指揮者日記'99

 

3月11日(土) 10:30〜20:00 池袋芸術劇場

 

 いよいよ第6回の演奏会。S.P.P.で初めて指揮者として演奏会を迎えました。今までは期待と不安が入り交じっている感じで演奏会を迎えたのですが、今回は指揮者としてステージの完成度に責任を負うためか不安が期待を大きく上回っていました。
 朝は一般団員より早めに会場入りして、山台組みのお手伝いや各種確認などを行いました。山台は実際に私が組んだ訳ではなく、私はホールの響き具合等を考慮しながら山台の位置を決定しました。1月末にあったホール練では山台が後方にありすぎて上手く響いていなかったので、ホールの人とも相談しながら位置を決定。なぜか私一人で山台位置を決定してしまったために不安を感じた私は、思わず別の指揮者の方を引っ張ってきて「これでよいですか?」と確認を取ってしまいました。
 リハーサルはステージ通りの進行。つまり男声は2番目に行いました。20人弱という大人数がそろって練習するのはおそらく夏合宿以来。久しぶりに迫力のある男声を聞くことが出来て、リハーサルにも関わらず妙にうれしく張り切ってしまいました。その結果、「リハーサルはアイドリング時間なので、適度に力を抜きながら本番のために力を温存しておいて下さいね」と言っていたにも関わらず、「あんな事を言いながら、ひこは全力だったでしょう?」と終わった後に質問されてしまいましたが(苦笑) 響きなどはホール練よりもずっと良くなりました。山台の位置の問題もあるでしょうし、それ以後の練習の成果もあると思います。せっかくホールの天井は良く響くように高く作られているのに、その広い空間を上手く使えていないのが気になりましたが……。
 そして本番。直前まで歌い手と同じ衣装で指揮をするかどうか迷っていた私は、団員が入場しているときに蝶ネクタイを黒から白に変えることにしました。特に深い意味があったわけではないのですが、何となくワンポイントが欲しかったので。ちなみにピアニストは女性とは思えない短時間で着替えをすませ、なかなかきわどい衣装で舞台袖へやってきました。団員の方の行うステージ紹介もあり、ついに指揮台へ。今までの経験では足がふるえて踏ん張れなかったのでその辺を気をつけていたのですが、最初に構えたときに手の先がふるえてしまいました。自分でも「あっ」と思ったのですが、目ざとい団員にはしっかり見られていました。「あれを見て自分も緊張してしまった」という人もいたので、ちょっと反省。でも、そんな細かいところまで指揮者を見ていてくれたんだと思うとうれしかったです。
 曲自体は力強くてとてもよかったと思います。歌詞のあやふやだったところもずいぶんと改善されていました。けれどアンケートを見ると、「ほえていた」という感想がやや目に付きました。もう少し練習の中で「響かせる」事を意識できるようにすれば良かったなぁと思います。
 そして最大の失敗。それは、「楽譜を一段とばして指揮をしてしまった」ことです。今までそんなことをしたことはなかったのに、この日に限ってやってしまいました。後でいっぱい指摘されて、穴があったら入りたかったです。実はこの時、私は「楽譜をめくるタイミング」に苦しんでいました。どうもスムーズに楽譜がめくれないのです。あれこれやっていたあげくにちょっと早めにめくることにしたのですが、これが何と1ページも前。その結果、上の段の最後で伸ばした後で楽譜に目を転じるとそこは次のページの上の段。そう、前のページの下の段はとばしてしまいました。本当に申し訳ない限りです。今後はこのようなことがないように気をつけなければ……。

 なんだかんだ言って、あっという間の1年でした。99年度が始まった当初は余裕もあり、いろいろな愛唱曲を毎回のように行う予定だったのですが後半にはそんなことを行う余裕がなかったので、工夫すればもう少し楽しめる練習が出来たのではないかと思います。
 ピアノ付きの曲を選んだことは成功でした。ピアニストの人が高校時代にコンビを組んでいたこともあってとてもやりやすかったですし、私の耳が及ばない部分をピアノにずいぶんと助けてもらいました。また、過去にあまり取り組んだことのない曲だったこともあって、男声がわりと楽しんで歌ってくれたように感じました。
 困ったことは、毎回毎回出席率の低さに悩まされたことです。夏合宿を境として急に出席者が減ってしまい、1時間待ったあげくに4人だけで練習開始ということもたびたびありました。けれどそんな状況でも皆さん一生懸命歌って下さいましたし、出席できなかった人が家で練習してきてくれたりしたのは本当にありがたかったです。途中から入団された方も、本当によく頑張って下さりました。
 初めて男声合唱を指揮したのですが、いろいろと学ぶところが多く勉強させていただきました。指揮者がそういう状態だったので、歌い手の方々には歯がゆい思いをさせてしまったかもしれません。2000年度も引き続き男声ステージの指揮者をつとめますので、1999年度の経験を生かしつつ、頑張っていきたいと思います。

 そうそう。今だから話せる裏話を2つ。
 演奏会直前に着替えたのですが、この時ベルトを持って来忘れたことに気がつきました。幸いにして、サイズがわりと合っているズボンだったのでなくても何とかなりましたが。指揮をしながら、気づかれないかとドキドキしました。
 第3ステージは譜持ち許可だったので休み時間に楽譜を取りに行ったのですが、あると思っていたところに楽譜がない! あわてて暗譜できている人に借りたのですが、実は楽譜はちゃんと思っていたところにありました。急いでいたのでよく調べなかったんですね。やっぱりちゃんと落ち着いていないと駄目なんだなぁと痛感しました。

 「指揮者日記'99」は、今回を持って終了させていただきます。次回からは「指揮者日記'00(仮)」をお送りする予定ですので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

合唱のページに戻る

トップページに戻る