『鳥久』


 ひと休みしてから、名古屋まで出て夕食をとる。この旅最後のイベント、近頃流行の名古屋グルメだ。
 味噌煮込うどん、きしめん、手羽先、味噌カツといったあたりは食べているので、今回はやや高級に
名古屋コーチン料理を選択。

鳥久の佇まい

○ 鳥久
 <所在地> 愛知県名古屋市中村区名駅南1−1−15
 <電話番号> 052−541−1889
 <営業時間> 12:00−22:00,日休

 名古屋を代表する
かしわ料理の老舗である「鳥久」は、納屋橋近くの堀川沿いに店を構えている。建物は明治17年の建築で、年季の入った板塀に囲まれた風情ある佇まいである。
 個室もあるのだが、2階の上がり込み座敷がもっとも気軽に利用できる。畳の大広間を衝立で仕切り、奥から順に客を入れていく。とはいえ、予約で行くのが間違いないだろう。

上がり込み座敷

 献立は会席から一品料理まであるが、やはり鍋料理コース6800円/人が定番である。
 鍋の種類は、すきやき、白たき、味噌たきからの選択となるが、ここは当然、
「味噌たき」を選択する。
 なお、この店では鍋の調理は仲居さんがやってくれる。個室でないとどうかと思ったが、上がり込みでもしっかり付いてくれる。ただし、かけもちになるのでやや忙しい。

付き出し

刺身  
3色焼き

 まずお茶と一緒に出るゼリー菓子を食べて、しばらくすると付き出しが出てくる。タレのかかった煮鶏と枝豆と卵の寄せ物。
 続いて、刺身が出てくる。ささみの湯引き、砂肝。
 さらに焼物は、モモ・皮・レバーの3色焼き。
 いずれも派手な美味という訳ではなく、むしろじっくりと味わえる。焼物が少し冷め気味だったのは残念。

  味噌たき鍋  色は濃いが味はあっさりタイト

 そして、いよいよ味噌たき鍋の登場。
 厚手の鉄鍋を熱して、鶏脂の塊を投入。溶けてきたところで、まずタマネギを炒める。後でネギも入るので面白いのだが、甘みとコクを出すためだろう。
 ネギ・シラタキ・豆腐・椎茸などの野菜を入れて、秘伝の味噌ダレを加える。肉は、正肉とレバーのほか、つくねを柔らかく落とす。
 そして、とどめにはら玉、関東ではチョウチンと称する、産み出される前の卵を投入。

 よく言われるように、味噌ダレの色は極めて濃いが、味はそれほどでもなくアッサリしている。
 また、どちらかというと甘辛い味で、ややもすればクドイのではないかという先入観も持つが、コクはあるものの引き締まった味わいで、甘ったるいところなど微塵もない。味の染みたつくね・豆腐・しらたき等は本当に美味。口に端正な当たりで、しかもビールにも酒にも合う。

きしめんと御飯で締め

 締めにきしめんを追加注文して、鍋汁で煮て食べる。
 さらに御飯、メロンまで出て終了。
 ずいぶん酒が進んだので、お勘定は2万円と少し。しかし、
長年の憧れだった味噌たきが食べられて満足
 鳥久は、仲居がついたり高級そうなイメージがあるが、むしろ上がり込みの座敷は、東京でいえば桜鍋の「みの家」やどぜう鍋の「駒形どぜう」のような雰囲気を感じた。あまり色々な種類のものを食べるよりも、単品を少々と鍋をサクッと食べて、短時間で席を立つぐらいが、粋な使い方なのではなかろうか。


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