ゴールデンウィークに、決死の覚悟で城崎温泉に行った。
到着すると天気は上々。川沿いに枝垂れ並ぶ柳の緑も目にあざやかだ。まだ行楽客もさほど多くなく、これぞ城崎の風情である。朝早くに東京を新幹線で出て、最短の乗り継ぎで来た甲斐があったというものだ。
私は、10年ほど前に初めて城崎温泉を訪れたのだが、その鄙びた雰囲気と外湯巡りがすっかり気に入ってしまった。浴衣姿で夜の川沿いをブラブラと歩き、暇にまかせて射的屋に入る。そんな、あまりリゾート志向でもない、昔ながらの温泉地の味わいが、私の趣味に合致したのだ。
そういうわけで、山陰本線の車窓から、日本の原風景を思わせる丹後の山々を眺めながら、城崎温泉への期待を胸に膨らませていたのである。
昼飯も食べて、元気良く川沿いを、温泉街の奥へ奥へと歩いていく。
今回の宿は、「ときわ別館」である。城崎温泉の最奥に位置し、閑静な環境が売りの高級旅館だ。
○「ときわ別館」 〒669-6101 兵庫県城崎郡城崎町湯島1013、
рO796−32−2814
1泊2食 33,000円/1人
城崎というと、川沿いに並び立つ旅館がすぐイメージされる。2階の窓から川を見下ろす、昔の日本映画の一場面のような雰囲気や、奥にのびた旅館内の立体的な構造がまた何とも言えないものである。しかし、今回はそうした雰囲気をあえて捨てて、山際の閑静な環境を選んだ。いうまでもなく、GWの喧噪を避けようという意図からである。
温泉寺ロープウェイ乗り場も越え、さらに奥へ奥へと歩を進めると、やっと発見。なかなかゆったりとした雰囲気の、ある意味で城崎らしくない外見であった。
部屋は全室に庭園の借景があり、離れ風の雰囲気を演出している。部屋は新しく広々としており、落ちついた雰囲気である。テレビのそばに、「夜10時以降は音量を下げて下さい。」という注意書きがあり、客が何を求めてこの宿に来るかよく理解しているのが判る。
宿へのチェックインは勿論1番であった。荷物を置いて、外湯がオープンになる3時に速攻で出かけて、空いているうちにのんびりと湯に浸かろうという作戦である。
意気揚々と浴衣姿で宿を出る。目指すは、外湯で唯一露天風呂をもち、城崎温泉開闢の地でもある「鴻の湯」である。・・・が、結果は惨々たるものであった。
やはりGWを甘く見ていたのか・・・。まさに芋洗いとはこのこと。さして大きくもない露天風呂に肘と肘を触れ合わせながら浸かるのは、爽快さとはまるで裏腹の気持ち悪さであった。しかも、ツーリングで来たらしい若者の集団が、我が物顔で、垢まみれの体をバシャバシャさせているから堪らない。げんなりとして脱出。妻のいうには、女湯も同様の有様だったそうだ。
やはり露天を目指して来ているのだろうと判断して、口直しならぬ肌直し(?)に、「まんだら湯」に移動する。なかなか味わいのある建物で、湯船は平凡な内湯だったものの、気持ちの良い菖蒲湯であった。ふ〜っ、と安堵の息をつきつつ、ゆっくりと体をほぐすことができた。
宿に帰って、ふと浴場が空いているのではと思い立ち、風呂場へ。ナイス判断、まったくの貸し切り状態である。やや浅めの内湯も気持ちよかったが、やはり露天風呂をめざす。露天は小さめの岩風呂で、二人も入ればいっぱいであるが、独占だから支障はない(下写真)。庭園の緑を眺めながらゆっくりと浸かることができた。
総じて、城崎温泉は露天風呂を重視しない。何故だかは不明だが、利用可能な土地は全て温泉街化しており、土地が狭いからという理由もあるのだろうか。
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