天夢航海:谷山由紀:朝日ソノラマ(ソノラマ文庫) 


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お名前: 篠原 泰彦    URL
著者:谷山由紀
イラスト:弘司
発行:1997年11月30日
発行所:朝日ソノラマ(ソノラマ文庫)
定価:本体490円
ISBN4-257-76826-6

 私はイラストを描いている弘司さんの絵が好きで、まずはタイトルと絵に惹かれて
手に取りました。次に、あらすじを読んで悪くないと思いました。そして、中をぱら
ぱらと見て、そのままレジに行きました。あまりお金がないのでもっぱら古本屋で本
を買っている私にとって、かなり久しぶりに本屋で買った本でした。
 全6章からなる物語は最初の5章がそれぞれ独立したお話になっていて、「自分はこ
の世界では生きている意味がない。本当は別な世界の人間で、いつかそこへ帰るんだ」
という誰もが一度は考える事を題材にしています。それぞれにちょっと切なく、そし
てよく書き込まれていると思いました。
 最後の1章はまとめとも言うべき章で、それぞれの章で出てきた登場人物たちが初め
て交錯し、気持ちを語り合います。
 みのうらさんのHPに書評が載っていましたが、私もみのうらさんと同じ事を言いた
いです。
「とにかく読んでみて下さい」
 ここで何かを語っても、それは逆効果になるような気がします。読んで損はしない
一冊ですね。

 弘司さんのイラストが雰囲気を盛り上げ、文章がそれをさらに引き立てる。
 イラストと文章が見事に一体となった作品だと思います。

 こういう作品をぜひ書いてみたいですね。私自身、この本で取り上げられている問
題について悩みに悩みましたから……。

文章力  :9
ストーリー:10
イラスト :9

 満点でないのは、「満点の作品」というのがありえるのかどうか、私がちょっと疑
問を感じているからです。感覚的には間違いなく満点でしょう。