『椿館』


 浅虫温泉は、煤川と浅虫川に南北から挟まれ、さらに西側は陸奥湾に面し、東側からは山が迫っている。限りある土地に温泉宿がこじんまりと建ち並んでいる。それが持ち味である。
 この日の宿の「椿館
は、温泉街の奥まった場所、浅虫川沿いに建っている。400年の歴史をもつ老舗に相応しい、地元色豊かな雰囲気の建物である。

 ○ 椿館
    <所在地>〒039-3501 青森県大字浅虫内野14  <電話番号>017−752−3341
    <料金>1泊2食付 12,800円/1人(税別)  
<客室数>26室

椿館の外観

部屋その1  部屋その2

 10年前に改装されている施設は結構綺麗で、部屋もシンプルながら清潔でくつろげる雰囲気だ。
 また、この「椿館」は、青森の生んだ画匠・棟方志功の常宿としても知られており、多くの制作もこの宿で行われたという。実際、館内には棟方志功の作品が目白押し。これでもかというぐらい展示されている。

 廊下の壁に架けられた沢山の版画も、丹念に見るとなかなか根気が要る。ロビーには、特大の屏風と額縁が展示されており、これは実に分かりやすくて結構である。

ロビー  廊下

 さて、いよいよ温泉である。当然ながら一番乗り。まだ陽が高いので、なんだか得した気分だ。
 内湯は広々としており、うたせ湯のほか、寝風呂というのもある。何だか健康ランドで見たような風呂だが、私の場合、横になると腹だけが水面から出てしまうという、大変情けない事態となってしまう。あまり近寄らないに越したことはないのだ。

内風呂

露天風呂  陽差しの中でくつろぐ

 露天風呂は、思ったよりゆったりとした岩風呂である。季節になると、椿の花に囲まれてお湯に浸かれるというが、今の時期はやや味気ない。しかし、うらうらと陽差しを浴びて、のんびりと湯に浸かるのは実に最高である。
 泉質は塩化物泉で、無色透明・無味無臭。滑らかな肌触りで、湯感はそれほど重くなく、上がりがスッキリしている印象だ。リューマチ・高血圧等に効能があるが、明治天皇が浸かって「目がすっきりした」とか言ったそうで、目に良いという説もあるらしい。

椿館の食事

 夕食は部屋食である。・・・が、大盆に乗って一遍に配膳される料理は、見事に冷え切っている。というより、茶碗蒸しは冷製だったり、最初から冷えてもいいように考えられているらしい。だったら、天麩羅は要らないと思うのだが・・・。
 唯一温かい料理は、写真左上の鍋だ。鍋に仕立てられた貝殻の中には、出汁のほかに様々な貝類とウニ、ホヤ、そして海草類が入っており、複雑かつ豊富な旨味が横溢している。いかにも地元料理という感じで、明日青森で是非食べたいと思っている「いちご煮」(アワビとウニの清まし仕立て吸物)もこういう味なのかな、と思わせる。

 食後にまた風呂に行ってから早々に蒲団に入った。季節が中途半端なこともあり、どうも暑い寒いの調節が効かない。北国とはいえ結構蒸し暑く、クーラーをかけて寝る。しかし、かなり掛け布団がかなり厚手だったので、寝ている間に放り出してしまった。暑いけれど冷える。冷えるけれど暑い。
 そんな調子で、汗をかいたところで腹をクーラーで冷やしてしまい、翌日は最悪の体調になってしまった。胃腸がキリキリと痛み、熱っぽい頭痛もおき始めた。身体に力が入らず、倦怠感で座り込んでしまいそうだ。ピンチである。


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