平成19年5月24日

名古屋市西区中小田井

名鉄犬山線「中小田井」駅近くには
旧岩倉街道(名古屋から岩倉に通じていた街道)沿いに
すこし、古い町並みが残っているので、その写真を撮りに行った。

何年か前にも行ったことがある。

写真を撮りに行くのは、通常、日曜日が多い。
今日は、平日の午後なので、多少雰囲気が違うかもしれない。

岩倉街道沿いの集落に入って、すぐ大きい屋敷が目についた。

昔でいう、このあたりの庄屋とでもいうのか

ずいぶん立派な家である。

間口も立派なら、奥行きもずいぶんある。



この大屋敷横の路地から
奥行きが見える。

ずっと向こうまで、黒い建物と塀が続く。

右側は相撲の土俵がある。





なぜこんなところに土俵があるのか、疑問に思ったので
この先の米屋さんで、聞いたところ
近くにある善光寺別院願王寺というお寺が
大相撲のある部屋の合宿所になっており
名古屋場所が始まるころになると
力士がやってきて、ここで稽古をするそうである。

ずいぶん前からのことだそうで、柏戸が現役だった
ころからということだった。





この家のちょうど前に酒屋さんがある。



酒屋の店内、土間

上がりかまちに
「酒は現金」という看板が
立てかけてあるが、
商品らしいものはなさそう。




同じく店内(別の角度から)

酒瓶が数本並べてある。

ここの、40歳半ばと見える主人が出てこられたので
向かいの屋敷のことを聞こうとすると

「向のことは向で聞いてきて」
「わしとこも、どうなるや、わからん」
としきりに言われる。
どうも、とりつく島もないくらいである。

無愛想というのか、ちょっと偏屈なのか

商売もあまりやる気もなさそうである。



表に、ビールとお酒の自動販売機がおいてある。
ビールかお酒がいるなら、そっちで買ってくれという感じである。

店はあっても、実質開店休業か




酒屋からすこし行ったところに米屋さんがあった。
ここのご主人が、表に座り込んでいる。

そして、表を通る人に、あいさつをして、いろいろ声をかけている。
また、子ども連れなら」、子どもにも愛嬌を振りまいている。

すこしお話を聞かせてもらった。


米屋さんの店の中

雑多に商品やいろいろ
積んである。



古い店に似合わず、立派なコピー機が
おいてある。

「立派なコピーですね。どうされたんですか」と
聞くと
「コピー屋にだまされて、買ってしまった」とか

「一枚いくらかで、コピーサービスをしておられるんですか」と
聞くと
「そんなもん、してない、ほとんど使わんわ」とのこと

コピーサービスをしていなければ、そう使うこともあるまい。

もっとも、コンビニなどのコピーサービスは、客寄せであって
それ自体は、もうかるわけでない。

それも、お客のセルフサービスが前提である。


「ご商売はどうですか」と聞くと「いいわけはない。お米を食べる人口は減るし、一人あたりの米の消費量も
減ってるからね」という話。

その間にも、表を通る人に、しょっちゅう声をかけている。

それが、この店の営業活動のようである。

今は、お米は自由商品。どこででも売っている。現在のファミリーは、米の消費もしれているし
週末にどうせ、ショッピングセンターやスーパーに買い物に出かける。そのとき、お米も買ってくればいい。
その方が、自由に選べるし、値段も安いだろう。
昔のように、お米屋さんに、自宅へ配達しれもらう必要もない。配達はかえって、迷惑というもの。

そうならば、この近辺の人といえど、ここでお米を買う必要もないが、
このように、店の表に待ちかまえておられると、今まで買っていたお米を、よそで買うのも勇気がいる。

表に座り込んで、通行客にしょっちゅう声をかけ、コミュニケーションを保つべく
努力をしているわけだ。
これをしないで、ご主人が奥に引っ込んで、「今日も客がこないな」とか、ぼやきつつ
テレビを見たり、新聞を読むようになると、とたんに少なくなってきている売上が、さらに激減してしまう。

その姿が、さきほどの酒屋である。
自動販売機にたよるようになった途端に、店売りは衰退する。

ここの米屋のご主人の話では、その酒屋も、以前は、このあたりの人は
夜になると、酒屋へ行って、店先でお酒を飲むのが、楽しみだったそうである。
そのときは、酒のつまみは、自分たちで持ち寄ったとか。
そういう時代も今は昔である。


お米屋さんの前から
旧街道を撮る。
今日の一枚




お米屋のご主人にお礼を言って、もう少し先まで行ってみようと歩き出す。


写真の右側が、元食料品店

店の看板は残っているが
閉店。
どこか、別のところで、営業して
おられるかもしれない。

食料品店は、米屋のように
単一商品ではないから
品揃えも必要。
ある程度、固定客がないことには
商売ができない。



要するに、このあたりには、酒屋、米屋、食料品店の3つの店があったわけである。
それが、食料品店は廃業。酒屋も開店休業に近く、米屋だけなんとか、残っている現状。

シャッター通り化している商店街と同じことが、この古い町並みの小集落にも
そっくり起こっているわけである。

そこからすこし歩いたところに、善光寺別院願王寺というお寺がある。

善光寺別院願王寺

参道に、変わった形の大きい
石像が何体か建っている。

なんかいわれがあるのかもしれないが
不明。




同上




後は、もう特に見るべきものもないようなので、引っ返すことにした。


駅へ戻る途中で、ところどころで写真を写す。



町並みの写真




集落入口近くの大屋敷の奥の方はどうなっているのか、路地沿いに
塀に沿って奥へ入る。
塀が切れたところから、中を見ると、塀に囲まれて
空き地になっていて、貸し駐車場になっていた。

大きい土蔵が二つあり、それをバックに、花の写真を撮る。


ニコンD70 

絞り 2.0  シャッタースピード 1/320

花が枯れかけているのが残念





この後、中小田井駅に戻り、電車に乗って、西春駅で下り、駅前商店街の写真を撮ったが、
たいした写真がないので、省略する。

以上