笹巻けぬきすし総本店(神田小川町、笹巻毛抜鮨)


笹巻けぬきすし総本店の店構え  渋いサンプル

茶ノ水から本郷通りを小川町に向かって下りていく。ニコライ堂を過ぎてさらに進むと、ビルの谷間に突如として緑多き佇まいの和風店舗が見える。外壁は綺麗に塗装されているが、サンプルケースも引き戸もそして店内も年季が入った趣き。
 それが、
江戸握り寿司の元祖といわれる毛抜鮨を今に伝える店、笹巻けぬきすし総本店だ。創業は1702年、なんと元禄時代である
 料理の成り立ちからしても折詰の持ち帰りが基本だが、3卓ほどイートインのできる席がある。待合席のような飾り気のない雰囲気で、肩肘張らなくて良いのは嬉しい。
 いただいたのは、
7個入り(小鉢と潮汁つき)1620円。小鉢と潮汁はイートインの特典で、それがない持ち帰りは1575円である。

7個入り、潮汁つき

国時代の兵糧食に起源があると言われる毛抜鮨は、殺菌力のある熊笹に巻かれた状態で出てくる。
 冷蔵庫のない時代に日持ちさせるため、酢と塩がきつく効かせてあるのが特徴である。考えてみれば、寿司は日本の伝統食のように言われるが、昔は現代のように生鮮ネタを食べられたはずもない。
 実際に食べてみると、確かに酢と塩は強いが、それほどキツイわけではない。醤油につけるわけでもないので、個人的にはもっと強くても良いと感じる。酢というよりも、柔らかめのシャリが押し詰まってなれた感じで、微妙に立った酸味・旨味が好ましい。
 ネタは、鯛、おぼろ、卵、海苔、海老、光り物、白身魚の
7種が基本パターン。光り物と白身魚は、季節によって種類が変わる。
 この日は、光り物がコハダで、白身魚が白魚、そして鯛が無くてかんぴょう巻きの海苔が2つ入っていた。いずれも美味しかったが、特に印象的だったのは、春の短期間しか出ない白魚。そして、柔らかく炊けているが濃い味がついて、ピシッと焦点が定まった味わいのかんぴょう巻き(海苔)。
 季節に応じて、さわら、アジ、さより、わらさ、かんぱち、アワビ、貝柱なども使われるということで、時々のお楽しみといったところだろう。

コハダ、おぼろ、しらうお、海老  玉子、かんぴょう巻き

 潮汁は、何か小ぶりな白身魚のすきみ、ますのつみれ、豆腐、ネギが入っている。
 強い魚の香りに好みは分かれるかもしれないが、私としては実に美味だった。

ストパフォーマンスについて、人により評価が分かれるだろうが、私としては全く問題ないと思う。
 握り寿司の原型を今に残して、それを商い続けていることに深い感銘を受けるのだが、それはともかくとして
味自体も大変素晴らしい。独特のシャリの締り具合、玉子焼きや海苔の湿り具合が何ともいえない味わいとなっている。
 本当は、作ってから3時間ぐらい経ってなれた頃合いが一番美味しいとのこと。花見や遠足に折詰でも持参すると楽しそうである。
 京阪に負けない江戸の伝統ここにあり。

(2010/3/20)


折詰  30個入りの壮観

っそく、花見に30個入りの折詰を持参。前日に電話予約して、当日の昼頃に取りに行った。
 6135円という値段はかなりのものだが、上の画像の壮観なこと(派手なシートはご勘弁)。これを何人かでつまめば、楽しい花見になるのは必定だ。
 この日のネタは、鯛、おぼろ、卵、海苔(かんぴょう)、海老、コハダ、白魚。笹を巻いた外観からは判別がつかず、また並びも規則的ではないので、一種トランプの神経衰弱のような面白さがある。白魚のような希少タネ(この日は30個中2個のみ)が誰に当るか、喧嘩にならない程度に盛り上がれば楽しい。

 「もち」の良い鮨という、笹巻毛抜鮨の由来や歴史を踏まえると、こうした使い方がやはり似つかわしい気がする。

コハダと鯛

(2010/3/27)


どきにフラリと立ち寄り、10個入りの折詰2047円をテイクアウト。1つきりだから、ほとんど待つこともなかった。
 家に帰ってから夕食にいただく。通例、作ってから3時間後ぐらいが美味しいとされているが、6時間近くも置いたことになる。もっとも、消費期限は翌日の11時までだったので、品質上の問題はないだろう。そして、味の方も全く問題なく美味しかった。

10個入りの折詰  見ているだけで楽しい

 この日のネタは、鯛、おぼろ×2、卵×2、海苔(かんぴょう)×2、海老、コハダ、カンパチ。旬ネタが少なかったのは残念だが、いずれもしっかりとなれて美味。
 やはり塩と酢が強めであるのは否めないが、まあ、そこは通常の生鮮寿司とは異なる次元の食べ物だと承知すべきだろう。特に、コハダと海老は全く違和感もなく上々。そして、しっとり塩味の染みた卵と、爽やかな甘みのあるかんぴょうが、個人的には琴線に触れてくる味わいだ。
 何かと重宝なテイクアウト。熊笹に巻かれた寿司を折詰から取り出すときには、童心に返るような心地がする。大切にしたい店である。

(2010/10/27)


15個入り折詰

かけた足で立ち寄り、15個入りの折詰3076円を買う。休日午後の昼下がりだったが、5分程度の待ちで出てきた。
 実は、詰められる数が覚え難くて困っていたのだが、今回そのコツが分かった。基本的には5個入り、7個入り、10個入りの3種なのである。あとは、その組み合わせ及び倍数になっている。つまり、12個入り=7個入り+5個入り、15個入り=10個入り+5個入り、20個入り=10個入り×2といった具合だ。
 店の案内書きで68個入りまで確認できるが、要するに組み合わせは融通無碍である。タネの配分はどこまで確認されているか定かでないが、数が多くなればなるほど調整の入る余地は大きくなるだろう。まあそれも楽し。

鯛  白魚

小肌  鰆?

海老  おぼろ

かんぴょう  卵

 案内書きでは「七色のたね」と言及されているが、そんなこともあってか今回のタネは8種類・・・だと思う。左上から、鯛(1個)、しらうお(1個)、小肌(2個)、次が正直分かり難いがなんとなく鰆かなぁ(1個)、海老(1個)、おぼろ(3個)、かんぴょう(3個)、卵(3個)。
 おおむねの傾向としては、おぼろ・かんぴょう・卵の3種で全体数の6割を構成し、残り4割が勝負タネ(?)といったパターン。勝負タネと表現したのは、前3種を貶めたわけではなく、希少性につき食べる側で争いになるという意味だ。前3種はむしろこの店の基幹タネと言ってよろしい。
 今回の鮨の味は、やや塩気と酸味が強く感じられたが、そういうものだと割り切っているのでとても美味しく食べられた。
 2人で3000円と少しという価格も妥当なもの。コストパフォーマンスのバランスとしては、15個入りが最も良いのではないかと思う。


(2012/4/7)


折詰

日のランチタイムに立ち寄り、夕食用に15個入り3234円をテイクアウト。
 金額をみて分かるとおり、この平成26年(2014年)2月1日に
価格改定が行われたらしい。カウンターに新しい値段表がプラスチックケースに入れて置かれていたが、写真に撮らなかったのは残念だった。店頭のサンプルの価格表示も、貼り紙で修正してあった。まあ、この店の料理はある意味で文化財みたいなものだから、代金に志を積むことに抵抗は全くない。

すし1

すし2  すし3

 自宅へ戻り、夕食でいただいた毛抜鮨は、相変わらず見た目からして端正で清々しい。
 ネタは、鯛・勘八・白魚・海老・小肌2・おぼろ3・干瓢巻3・玉子3。
 味はいつもどおり、厳然として揺るぎのない味わい。決して美味いだけではないのだが、しっかり美味しい。
 これからも長く後世に伝わってほしい老舗である。

(2014/2/17)


店頭

店内  品書き

抜鮓の長所といったら、日持ちの良いことである。
 寿司というのは、もともと蛋白質の保存性を高めるための熟れずしなのだから、これはもう根源まで遡る本質といっても過言ではない。
 そして、現存する最も古い商品としての寿司である毛抜鮓なのだから、
行楽弁当というのが最も正しい使用方法なのだ(キッパリ)。

東京ドーム  まさに最適




 ということで、店で購入した
10個入り2210円(確か)を2折持参して、東京ドームで野球観戦と洒落込む。
 昼過ぎに買ってから、試合開始して一段落した夜7時過ぎに食べ始めるので、酢を効かせて保存が利く毛抜鮓はおあつらえ向きだ。箸も不要で手間いらず、まさにこうした用途に最適である。
 内容は、鯛、白身、光り物、海老、おぼろ×2、玉子×2、かんぴょう巻×2。今回の白身はカンパチ、光り物はコハダ。片手でビールを飲みながら、ゲームから視線を逸らさずに美味しく食事することができた。
 江戸時代から続く鮓だけに侍ジャパンとの相性も良いのだろうか、試合結果もメジャーリーグ選抜に見事な快勝であった。

(2014/11/15)


ショーケース  帰宅後

から春へと移り行く季節、午後遅くに訪れて、12個入りの折詰2765円を購入。
 所用でおもてをブラブラした後、帰宅して夕食に食べる。タイミング的には、ちょうど良かったのではないか。

その1  その2

その3  その4

 ネタ的には、まあ、いつもどおりである。
 たまには変わったのを見てみたいもので、解説書きにはアワビなどという記載もあるので、いつか出会えることを期待したいものだ。
 今回は、特に鯛と海苔巻きが美味しかった印象。


「笹巻けぬきすし総本店」
東京都千代田区神田小川町2-12
03-3291-2570
9:00-19:00、日祝休
数に限りがあり、作るのに時間もかかるので、多く注文する場合には電話予約するのが望ましい。
最終訪問日 2015/2/10