『大井食堂』


 空港を出て、まずは国道28号線で鳴門方面に向かう。
 時間は正午前なので、まずは昼食の場所が問題である。あまり時間もかけられないので、事前に鳴門うどんの店に狙いをつけていた。
 鳴門うどんとは、お隣の讃岐うどんとは全く異なるタイプのうどんである。ざっくりと言えば、ダシの効いた汁がメインで、麺は讃岐のようなコシのある「重層構造」タイプでなく、当たりの柔らかな「ベタ踏み」タイプといったところか。ネット上では「癒し系」といった表現も目にする。
 近年では、
「鳴ちゅるうどん」という今ひとつ格好良くないネーミングで売り出し中。それが一般名詞として定着して、そこから多様に展開する段階に至ればともかく、一般名詞としてのアピールに努めている最中というのは、とかく人為的な気恥ずかしさがある。

大井食堂の店構え

○ 大井食堂
 <所在地> 徳島県鳴門市撫養町南浜字東浜603
 <電話番号> 088−686−4079
 <営業時間> 10:00−13:30(売切御免)、不定休(基本・木)

 訪問したのは、撫養町の超老舗、鳴門うどんの名店といわれる
大井食堂
 観光協会作成「鳴ちゅるマップ」にも掲載されているが、一時的なムーブメントとは一線を画する、地に足のついた老舗うどん屋だ。
 店内はテーブルが6卓ほどのシンプルな造り。飛び込んだ正午少し前にはまだ空きがあったが、昼を過ぎたら続々と客が入ってきた。観光客と地元民のいずれにも支持されている様子だ。
 メニューも実にシンプル。基本的に、うどん(小)350円、(大)700円のみ。それに竹輪入り、玉子入りという2種類のトッピングが重なる。

うどん竹輪入りの大小

 私は竹輪入り(大)800円、相方は(小)400円を注文。大小で値段が倍というのが妙だったが、出てきたのをみれば納得(上写真)。私的には、大がやや多めの普通盛り、小はほとんどおやつの領域だ。店名が大書された小さな丼がまた可愛らしい。
 色の薄い汁にやや不揃いのうどん、刻んだ油揚げとスライスした竹輪、青ネギがシンプルに配されている。汁を啜ると、煮干しと鰹と思しきダシが効いており、色は薄くても味は塩辛い。うどんはかなり柔い食感だが、讃岐とは質の異なるコシがある。それが、素朴ながらもダシや具と見事にマッチングしている。
 鳴門うどんは実に美味しかった。よく考えれば、讃岐うどんが全国津々浦々まで浸透する以前は、こうしたうどんが身近だった。我々の世代には懐かしく感じられる一杯である。


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