平成10年10月19日

北海道小樽の観光名物は、小樽運河、石原裕次郎記念館、マイカル小樽、ガラス館、青山別邸などであるが
私はそういうものより、大正、昭和初期の古い建物の方が興味ある。
小樽市内の国指定重要文化財、道指定有形文化財、小樽市指定歴史的建造物を訪ねる日程である。
その1からその3まで三つに分けたのは撮ってきた写真が多すぎて、これを全部一つもページにすると
ロードに時間が掛かって、見ていただく方にご迷惑になると思ったからである。
その1からその3までは、写真の対象が違うだけでよく似た企画である。

そういう前提で、その3までご覧いただきたくお願いします。


札幌を9時過ぎに出て、10時前に小樽に着いた。今日はやや風があり、ちょっと寒い。
小樽駅について、びっくりした。着いたホームの反対側のその向こうに蒸気機関車が客車をつないで
停まっているではないか。
これは写真に撮らんといかんと思って、階段を駆け上がり、隣のホームへ行く。


「SLニセコ号」
札幌〜蘭越間を走るSL、11月中旬まで土、日、祝に走っている。

ちょうど、大きな汽笛を鳴らし、煙を噴き上げ走り出しところだった。

珍しい写真を撮れて喜んだ。

こんな珍しいSLなのに、カメラを構える人は2〜3人しかいない。
どうしてもっとたくさんのアマチュアカメラマンがいないのだろうと
不思議に思った。後で調べてみると、上記のとおり、毎土日に
走っているのだ。それならそんなに珍しいわけはないと言うことだ。


SLの写真を撮っているうちに、10時ちょうど発のバスに乗り遅れた。旅行カバンをコインロッカーに預け
次のバスを待つ。

小樽市街地の中心街は後にして、まず小樽市の西北部の祝津というところへバスで行くことにした。
水族館行きのバスに乗って20分ほどで終点に着いた。

小樽湾の見える小高い丘の上に「鰊御殿」がある。


鰊御殿
道指定有形文化財

なぜ、にしん御殿がこんな丘の上にあるのかと疑問に思ったら
積丹にあったものを昭和33年に解体移築したとある。
元の建物は明治30年に竣工したもので、当時鰊大尽と
いわれた田中家の鰊番屋である。
一部2階建て、総面積185坪、ここに多いときはやん衆と
呼ばれた使用人が100人も住んでいたそうである。
中には当時の生活用品、漁具などが展示されている。


この鰊御殿の下には、やはりにしん番屋だったと思われる廃屋となりかけている建物があった。
私には、こちらの小屋の方に心を引かれるものがあった。
さらにもうすこしバス停よりに、群来陣という名の和風料理店があり、その建物は元はやはり鰊大尽の
白鳥家番屋(明治10年)である。

この鰊御殿を見て、またバスで小樽市街地に戻ることにした。
その途中に、バス道路からすこし山の方へ入ったところに、「青山別邸」というのがある。
祝津の三大網元だった青山家の大豪邸(大正7年建造)である。そちらは入場料が1000円いるし、わざわざ
豪邸の中を見るのに興味もないので、寄らなかった。青山の本邸というのは、秋田だったかどこか、北海道では
ない本州にあったと思った。
バスで引き返し、錦町というところで降りた。その手前に小樽交通記念館という公園があり、その一部が
国指定重要文化財の手宮鉄道施設になっている。蒸気機関車そのた、北海道で初めてできた鉄道の施設が
保存展示されているが、入場料が940円もいるのと時間がないので、パスした。

錦町のバス停のすぐそばに旧日本郵船小樽支店がある。


旧日本郵船小樽支店
国指定重要文化財
明治39年建造
ポーツマス条約による日露国境画定会議が行われた
歴史的場所。
内装、調度品など当時の姿が忠実に復元されている、
商都小樽の華やかな時代が実感できるとある。
中へは入らず、次へ急ぐ。




旧広海倉庫(明治27年)
小樽市指定歴史的建造物

現在も倉庫として使われいるのかどうか不明。
この横の倉庫は改装中だった。
なにか、観光客相手の店に改装するのではないかと
思われる。
小樽にはこういう倉庫が、それこそ何十とある。
このあたりははずれになるが、もっと南側、中心に近いところ
は、観光客相手の料理店になったり、テナント募集中の
ところも目に付いた。


ここから小樽市指定歴史的建造物の一覧地図を見ながら、次の目的物を探して南へ向かう。


ここは別に小樽市指定歴史的建造物になっているわけ
ではない。普通のたばこ屋兼酒屋さん。
しかし、いかにも古そうな店なので、写真を撮った。
小樽には、こういう店が至る所に残っていて営業中である。



渡邊酒造店(昭和5年)
小樽市指定歴史的建造物




旧早川商店(明治38年)
小樽市指定歴史的建造物
文房具屋のようだった。
木骨石造りだが重々しい感じのする建物である。



大家倉庫(明治24年)
小樽市指定歴史的建造物の指定第1号なので
写真に取り上げた。
正直言って、こういう倉庫を写真に撮っているときりがない
感じである。


旧安田銀行小樽支店(昭和5年)
現在は北海道経済新聞社
小樽市指定歴史的建造物

小樽に残る古い建造物は、なんと言っても
旧日銀(後で紹介)、旧日本郵船だが、その次は
この建物だと思う。
私は今日一番の掘り出し物だと思った。



同じく旧安田銀行小樽支店

交差点の別の角度から

なんともいえぬ風情があると思う。

小樽はこういう街である。



小樽その1は以上