なぜなに「データベース」の部屋
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初□日:データベースってなんだ? 二日目:どんな風に情報を集めるの? 三日目:データベースの構築の実際 最終日:せっかくの情報、活用しよう! |
| □データベースってなんだ? |
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データベースとは何か。毎度のことだが、まずはアプリケーションの目的を説明するところから始めなければならないだろう。何しろこのデータベースというアプリは、エディターやアウトラインプロセッサよりも、使う本人に目的意識がないと、意味がないどころか使うことさえ出来ないシロモノなのである。 しかしまあ、難しいことはまずは置いておき、簡単な説明から入っていくとしよう。データベースとは、大ざっぱに乱暴な要約をすると、スクラップブックである。最近の若い学生さんなんかはひょっとしたら知らないだろうか(汗)、新聞や雑誌の記事なんかで興味を引いた部分を切り抜いて、ノートや専用のファイルにぺたぺた張り付けておくという、アレである。 この意味するところは、つまり『自分にとって必要な情報を取っておく』ということだ。これを《データの蓄積》と呼ぶことにしよう。データベースとはまず、《データの蓄積》をするためのソフトである。 実例を挙げよう。我々の身近に発見することのデータベースは、なんと言っても『アドレス帳』である。およそ「手帳」と呼ばれるものには、必ずと言っていいほど含まれている、誰かの名前と電話番号や住所が書き込めるようになっているところのことだ。あるいは、電子メールソフトで、あらかじめメールの送り先を登録しておける機能、あれもアドレス帳と呼ばれているが、これらはオフラインかオンラインかの違いこそあれ、同じ機能である。また、著名なポータルサイト『YAHOO!』などは、Webページ(ホームページ)についての『アドレス帳』であると言える。 こうしたアドレス帳は、『相手の名前』『その電話番号』『その住所』あるいは『そのメールアドレス』『そのURL』という《データを蓄積》したデータベースであると言うことが出来る。 そこで想像してみて欲しい。もし、あなたが書こうとしている小説に必要な情報、資料などが、アドレス帳のように整理された形でハードディスクに保管されていたら、どうだろう。例えば異世界ものを書こうとしている人が、自分の創造した世界についての設定情報をデータベース化して一覧できるようにしていたら。例えばミステリを書こうとしている人が、古今のトリックを蓄積し、思いついたアイデアと比較することができたとしたら。 それはこの上なく便利ではないだろうか。 データベースとは、そういうものである。 間違いなくデータベースは便利だ。それは本当である。ただし、それには多少の苦労がほとんど宿命的につきまとうことになる。 確かに、蓄積されたデータを検索したり閲覧することが常時出来るというのは便利である。だが、データベースを便利にするためには、当然のことながら、大量のデータが必要なのである。エディタやアウトラインプロセッサが、ソフトさえあれば何はともあれ《利用》することが出来るのに対して、データベースは、ソフトがあるだけではまだなんの用も為さないのだ。データベースが役に立つには、利用されるべきデータが蓄積されねばならない。つまりデータベースとは、それ自体は本当にただの道具(フィルターみたいなものか)に過ぎず、肝心なのはその中に溜め込む『データ』の方なのである。 データベースを利用する前には、まずデータベースを構築する――つまり、データを収集して登録する作業が不可欠である。アドレス帳がアドレス帳として機能を果たすには、まず自分が必要とする人達のアドレスをどんどん記入していかなければならない。この地道で単調で面倒な作業が、データベースのネックと言える。 ネック、というのは、何もそれが面倒だからではない。データを蓄積するというその行為の中には、必ず《データの選別》も含まれるからなのだ。 つまり、『このデータ(情報)は自分にとって必要なのかどうか』を見極める目を養わなければならないのである。これは、一番最初の段落でちらと述べた、『目的意識』ということに深く関わってくる。 目的意識。これが今回のキーワードになるので、よく憶えておいてもらいたい。 普段我々は日常の中で何かの『目的意識』を明確に過ごしているわけではない。が、データベース構築のための情報収集では、目的意識は不可欠である。なぜならば、『何に利用するつもりなのか』という目的意識がなければ、『どんなデータ(情報)に注目すればいいのか』という問いに答えられないからである。 何に役立たせるために、どんな情報をほしがっているのか? |
| どんな風に情報を集めるの? |
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目的意識が重要なのだということを前の節で書いた。また、データベース構築に必要な自問自答も書いた。 何のために、情報を収集しようとするのだろう? 集めた情報を、何に利用するつもりなのだろう? まずそれを、自分の中で確立させておかねばならないということなのだ。それが目的意識である。利用方法が明確にならない限り、データベースは正常に、かつ有効には機能しない。持ち腐れになるのが関の山である。ご注意あれ。 利用方法には様々なことが考えられるだろう。小説に限って考えたとしても、必要な情報はとても多いはずだ。例えば中世ヨーロッパ風異世界ファンタジーに挑戦している人には、中世ヨーロッパの歴史、生活、習俗、言語、人種などは、知っておかねばならないことのはずだ。それらについての情報はあればあるほどいい。 またミステリを書こうとしている人には、例えば江戸川乱歩の『類別トリック集成』のような、古今東西のトリックの情報がたくさんあれば有用だろう。思いついたトリックに前例があるか調べられるし、また既存トリックを眺めているうちに、ひょっとしたらそれらの隙間をくぐり抜けるアイデアを得られるかも知れない。 歴史物、時代小説の書き手には、文献から自分に必要な情報(特定の年代や人物に関する情報、という意味)を抜き出して電子化するという意味で、データベースは重宝なはずである。史書の数ページにだけ記載がある人物の情報を手元に置くために、何冊もの本を確保しておくよりも、本当に重要な情報だけを電子化してひとまとめにした方が有効だろう。 このように、集めた情報の利用方法にはいろいろなものが考えられる。 そしてこれは、情報を集める時の判断基準にも実はなっているのである。 『こういうところで利用したい』から、『この情報を集める』、という考え方だ。 上記の例で言えば、例えば中世ヨーロッパの情報を利用したいと考えている人は、それに関した情報だけを集めればいいことになる。それでもまだ範囲が広すぎると思えば、さらに『歴史』『地理』『人物』といった部分に絞り込んでしまえばいい。 どんな情報が必要なのかさえ分かってくれば、自ずとそれを求める資料なども限られてくるはずだ。探す範囲が狭まるということである。後は、その狭い範囲の中で(いや、それでも資料の数は膨大に決まっているのだが^^;)、本を漁り新聞を読み雑誌をめくり、とやっていくのである。そうすればきっと有益そうな情報が、あっというまに集められるだろう。そうした渉猟の成果を、データベースに登録していくのである。 必要な情報というのは人ごとに全く違うものであるから、ここであれこれと言うことは難しい。結局は自分で実際に行動してみて、慣れるしかないのが本当だろう。というわけで、データベースに触れる前の心構えと情報に対する姿勢についてはこの辺でおしまいにする。後は、みなさんの手で情報をたくさん集めて欲しい。 しかし一つだけ確実に言えることは、あなたが今まで読んできたたくさんの小説の中に、数え切れないほどたくさんの『情報へのヒント』が隠されているはずである。思い返すなり読み返すなりして、そのヒントを胸の中に甦らせてみて欲しい。 |
| データベース構築の実際 |
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さてそれでは、実際にデータベースを構築する作業はどんなものになるだろうか。あなたがいずれ実際にそうした作業をする際に助けになるように、ここではそれを実際の画面例を使用して試してみることにする。 下のサンプルをクリックすると、より大きな画面で見ることが出来る。ご覧になったらブラウザの機能で戻ってきていただきたい。 |
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これは、『メモリン32W』という簡易データベースソフトの起動時の画面である。真っ白で、もしもあなたが、「ただちにこのソフトを使いなさい」と言われたとしても、なにをすればいいのか全く分からないだろう。そりゃそうである。 前述したように、データベースとは、予め自分が『構築』しなければ使えないソフトなのだ。この画面は、これから『構築』していくための準備画面であり、これを直ちに『データベース』として使うことは出来ない。 では次の画面に進んでいただこう。そこでは若干の変化が画面に現れている。 |
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ここでは仮に、『人物』のデータベースを作ることにしてみる。小説に登場させるキャラクターの一覧表である。画面の左端には、その一覧表のために必要であろうデータ項目を書き込んでいるのである(もちろん、もっと違うものでもいい)。 この《データ項目》という部分を書き込む(設定する)ためには、事前に述べた『目的意識』を活用していただきたい。どのように利用するのか? そのために必要な項目をここにならべていけばいい。例えばあなたが《歴史的な事件》のデータベースを作りたいと思っているのなら、《項目》として「事件の名前」、「発生年代」、「発生の背景」、「関係者1」、「関係者2」、「事件の経過」といった具合に設定するといいのではないか。つまりは、今後活用できそうな情報を記録できる『場所』を作ってやるのがこの段階の作業なのである。 では次の画面を見ていただこう。 |
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これはもう、実際に《データ》を入力しているところである。データが見やすいように一部の行は幅を整えてある。 活用すべき《データ》をこうして入力してやれば、一件の《データレコード》と呼ばれるデータのブロック(塊)が出来上がる。そこで、画面中央のやや上、ツールバーの中央付近を見ていただきたい。くぼんだフィールドに『PAGE:1』と書かれているのが見えると思う。これは、今この画面に表示されているデータが、データベース全体の『第一ページ』にあたることを示している。 すなわち、これに続く第三、第四……第 X ページまでが存在するのである。……もちろん、あなたが入力すればの話だが。 このページのような《データの塊》を、多数入力してやるのだ。すると、それは単なるデータの集まりではなく、立派なデータベースというものになってくれるのである。 |
| せっかくの情報、活用しよう! |
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あなたが苦労して大量のデータの塊をデータベースに入力し終えたとする。それは、たとえて見れば一つの事典なのだ。それも、あなたが知りたいと思ったこと思ったことだけを登録してある事典である。世の中にこれほどに便利かつ重宝な事典があるだろうか? もちろん反語である。 それではこれで、あなたは向かうところ敵なし、ありとあらゆる賞で入選・受賞間違いなしかと言ったら絶対間違いである(笑)。 たびたび言うが、これまでやってきたのはデータベースの《構築》でしかない。事典は、ただそこにあるだけでは用を為さない。事典が役立つのは、それを繙き活用した場合なのである。だからデータベースも、ただあるだけではなく、そこに蓄積されたデータを活用しなければ本当の意味は失われてしまうのだ。 ではデータベースはどう活用するのか? それをこれから考えていこうと思う。 データベースの活用の仕方は、内部に蓄積されたデータのタイプによって異なる。が、ここでは前に画面例として出した、人物録としての使い方を考えてみよう。 前例のような形で、例えば、一作の小説に登場するほとんどの人物のデータを入力してあるとしよう。データベースの中には、その人の癖、性格、外見や、果ては住所までもが(だいたいのことであったとしても)記録されている。 人物のことを描写する際に必ず人物録データベースを参照するようにしたら、初心者のうちにはありがちな『書いている内にキャラクターの性格が変わった』とか『まるで特徴のない無個性なキャラクターになってしまう』ことは、ほとんど避けられるだろう。また、《データ項目》の内容を工夫すれば、より強い個性付けを行うことも可能になるはずである(小説に役に立つかどうか分からないようなことでも、ともかく《項目》にして、データを入力してしまうのも手である。食べ物の好き嫌い、音楽の好き嫌い、好きな言葉、嫌いな匂い、筆跡の特徴、利き腕、視力、などなど)。 また、人物録ではない使い方として、これまた前例にちらと話を出した『歴史的事件』のデータベースを構築したとしよう。 あなたが今しも書こうとする小説の年代を、データベースで検索してみよう。蓄積された中から特定のデータを検索して抽出するという行為こそが、実はデータベースの真骨頂とも言えるのだ。 検索の結果、該当する年代に発生した事件があれば、あなたはそれを自作に取り入れることが出来るだろう。エピソードの一つとして盛り込んでもいいし、さりげないウンチクとして登場人物に語らせることも出来る。 ミステリのトリックを網羅したデータベースがあるとしよう。あなたの主人公=探偵は、発生した事件の性質から、どのようなトリックが使われたのか推理しようとするかも知れない。その時こそデータベースの出番である。 そのトリックはどんなカテゴリのものだろう。時間差殺人? 密室? 人物入れ替わり? アリバイトリック? ともあれ、「トリックのカテゴリ」をデータベースが《項目》として持っているのなら、あなたは今書いている事件のカテゴリ(例えば“密室”)を検索するだけで、そのカテゴリに属するトリックがデータベース中から検索されてくるのである。それらをもっともらしく探偵に語らせるだけで、その探偵は、いかにも古今東西の事件に精通した名探偵であるように見えるに違いない。 執筆の真っ最中だけに役立つわけではないだろう。むしろ、それ以前に構想を練る段階こそ、データベースは有益ではなかろうか。 例えば《事件》のデータベース。たくさんある事件のデータの中から、幾つかを切り張りすれば、かつて起こったことのない事件が新たに作り出せはしないだろうか? 出来たとしたら、それを描ききるだけできっと立派な小説になってくれるだろう。 同様にトリックのデータベースを眺め、そこにあるトリックとトリックとを組み合わせて修正をほどこすことで、今までにないミステリのストーリーが生まれては来ないだろうか? さらに別の使い方も考えられる。《データ項目》を、《土地柄》《風景》《季節》《感情》《色》といったものにし、土地柄にはある仮想の土地の気候や風土を、風景にはより具体的な特定の場所を、季節には四季のいずれかを、感情には喜怒哀楽のいずれか、色には適当な色の名前を入力していってみよう。 データがたまったら、それぞれのデータの塊をながめて想像力を働かせてみるのだ。まったく適当に入力した「データ」としての言葉の羅列から想像力を大きく羽ばたかせるのである。 そこから、もしもイメージが生まれてくるとしたら、それはひょっとしたら、頭の中で考えているだけでは決して生まれてこないイメージになってくれるかも知れない。データベースはそんな使い方だって出来るしろものである。 |
| おしまい |
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さて、この他の『What's』ページから実に大幅に遅れて、ようやく、本当にようやく『What's
データベース』のページが開設いたしました。執筆している本人は、この『ソフトウェア紹介』ページの反響をほとんどといっていいほど目にも耳にもしないので(涙)よく分かりませんが、もしも、このページを期待している人がいたとしたら、ここまで遅れたことをお詫びいたしますm(_
_)mぺこ。 ただ、エディターやアウトラインプロセッサというソフトは、その利用目的がある程度明確です。が、データベースはその《構築》と《利用》とが別の段階の作業としてそれぞれ不可欠であるという特殊な性質を持っているために、分かりやすく解説するのはとても難しく、いろいろ悩んだあげくの遅れもあるのです。と、ちょっと弁解してみました。 データベースはこのように、扱いが難しいソフトです。ですがその分、出来上がった時の有効性は他のソフトの比ではありません。みなさんも、つらくて面倒な《構築》の作業に負けずに、データベースを上手に《利用》して、執筆の助けにしてくださいまし。 |