2013年12月31日 歳末風景

大晦日、午前10時ごろ家を出て、瀬戸の街をゆうくり3時間ほど歩いてきた。
スマホで写真を撮ってきた。

いつもよく歩くコースである。

東公園から瀬戸の古い街を通り、商店街を通り抜けて、自宅まで帰ってくるコースである。
自宅へ帰る前に、ショッピングセンターで、昼食を食べてくることもある。


ざっと見たところ、営業しているのは、すぐ前の燃料店と
向こうにサインポールが見える理容店だけのようである。

この燃料店も、薪や石炭を売っているわけではない。
プロパンガスが主商品であろう。
瀬戸の陶磁器産業が華やかなりしころは、工場で使う燃料の商売が
忙しかったはず。
それでも、年末でも、ちゃんと店を開けているのは立派である。

「歩ききて 歳末の街 人もなし」




理容店

表のガラスのドアーに、何か絵のようなものが書かれているのが、
ちょっと興味を引いた。

中には客はなかったようである。




瀬戸の中心街へ向かって歩いている途中にあった店。

ノベリティグッズを売っている店のようである。
アメリカの車のナンバープレートかそのレプリカをベタベタ張ってある。
今日はクローズである。





陶器店

小物の瀬戸物を売っている店のようである。

小さい陶器がたくさん並んでいる。



商店街に入る手前に魚屋があった。
普段は、あまり客が入っているのを見たことがない。
さすが、年末である。正月用の魚を求める女性客が数人入っていた。


末広通商店街

食品スーパー

年末の買い物客で賑わっている。




理容店

客は入っていない。



隣の商店街や裏通りにある理容店など、今日は歩いている途中で
5軒の理容店を外から覗いてみた。
そのうち、どの店にも客は一人も見なかった。
大晦日に理容店に客が入っていないというのは、昔の姿を知っているものには驚きである。
理容店の大晦日は、朝方まで超多忙だったものである。
商店や小企業の経営者が従業員は、大晦日は集金に走り回って、
店を閉めるのは、年末の紅白歌合戦が終わるころである。
それから店の人たちは、新年を迎えるため、理容店や美容店へ行ったものである。
だから、理容店、美容店が大晦日、シャッターを下ろすのは、そろそろ夜が明けるころだったのではないかと思う。
ある理容店店主も言っていた。「普通の家庭の人も、床屋がまだやっていることを知っているから、
NHKの紅白を見終わってから散髪にくる人もいた。
お客の散髪をし終わってから、自分たちの頭をかるものだから、朝方になってしまう。
全部終わって、店の掃除をしていると、顔なじみの客が、「初詣に行ってきたよ」と言って
店を覗いてくる人がいたものですよ。」

これは日本の高度成長期の話だとしても、その後でも、年末や休日の理容店は、混んでいた。
理容店へ行けば、必ず先客がいた。
わたしの自宅の近くの理容店が予約を取るようになったのは、比較的最近平成になってからだと思う。
客が少なくなってからである。

理容店の客が少なくなったのは、日本の少子化高齢化の影響を受けているからであろう。
高齢化で仕事をリタイアした人は、外出するのも少なくなるから、
現役時代のようにきちんと整髪する必要もなくなる。
今まで、1ヶ月ごとに髪をカットしていたのに、リタイア後は1ヶ月半に1回と間隔が長くなる。
髪も少なく薄くなるから、それでもいいわけだ。
また、小学校や中学校の生徒も減っているから、当然子どものお客も少なくっている。

現在は、どこの街でも同じだと思うが、組合に所属していないアウトサイダーの理容店が増えている。
料金も組合加入の店の半分や3分の1である。リタイアしたシニアなら、そんな店でカットしてもらえばいい。

わたしは、組合加入の店の理髪料金は高すぎると思う。
日本経済はずっとデフレが続き、消費者物価は下がっているのに、理容代金は下がっていない。
前の消費税アップのときに、理容料金が上がったくらいである。

組合加入の店の店主は、アウトサイダーの理容店を「安床」といって、技術が悪いとか、衛生状態が問題があるとか
文句を言って、忌み嫌う。
そういうアウトサイダーの理容店へいく客を軽蔑し、恨んでいるようである。
しかし、正規の理容店は、アウトサイダーの理容店に比較して
2倍、3倍の料金を取るだけのサービスを提供しているのか、疑問だと思う。
要するに「おもてなし精神」が不足している。

だから、大晦日でも閑古鳥が鳴いているのである。

「大晦日 髭剃る客も なき如し」


商店街
年末である。店を開けていても、どこもお客はいない。
歩いている人も少ない。

といっても、大きなショッピングセンターが、超満員というわけでもない。

商店街不振の主な原因は、藻谷浩介「デフレの正体」でいうところの
生産年齢人口(18歳〜64歳)の激減だと思う。
人口が減って、このあたりに住んでいる人が減った。
しかも、その構成内容も、お金をよく使った世代が少なくなって、高齢者が増えた。
だから、消費が減って当然である。



末広通商店街を通り抜けて、深川神社前にある宮前商店街に寄ってみた。
入り口の名物の焼きそば屋は休み、正月5日から営業しますという。
端の鰻屋はやっている。


この鰻屋の店は狭い。
せいぜい10人入ると満席である。

よく土曜日や休日の昼ごろは、表の椅子に座って
数人の客が待っている。

今日も何人か、待っていた。
椅子に座れない客は立って待っている。

子どもがおなかがすいているのか、ぐずっていた。

「年の瀬の 鰻の匂いに 待つ子かな」




もうひとつの銀座商店街

ここも、同じようなもの

人の動きもちらほら。



だいぶ歩いて空腹になってきたので、家へ向かった。

途中、瀬戸市文化センター前の池を見たら、魚釣りをしている人がいた。



家では、大晦日で忙しいだろうに、大丈夫か。
だから逃げ出してきたのだろうか。

折りたたみ椅子をもってきて、ゆうゆうと魚釣りである。

わたしは、こういう人が好きである。
敬服してしまう。


「行く年に 一人背を向け 糸垂れる」


以上