満月うどん(武蔵村山、村山うどん)


っかり定着してきた武蔵野うどん。
 しかし、その真髄は土地への密着性にある。都心で武蔵野うどんを看板に掲げる店に入っても、嬉しくも何ともない。逆に、いわゆる地粉といっても本当の地産にまでこだわらず、強いていえば国産小麦だったらOKと言いたくなってしまう。要するに、いかに地元に密着した店を営業しているか、それに尽きる。グローバル化した現代、素材の出自も大事だが、営業スタイルこそが大切なのではなかろうか。
 そんな土地に根づいたスタイル、それが
「村山うどん」なのだと思う。

店頭

 一般に武蔵野うどんと言うと、まず東村山が念頭に浮かぶが、武蔵村山の村山うどんの方が本流だという人もいる。
 というか、そもそもは双方含めた近隣一体を「村山」と称しており、その東部に位置するエリアが市制施行する際に「村山の東側」という意味で東村山市と称した。その後、武蔵村山のエリアが市制施行する際に「村山市」を名乗ろうとしたが、山形県に同名市があったため、旧国名の冠をつけて武蔵村山市となった。そういうことなのである。
 多摩はなかなか複雑なのだ。ちなみに、東村山市は村山の内の東側であり、西東京市は東京(旧東京市)の外の西側である。命名一つとっても、地域の気概が表れているというか、性根が出ているというか、まあ複雑なのである。皆もっと地名には興味を持った方がよろしい。
 もとい、村山うどんの基本的な要素は武蔵野うどんと一緒だが、土着の商売に徹しているのが良い。最近でこそ「村山うどん」の名を積極的に打ち出して観光開発をしているようだが、いずれの店も素朴な営業スタイルで、それがまた武蔵野うどんファンの心に訴える。
 村山でも屈指の人気店「満月うどん」は、店内が綺麗に改装されてお洒落なムードすら漂うが、実に
質実剛健かつ地域に根差した良店である。まずは駐車場が完備なのが助かる。

肉汁うどん  極太麺

 肉汁うどんは、予想を大きく超える素晴らしさ。
 まず、うどんは褐色を帯びてモッチリとしたコシのある食味。小麦の味も豊かな逸品だ。太さや茹で加減を細かく指定できて、
極太麺のチョイスも可能(上右写真)。程よい食感の通常バージョンが完成度で上回るが、極太麺の噛んだ歯に抵抗するようなムチムチした弾力、剛性はたまらない魅力だ。
 麺の上には、芋天・もやし・青菜が乗る。肉汁には豚バラ細切れでなく、なんと煮豚チャーシューが入る。茄子・椎茸・葱などが入っており、汁自体はそのまま美味しく飲めそうなラーメンとのハイブリッド的(?)な味わい。添えられた小皿の品は、量は少ないが仕事は上々。薬味も丁寧に作られている。

メニュー

じて、まずうどん自体が見事な逸品で感動的なレベル。汁、糧、添え物まで全て丁寧にきめ細かく作られており、素晴らしい仕事ぶりだと感心した。
 肉汁は、豚バラの脂と旨味を活かした伝統的な武蔵野スタイルとは違うが、しっかり美味しいので問題ない。
しっかり強固な伝統スタイルの上に、今風のニュアンスを加えて洗練させた印象
 質実剛健な中にも、たゆまぬ向上心が感じられる。作り手の素晴らしい腕前と情熱を認識せざるを得ない、卓越した武蔵野うどん、いや、村山うどんである。

(2015/10/31)


「満月うどん」
東京都武蔵村山市三ツ木1-12-10
042-560-3559
11:00-15:00(金土のみ18:00-21:00も営業)、月火休
若い人も多い店員さんの接遇も、明るく清々しくて素晴らしい。
最終訪問日 2016/9/22