平成12年5月6日
JR中央線薮原駅〜中山道〜鳥居峠〜奈良井宿、木曽福島町内散策 14.3km

今日はすこし遠出をして上記コースを歩いてきた。
今日のポイントは2つある。
中山道奈良井宿(長野県楢川村)は江戸時代から明治の建物が残っていて、町並みが
文化庁の「重要伝統的建造物群保存地域」の選定を受けているということであるので、
是非見たいということと鳥居峠という標高1,197メートルを越えて歩いてみたいということで
ある。
そのため、JR中央線の一つ手前の薮原駅から歩くことにした。

今まで何回か書いたかと思うが、名古屋方面から中央西線は中津川までは1時間に2回快速が
定期的に走っているが、それから以遠は本数がない。
平日でもそうだと思うが、特に土曜日休日は極めて不便である。
まして木曽福島以遠は特急しなのの臨時停車か春秋のハイカー用の臨時電車を利用するしか
ない。
特急は特急料金が馬鹿らしい。
そういうことで、「ナイスホリデー木曽路」という臨時電車に乗ることにした。
これは6月25日まで土曜休日に普段は中津川行快速を塩尻まで延長運行しているものである。
しかし、中津川以遠の駅がJR東海の「さわやかウオーキング」の指定コースになっている日は
電車が満員なので、その指定になっていない日でなるべく空いていそうな日ということで
この日のゴールデンウイークの終わりの土曜日にした。

この電車で行くと薮原着が10時50分くらいで、欲をいえばもう1時間くらい早いほうがいいが
電車がないから仕方がない。

「歴史の町並みを歩く」という本の奈良井宿の部分を読み、楢川町と木曽福島町の
ホームページの観光案内をプリントして出掛けることにした。

薮原から鳥居峠を越えて奈良井まで約8kmで普通なら2時間だが、なにしろ1197メートルで
ある。どれくらい時間が掛かるかわからない。2時間半くらいで歩いて奈良井の町を見て
3時間で済めば、その時分に木曽福島行きの電車があり、それに乗れれば、福島で1時間
くらい時間があるので福島の町を歩いてこようという計画である。

朝8時車でJR中央線の釜戸駅へ向かう。いつものとおり車を停めさせてもらって
早目に駅について電車を待つ。

釜戸駅に着くと、丁度名古屋から中津川行きの電車が着いた。ハイカーらしいグループが
7〜8人降りてきた。
「さわやかウオーキング」のフリーコースを歩くのかと聞くとそうではないらしい。
これから大湫まで行って恵那まで中山道を歩くということ。タクシーがあれば大湫まで
タクシーに乗るとか。「1時間くらいですよ、歩かれたらどうですか」と言っておきた。
歩く場合の九十九折れの道の近道を教えてあげた。

10分ほど待って「ナイスホリデー木曽路」がきた。
そこそこの乗客である。アナウンスを聞けば、自由席4両、指定席4両らしい。
日曜日とか「さわやかウオーキング」の指定コースの日なら自由席は満員だろう。

中津川以遠に行く人はほとんどがハイカーである。
南木曽でかなりの人(数十人)が降りた。南木曽がやはり「さわやかウオーキング」の
フリーコースになっているので、そこへ行く人であろう。南木曽で特急の通過待ちの
ため10分ほど停車した。その間外へ出て、隣の席の人と雑談。
「ワイド・フリーキップ」というので、今朝は恵那の町を歩いてきた。これから奈良井へ
行ってぶらぶらして、木曽福島へ寄るとか言ってました。ワイドフリーキップは
木曽福島までが範囲になっているので、奈良井との往復を800円だとか。

上松の手前で車掌のアナウンスあり、トンネルを出ると左下が有名な寝覚めの床
で景色の綺麗なところですとのこと。
カメラをだして、準備する。


電車はスピードを落とし、
停まるのではないかという
スピードでゆっくり動く。
これもサービスなのかな。
確かに綺麗な景色である。
写真を撮った。







木曽福島では御岳へでも登るのか、登山の格好をしたグループが数人降りた。


10時48分に薮原着。
ハイカーらしいのは、中年の夫婦連れ1組、40代の男性1人と私の4名。
駅員に案内書をもらう。
パンフレットと手書きの地図をくれた。
「この駅で相当高いでしょう。標高でいうとどれくらいですか」と聞くと「820メートルくらいかな、
丁度桜が満開だよ」とのこと。
「すると鳥居峠というても後300メートルあまり登るだけですか」「そうだね、歩いて40分くらいだわ、
そこから奈良井へ下りるほうが時間がかかる、1時間くらいは掛かるよ」とのこと。

1197メートルの鳥居峠といえども、ここからなら300メートルほど登るだけというのには
拍子抜け、安心というか、がっかりというか。

夫婦連れに話かける。鳥居峠へから奈良井へ行くのですかと聞くと、そうだそうで、去年も
今時分にきたそうで、休憩しながら行ったので2時間半くらいかかったとのこと。

11時ごろ歩き出す。


薮原も中山道の宿場があったところなので、町を通って鳥居峠に向かう。
町並が昔の街道という感じもするが、奈良井のように昔の建物、町並みを特に保存
しているものではない。全く面影はないに等しい。


一軒、古そうな商店があったので
写真を撮る。

ぶらぶら歩いていて、鳥居峠への
案内を見落とし、先ほどの夫婦連れに
声を掛けられ、こっちですよと
注意される。

中央線をくぐった辺りから、上り道に
なる。


後は標識があちこちにあるので、迷うことはなく、かなりの坂道をゆっくり上って行く。
確かにあちこと満開の桜を見る。

山道に入ってて、土の道、石畳、土の道となる。
「熊よけの鈴、鳴らして下さい」という看板と鈴がある。
この辺りは熊が出るらしい。この程度の鈴で効果があるのか。
この熊よけの鈴は3箇所か4箇所にあった。私は鳴らさなかったが、だれか鳴らしたと見えて
やさしい鈴の音がどこかでしていた。

案内板によれば、鳥居峠は木曽川と奈良井川との分水嶺とある。奈良井川はやがて千曲川犀川を
経て信濃川になるとか。信濃川といえば日本で一番長い川だったか。この川が源流かどうかは
知らないが、どちらにしても随分遠くにあるものだ。


40分ほどで鳥居峠の頂上らしい所に着く。鳥居峠という看板がなく、御岳山の遥拝所という標識と
ちいさなお宮さんがある。
ここが頂上ではないかと思いつつ、もう少し先かなと歩き出す。
向かうからきた数人のグループに合う。奈良井から登ってきたそうで、これから先は下る一方です
とのこと。
するとやはり先ほどのところかと思って引き返す。
駅であった男性もいた。写真を撮ってもらう。
鳥居峠は、峠といっても、馬篭峠のようにはっきりした頂上ではなく、中山道がこの辺りの
一番高い稜線を横切っているところであろう。そのため別に見晴らしがいいわけでもない。
地形的には頂上というより、鞍部という感じである。
いずれにしても拍子抜けである。たいした上りではなかった。
この辺りは木が伐採されているのか、植林されていないのか、木がすくない。
そのため風が強い。今日なんか心地よい風だが、その当時もこんな風だったら、
中山道を旅する旅人にはきびしい風だったろう。特に冬は。


そこからゆるやかな下りをどんどん下っていく。
なかには山を斜面を降りる道は、人が一人しか通れない狭い道だが、なんぼなんでも
当時の中山道は天下の中山道である。大名行列もあったろうし、駕籠や馬も通ったろう、
こんな狭いはずがない。別のルートだったのではないかと思う。

それ以外はいい道である。
鳥居峠は中山道の一つの難所とかいうが、昔の旅人なら、この程度の峠は物の数では
ないように思う。

奈良井から登ってきたグループに何組か会う。

下るうちに奈良井が見えてきた。


峠途中から見た奈良井

つづら折れの道を下りていくと
奈良井宿である。


12時40分、奈良井宿着
観光客が多い。先週の妻篭と大違いである。
こちらは子供づれ、若いカップルが多いように思う。


中村邸という古い商家の建物

中も公開されているので200円払うと
入れる。私は民俗という面にはあまり
興味がないので、古い家の中を見ても
しようがないと思って入らなかった。

本に寄れば、この家が奈良井の町並み保存の
出発点となった家だそうである。
長らく空家となっていたこの建物に身売り話が
持ち上がり、村では他所でそれほど評価のある
建物なら地元で保存しようということになり、
奈良井の町並み見直しの切っ掛けとなったと
ある。

これらの運動が実り、文化庁の
「重要伝統的建造物群保存地区」の選定を
受けた。


とにかく観光客が多い。
人影の入らない写真は
不可能である。

残念なのは、車の通行が
禁止になっていないので
車も通ることである。

日曜日とかさわやかウオーキング
の時は大変だろうと思う。



これも本の受け売りだが
奈良井宿の400戸のうち
江戸時代、明治初期の建物が
230戸あるというから、
見ごたえがあるはずである。

煙草やとか酒やとか喫茶店
民宿、郵便局、その他普通の
商売やさんもこういく建物の
ままで営業をしている。
醸造元の酒屋さんがあり、その
店頭は昔の町屋の酒屋さんという
のはこんなだったかなと懐かしく
中の写真を撮りたかったが
荷物になるものは買わないので

さすが頼みにくく中へ入らなかった。



写っている車は焼き芋売りの車
向こうへ行くのをじっと待って
いたが、エンジンを掛けっぱなし
で停まっていて、エンドレスの
テープを流している。
焼き芋1本100円と同じことばかり
いうが買う人いない。
100円は安いかもしれないが
こんなところへ来て、何故焼き芋
を買う必要があるのか。
ディーゼルエンジンをかけっぱなし
にして、メインの通りに車を
置いて、観光客の不信、顰蹙を
買うだけだと思う。






バイクの青年に写真を撮ってもらう。
バイクを止めて、町屋をバックに
バイクの写真を撮っている青年
(まだ学生の感じ)に話し掛け、
写真を撮ってあげ、私の写真も
撮ってもらった。
三河ナンバーだったので、どこから
きたのと聞くと西尾だという。
大きいバイクだ。何CCかと聞くと
900だという。逆輸入車か
100万円くらいするかなというと
115万円したとか。
後ろにテントか寝袋か大きい
荷物を積んでいる。あんたの
宿泊設備かというと笑っていた。
黒部ダムまで行って、今から家へ
帰るところとか。
私も自動二輪の免許がある(普通自動車の免許に勝手についていただけだが)こと、125CCのバイクに
しばらく乗っていたことなど雑談する。
写真を写すとき、後ろに車がきているから、ちょっと待ちましょうかと気を使ってくれたが、「いいよ」と
いってので、そのまま写真を撮ってくれたが、やはり車は写っていないほうがよかったな。


そのまま駅まで行ったが、電車まで30分くらいあるので、木曽の大橋というのを見に行く。
木曽川にかかる、大きめの木の橋である。丸い太鼓橋というのか、別にどうというものでもない。
そのそばが公園になっていて、家族連れなどが弁当を食べたり、芝生で子供を遊ばしている。

1時半くらいなので、私も昼食にした。おにぎり1ッ個食べる。特に空腹でもないし、このまま食べないで
木曽福島で「車屋」という有名なそば屋でビールを飲みながらそばを食べるのも一興かと思ったが
まあいいかとおにぎりを食べる。

横のベンチに中年の女性(50代初め)が来て、カメラを置いて、やはり弁当を食べ出した。
しばらくして話し掛ける。
奈良井の町の写真を撮りにきたのかと聞くとそうだという。
奈良井の町並みに車が通るのが、やはり気に入らないとのこと。
妻篭へは行ったことがありますかと聞きと、宿場の写真をよく撮りに行くそうで、今日も
薮原で電車を下りて、町を歩いてきたが、薮原宿は宿場としてはだめだったという。
やはり鳥居峠を越えてきたそうで、きつかったと言ってました。
(あれぐらいできつかったら中山道は歩けんわと言いたいところだが)
カメラは何ですかと聞くと、さあーという。カメラを見るとミノルタで、撮影シーンに合わせるアイコンが
あったので、ミノルタのアルファースイートかと思ったが、不明。女性は自分のカメラの機種にも
無頓着なものらしい。ズームがセットしてある。いつもオートで撮っているそうで、前のカメラは
ズームは自分で合わせる必要があったとか、言ってました。
このズームを標準レンズにして、これをつけっぱなしにしているのでしょう。
今まで行った宿場でどこが良かったかと聞くと、三重の関宿だったとのこと。
人が少なかったのが良かったということでした。
宿場をあちこち行っているのなら、もっといろいろ話があってもよさそうなのですが、疲れているのか
弁当を食べているのに話し掛けられてうっとしいのか、今ひとつはっきりしない人でした。
関宿は私も近いうちに行ってみたいところなので、この点だけはこの人の話に納得。




奈良井駅に着き、駅の横の桜が見事だったので写真を撮る。

今年最後の桜だろう。


2時前の木曽福島行きの電車に乗って、2時半ごろ福島に着く。次の電車まで1時間あるので
町を歩いてこようと駅を出た所で、朝同じ電車にいた人に会う。
これもういらないから上げますといって、案内地図をくれた。
福島関所へ向かう。歩いて10分あまりのところである。
その横に高瀬家というのがあって、昔の家らしいが、島崎藤村の姉の嫁ぎ先だそうで、小説「家」の
モデルとか。中へ入るのに200円要る。中へ入らず。


福島関所
福島関所は天下の四大関所だったが
明治2年に廃止された。昭和50年学術調査を
経て復元されたそうである。
資料館になっていて、中に当時の資料などが
展示されているそうだが、入場料300円必要

入るほどのこともないので、そのまま
他へ向かう。


他、代官屋敷の一部が保存されていて、中へ入ることができるが、また300円要るので敬遠。

福島は大して見るものがない。当時は大きい宿場だったろうが、そのためこの辺りの
行政、経済、商業の中心となり、そのためかえって昔の建造物その他昔のものは残っていない
のではないかと思います。私には何の情緒もないと所と思いました。
ドライバーが車屋のそばを食べにくるだけではないかと思いました。

3時半の電車は座れましたが混んでいました。ワンマンカーのせいか遅れていました。
中津川へ着くのが10分以上遅れた。JRが事故もないのにこれだけ遅れるのもめずらしいのでは。
名古屋行きの快速がこの電車を待っていたので、心配していたが、快速に乗れました。
4分遅れの発車でした。
釜戸に5時ごろ着いて、家に6時帰宅。
今日の歩数21850歩

以上