーム」
を題材にしていたからです。
トレーディングカードゲームとは、基本的にカードゲームです。魔法カードや、モ
ンスターカード、アイテムカードなどを駆使して相手を倒すゲーム。けれど通常のカー
ドゲームとは違って、カードの種類がそろえきらないくらいたくさんあります。自分
の持っていないカードを相手が使うこともありますし、もちろんその逆もあり得ます。
有名なところでは、「マジック・ザ・ギャザリング」「モンスター・コレクション」
「ポケットモンスター」などがあります。
で、読んでみた結論。あまりおもしろくないですね。
トレーディングカードゲームを題材にしている部分、つまりは戦いの部分はなかな
かおもしろいです。これだけちまたに広まったものなのに、むしろどうして題材にす
る人がいないのだろうと思うくらい題材にされません。今までに見たことのない方法
で戦う人々。これはとてもおもしろい。
けれど。
主人公の女の子は鍵です。鍵であるが故に、様々な人にねらわれます。ところが、
物語がいくら進んでもこの女の子は何もしないのです。自分を守ってくれる男の子に、
恋をしてみたりもします。けれど、それは物語の本質とは関係ありません。物語の本
質に関係した行動といえば、自分をねらう人々にもてあそばれたくらいです。もっと
自分の力で動いて欲しかったなぁと思うのです。
物語の視点は、基本的に女の子のそばにあります。物語の中心にいるのは常に女の
子。けれど、女の子は物事を見るだけ。小説を書くために設定された観察者にすぎな
いように思います。そもそも、女の子である必要があるのかどうかに疑問を感じてし
まいます。この女の子が場所、モノ、に置き換えられたとしても、このお話を成り立
たせることはおそらく可能でしょう。
前述の通、トレーディングカードゲームを使った戦闘シーンは実に興味深いです。
そういう意味では一見の価値があります。
文章力 :6
ストーリー:3
イラスト :6
いいネタも、使い方がうまくないと宝の持ち腐れだなぁと思いました。