『一ぜんめし揚羽屋』


(2006/7/9)

 仕方ないので、ここで昼食をとることにする。
 選んだ店は、一ぜんめし揚羽屋。かつて島崎藤村も通ったという、知る人ぞ知る名店である。
 といっても、形式ばった店ではなく、ごく普通の町の食事店といった風情。店の造りは年季を感じさせ、店内は薄暗く、壁や柱は黒光りしている。有名人の色紙が沢山あるが、すっかり色がくすんだものも多い。

揚羽屋の外観  店内の様子

○一ぜんめし揚羽屋
 <所在地> 長野県小諸市大手1−3−17
 <電話番号> 0267−22−0382
 <営業時間> 11:30−22:00、木休(祝日は営業)

 ビールを2本飲んでから、一ぜんめし1460円に鯉こく600円を追加していただく。
 一ぜんめしというのは、自慢の豆腐を中心とした定食。揚げ豆腐や肉巻などの3点盛り、おから煮、鯉洗い、揚げだし豆腐、それに御飯・味噌汁・漬物といった構成で、いずれも酒の肴になるし、御飯のアテにも最高である。

一ぜんめしと鯉こく  これぞ日本の正しい“メシ”である

 鯉洗いは、佐久鯉の本場だけあって美味しい。臭みは一切無いが、鯉ならではの食べ応えのあるコクが良い。
 別注文の鯉こくは、まさに絶品。味噌はそれほど甘くなく、すっきりと仕上げられている。そして、鯉があっさり淡白に炊けており、見事なマッチングである。鯉の味がくどいと思い込んでいる人は、ここで鯉こくを食べてみると良い。私的には、それなりに濃厚なのも好きなのだが、あっさりと炊けた鯉こくは驚きの美味であった。

絶品の揚げ出し豆腐

 そして揚げ出し豆腐も最高である。カリッと揚がって香ばしい外側を噛み破ると、中から豆腐の良い香りと味わいがあふれ出す。う〜んタマラン。
 なお、店内の円形水槽には沢山の千曲鮎が泳いでいる。体長20cm程度で、実に元気である。ここで昨日の雪辱を果たそうかとも考えたが、一ぜんめしが十分完結したボリュームをもっているので、満腹ではむしろ失礼であると泣く泣く見送った。
 しかし、一ぜんめし揚羽屋は、旅行の掉尾を飾るに相応しい、素晴らしい店であった。またの来訪を心に誓う。


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(2008/7/5)

○ 一ぜんめし揚羽屋
 <所在地> 長野県小諸市大手1−3−17
 <電話番号> 0267−22−0382
 <営業時間> 11:30−22:00、木休(祝日は営業)

揚羽屋  揚羽屋の店内

 夕方もまだ早い頃合い、満を持してこの小旅行の目的、「一ぜんめん揚羽屋」を訪れる。
 テーブル席に陣取り、ビールを飲みながら水槽の方を一瞥・・・
 あ、鮎がいない。「鮎は・・・」かろうじて押し出した私の声を聞きつけた大奥さんが、「今日の鮎は終わっちゃいました」と一言。
 ここに、この小旅行そもそもの目的が根底から崩れ去ったのである。ショック!

稲子と鯉洗い  豆腐揚げ出し

 クラリとよろめき崩れようとする意識を奮い立たせて、必死の思いで態勢を持ち直す。
 何も鮎だけが全てではない。他にも美味しいものはあるのだ。そして、グッと涙を堪えつつ、鯉洗い、稲子、揚げ出し豆腐を注文。
 この店の鯉洗いは比較的すっきりしたタイプで、酢味噌に合わせて食べると、いくらでもビールが飲めてしまう。洗いというと締めすぎたものが多いが、この店の洗いはキレのある鮮度感が白眉だ

 揚げ出し豆腐は、昼食でもおなじみの逸品。こんがり揚がったところを紅葉ポン酢で食べると、これまた美味。しみじみと笑みが浮かんでくるようだ。

逸品の稲子

 しかし、最も印象に残ったのは稲子。イナゴの佃煮である。
 私はこれが大好物なのだが、この店の稲子は黒灰色というか、深みのある色合いをしている。そして、さっくりと軽い歯応えが素晴らしい。実に見事な炊き具合で、洗練された味わいである。これほどの稲子は滅多に食べたことがない。

ハヤの唐揚  山菜の盛り合わせ

 飲み物を日本酒に変えて、さらにハヤの唐揚を注文。
 ハヤもこの日の白眉。よく開いて揚げることが多いが、上左画像のとおり、丸のまま揚げてある。ぷっくらと張ったハヤは、齧るとホワッと湯気が上がり、えもいわれぬ美味しさ。甘辛くて香ばしいタレとほっくりとした白身の味が見事にマッチしている。添えた山椒芽の佃煮も良い組み合わせ。
 さらに山菜盛合せを注文。大根おろしと鰹節をかけた山菜は、口味をさっぱりとさせて嬉しい。

鯉こく  名物・かつ丼

 鯉こくは、筒切りにした各部位の味わいが楽しい。
 私はなによりもこの店の味噌が好きだ。すっきりとした旨味で、軽やかだけど染み入るような美味さ。鯉との相性が素晴らしい。
 そして、この店の隠れた名物・かつ丼。以前から人気メニューであったが、ある頃にテレビ絡みでブレイクしたらしい。経緯には複雑なものを感じるが、味そのものは単純に美味い、素晴らしいかつ丼だ。これならば人気なのも当たり前。
 かつに染みたタレの味が、薄甘くてかつ辛い。先ほどのハヤのタレと同じだろうか。脂が多めのトンカツ自体も美味いが、すっきり軽くてキレのある味わいが印象的である。漬物と味噌汁が付いてくる。

 以上、鯉こくとかつ丼は2人前で、他は1人前。ビール、酒と合わせて締めて約8000円のお勘定。
 安いし、かなり腹いっぱいになった。もう1軒、鮎が食べられそうな店を探そうかとも思っていたが、もう食べられない。

暮れなずむ揚羽屋


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