妖精作戦シリーズ(新装版):笹本祐一:朝日ソノラマ(ソノラマ文庫) 


書き込み欄へ  ヘルプ
お名前: ひこ    URL
著者:笹本祐一
イラスト:御米 椎
発行所:朝日ソノラマ(ソノラマ文庫)

<妖精作戦>
発行:1994年10月31日
定価:本体540円(本体524円)
ISBN4-257-76697-2

<ハレーション・ゴースト 妖精作戦PART2>
発行:1994年10月31日
定価:本体500円(本体485円)
ISBN4-257-76698-0

<カーニバル・ナイト 妖精作戦PART3>
発行:1994年11月30日
定価:本体500円(本体485円)
ISBN4-257-76702-2

<ラスト・レター 妖精作戦PART4>
発行:1994年11月30日
定価:本体505円+税
ISBN4-257-76703-0

 妖精作戦シリーズは全4巻。
 まず申し上げておかなければならないのは、私の持っているのは「新装版」であるということ
です。何がどう違うのかというと、イラストが違います。古本屋で昔のものも見かけたことがあ
るのですが、イラストレーターさんも違って全然雰囲気が違います。新装版はアニメタッチのイ
ラストで、若い年齢層をかなり意識した作りになっているように思われます。

 主人公たちが通っている星南大付属高校(男女別学)に、一人の少女が転校してきます。その
間も「小牧ノブ」 実は彼女は超能力者で、超国家組織SCFがスターボウ計画という計画で狙っ
ている人物でした。ノブを守ろうとする学生たちとSCFに、謎の探偵も加わった三つどもえの物
語は、どたばたしながら展開されていきます。この構図はシリーズを通じて変わらず、物語はテ
ンポよく進んでいくのです。舞台は地上、海中、そして宇宙をまたにかけており、「痛快活劇」
といった感じでしょうか。

 <ハレーション・ゴースト>では、学校で起こる不思議な出来事を扱っています。そこには
SCFや探偵の出てくる余地はなく、等身大の高校生の物語があるだけ。相変わらずどたばたしな
がら進んでいきますが、最後はほろりとさせられる秀逸な作りになっています。シリーズの中で
私が一番好きな巻です。

 <カーニバル・ナイト>と<ラスト・レター>は続き物。SCFはノブを狙って再び活動を始め
ます。作戦名“カーニバル・ナイト” SCFの送り込んだ転校生、和紗結希(かずさゆき)に
よってノブの誘拐作戦が展開されますが……。どたばた劇はまたしても宇宙にまで展開し、物語
の機運がぐぐっと盛り上がったところで、唐突に物語は終わります。実際にどう終わっているの
かは、ぜひ皆さん自身の目で確かめてみて下さい。

 とにかく「どたばた」という言葉がぴったりの物語。中学、高校時代に読むときっと病みつき
になると思います。私は社会人になってから読んだのですが、そのどたばたになかなかついて行
けなくて……。でも、読者を引き込む力は充分あると思います。そして引き込んだところで展開
される物語は、その辺のお約束物語等とは一線を画していると断言して構わないでしょう。
 何が違うのかをつらつら考えてみたのですが、その辺のお約束物語などは手にとって眺めた段
階で嫌気がさして読まないのでちょっとよく分かりませんでした。あえて言うなら、登場人物が
薄っぺらくないことがあげられると思います。現実離れしたところにあこがれる、というもので
はなく、その登場人物に感情移入できる。感情移入できるから、その人物がまさに現実にいるか
のような感覚になる。その辺の書き込み方はなかなかだと思います。

 どたばた活劇が好きな人なら読むべきでしょう。
 SFが好きな人も読んでみることをおすすめします。
 学園ものが好きな人にもおすすめです。

文章力  :7
ストーリー:8
イラスト :7

このテーマについての発言をどうぞ。
氏名
E-mail URL



記事一覧に戻る