イラストレーター:いしかわじゅん 本体価格:533円
ISBN4−08−613367−9
ぴんぽんぱんぽーん。
この本をお読みになる前に「ときめきメモリアル(PS版)」をプレーしてハマって下さい。
さうすればあなたもこの本の登場人物になれるでしょう(その他大勢役ですが)。
こんばんわ、ギャルゲー好きのどろっぷです(笑)。今回の本はとあるサイトに紹介されていた
のですが、面白い本だということで緊縮財政の中購入を決意しました。
購入までも大変だったのですが、集英社ファンタジー文庫が角川ルビー文庫や講談社X文庫の
近くに置いてあったときは「俺もついにやおいデビューか?」とか思ってしまいました。
しかしこの本は健全なので(笑)、皆さんも読めるはずです。
<ストーリー>
主人公は2人。1人目の毒島(ぶすじま)かれんは高校2年生。幼くして父親を亡くし、現在は
母親(42才)と2人暮し。その母親は「24色のパステルくらいの声色を持つ」プロの声優。
芸名は二階堂弥生というそうです。ある日母親が分厚い台本を持って帰ってきました。そこには
「あなたは女子高生です。同級生の男の子に話しかけていると思って喋って下さい」とありました。
2人目は、ゲーム会社「ビッグ・ウエイブ」第4開発課勤務の神代(くましろ)美代子。
社命により外注でゲームを1本作ることになったが、その外注先は普段エロゲーを作っている
会社だった。仕方なく現在開発中のエロゲーからエロの要素を取っ払い、突貫工事で
純愛シミュレーション「高千穂学園」を完成させる。
ここまで読んでピンと来たあなた、鋭いです。多分予想通りの展開が待っているでしょう(笑)。
こうしてかれんの母親がヒロイン「高天原かほり」を演じた純愛シミュレーション「高千穂学園」は
大方の予想を裏切り爆発的なヒット作品になったのでした。すぐさま次世代機で続編が企画されます。
PCエンジンで出されたと○メモがPSに移植されるようなものですね。
ところが問題になったのが、声優さん。ヒロインの声を演じていたのが42才のおばちゃんだっ
た、ということがわかればゲームのイメージダウンにも繋がりかねない。PCエンジン版で
藤○詩織の声を当てていたのが金○真美さんではなく42才のおばちゃんだったらどうします?
なぜかこのお母さん、ゲームには偽名を使って出ていたんです。その名前が「ぶすじまかれん」。
ここで娘であるかれんに白羽の矢が立ったのでした。いやがる彼女を説得し、「高千穂学園2」
から極秘の内に「高天原かほり」の声優が母から娘へ差し替えられることになったのです。
(体験版で読めるのは、ここまでです。ここから先は製品版をお読み下さい)
<テキスト・イラスト>
2人の主人公がいますが、1章ごとに交互に視点が変わります。1章が短いので(平均15ページ)
視点の切り替わりも激しいのですが、同じ場面を別の視点から語っていたりしているので
それほど読み辛くはありませんでした。
イラストはいしかわじゅんさんですが、数は少なめです。
<読後感>
読後も何も読んでいる最中から爆笑の嵐。特にグッズに群がるオタクどもに対しては自虐的な
笑みを浮かべつつ三年前を反芻しておりました。
お話的にはと○メモを思いっきりパクっているのですが、元ネタで笑わせつつ「おいおい、こんな
ことまでやるのかよ」みたいな部分もあって、「と○メモならここまでやったかなあ」とか
比較しながら読んでいるとおもしろいです。
クライマックスからエンディングにかけては一部すっきりしないながらも物語が非常にサクサク
進み、エンディングで種明かしをする下りはなかなか良い感じでした。一応のハッピーエンディ
ングなので読後感も良いです。
ちょっと残念だったのは、悪役の人の狙いが弱かったこととかれんの日常生活、特に学校生活が
書かれなかったことでしょうか。クラスメイトがギャルゲーのヒロインを演じていると知った時
の野郎どもの反応とか見てみたかったですが。
全体として、オタクは1度読むべしみたいな本ですね。あとは最近神経質になっているコ○ミから
訴えられないことを祈るのみ(笑)
いろいろここには書けないような感想も持ったので私のHPに感想を書いてあります。
そっちがノーカットバージョンです。お暇な方はどうぞ。直リンクです。
<最後に>
この本の購買層からして、電撃文庫あたりで出ていればもっと話題になっているかもしれない。