Last Updated 2009-11-01    
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近頃我が家でオタクもの
20年ぶりにスピーカーを作ってみた 編

どうも嗜好にはサイクルがあるようで、何故か無性に「いい音」が聞きたくなりました。

久しぶりにSWを入れたオーディオ機器、出て来た音に軽く幻滅。で、どうしたかというと。。。


<現在のシステムを紹介しちゃう!>

写 真

解 説


<サブシステム>

AMP SANSUI 
AU−α707DR

CDP KENWOOD 
DP−1100SG

SP  自作(ではなくオークションで
買った自作スピーカ(汗))
    ユニットはFOSTEXのFE−108Σ

たぶん、その時代の名機。

これはサブシステムで今は子供の部屋にあります。

私に言わせれば「豚に真珠」ですが、子供の側から見たら「でかいの邪魔」だそうで、えらく不評です。

いつかこの価値がわかるような大人(オタク?)になって欲しいものです。


<メインシステム>





で、こちらがメインシステム。

AMP SANSUI 
AU−α607 Mos Premium

CDP MARANTZ 
SA−8400

カセット SONY 
TC−K777ES(動きません。)

VTR SONY 
HF−900(ベータプロ:結線していません。)

SP  自作(ではなくオークションで
買った自作スピーカ(汗))
    ユニットはFOSTEXのFE−166
トゥイーターユニット 自作(これは本当に自作)。
ユニットはコーラル(!)のHD−3。
CORAL X−Zというスピーカーに付いていたユニットですが、何故か新品で購入し、長いことタンスの肥やしになっていたので復活させたもの。
(メインスピーカとは別系統でOFFにも出来ます。)

このメインマシン、何が問題かというと、このスピーカはある程度大音量でないと(空気が動かないと)バックロードホーンの効果が出ない。それこそ落雷の音なんかを鳴らさない限り(某有名評論家がやっていたらしい)真価が発揮出来ません。小音量の時はまったくパワー感のない弱々しい音で、山奥の一軒家じゃあるまいし、団地住まいには結構深刻なデメリットなのですよ。


で、ここまで読んで、「BHにはFE168Σを使わなきゃ。FE166じゃ磁気回路が弱すぎてドライブ出来ないよ。」とか「BHにハードドームトゥイータの組み合わせって無しじゃね?(それ以前にオタクにこの話し方って無しじゃね?)」とか「引っ越せば?」とか、いろいろツッコミどころはあると思うのですが、それはおいておいて。。


 

<スピーカーを作ろう!>

出て来た音に軽く幻滅し、
「小音量でもレンジの広い音のするスピーカーを作ろう!」と思い立ちました(笑)。

昔作った10cmフレレンジ一発のダブルバスレフが結構いい音していたので、「ダブルバスレフ 設計」で検索。

インターネットは素晴らしい。昔は雑誌を買わなければ入手できなかった知識がその辺にごろごろ転がっている。

こうやってまじめに探そうとすると「ブログ」と呼ばれるカテゴリが少ない事に気付きます。

実際、まじめに記事を書こうと思ったら、相当なパワーと時間が必要です。ブログのように「お手軽」には書けないのですよ。
(私が古いだけかもしれませんが、アクセス数を競うとか「ブログ」全体に漂う「商業主義」みたいなのも嫌なんでね。)

まあ、なんやかんやで、http://kousoku-web.hp.infoseek.co.jp/dbsp.htmlとか、

http://sennin.image.coocan.jp/Audio/Audio_1/Audio_1.htmにある

http://sennin.image.coocan.jp/Audio/Kyomei_H580/Kyomei_H580.htmとか、

http://sennin.image.coocan.jp/Audio/Kyomeikan/kyomeikan.htmあたりを探していたら、

このページhttp://vicdiy.com/products/tqwt/tqwt.htmlにたどり着きました。

その名も「TQWTスピーカーシステム」キター!

まさに、♪じれたー、オタクのそのハート、釘付け〜♪(本田美奈子風に)です。

<設計>

このカテゴリのページがすごいのは、計算式や設計図、計算用のフリーソフトまで、みんな惜しみなく出していること。
自分の好きでやっている事を紹介したい、ただそれだけの気持ちかもしれませんが、
ホームページを公開されている方に感謝感謝!(田中邦衛風に)です。

で、
このページに載っているTQWTの設計書を見ながら計算を行います。
関数電卓片手にあーでもないこーでもない、と(久しぶりに頭使ったわ^^;)。

W×H×D=184×648×196
容積=16.5L

この計算結果がピタっと合うのはある意味快感ですね。

<板取り>

部品表まで出来たら、次は板取り図の作成です。

当然サブロク(3寸×6寸:910×1820)1枚で2本取れるようにします。

手書きの適当な図面ですが、こんな感じです。

10数年ぶりに書きましたが、昔取った何とかで、一応図面みたいに仕上がっています。


追記:現在エージング中ですが、この箱は10cmフルレンジには少し大きいかもしれません。上記の設計図で作る場合は、ユニットはFE103ではなくFE126を使った方がいいです(その場合、丸穴径は104mm)。FE103を使う場合は横幅を140mmにすればよさそうです。


<カット>

設計図が出来たら板の購入とカットです。近所のスーパービバホームへ。

普通は板を購入してからカットを頼むのですが、カットを頼んでから板を購入します。

理由は、カットする人の目利きをしているのです。

特にスピーカーは精度が重要です。
この場合一番頼りになるのは、どっかの作業所を定年退職したかリストラされたかのオヤジです。
この店にも、そんなオヤジがいました。

面白いやりとりがあったので、ちょっと紹介。

「これ出来ますか?」

オヤジ図面をじっと見る。

「マークのある所(横幅の160mmと奥行きの196mm)は特に注意して同じ寸法を出してください。それ以外は2枚重ねOKです。」

横から若い店員が出て図面をのぞき込む。「出来ないんじゃないですか?」

おまえはあっちに行け。仕事を仕事としか思っていない奴には用はない(笑)。

「出来るよ」とオヤジがひとこと。図面に合格点もらえたらしい。

(実際、むかし某ホームセンターで、頑固オヤジに半分説教されながら寸法の追い方とかを指南された事がありました。その時は「何故客が怒られるのだろう?」とか感じましたが、不思議と不快感は感じませんでした。面白いものです。)

そして、「93mmの丸穴は、ずれるとしたら大きい方がいい?それとも小さい方?」

オヤジの逆質問キター。少し迷って「大きい方で」と答え、「では板を買ってきますのでよろしくお願いします。」と図面を押しつけて板を買いに行った。この人なら信頼できそうだ。

板売り場。迷わずシナ合板をチョイス、2,980円なり(コンパネの4倍、ラワンの2倍の値段)。
昔は金がなくてラワン合板しか買えなかったなだよな(しみじみ〜)。

板を買ってカットを頼む。おっと、カットは指導を受けながら若い店員の方がやるみたいだ。

オヤジがこっちを向いて「時間がかかるからその辺で遊んでて。」と。昔だったら「おう、出来上がるまでその辺で遊んでな。」って感じですかね。サービス業として話し方も指導されてるんだろうな。

1時間後に戻ったら出来ていた。カット数は計算通り。丸穴もぴったり。「プロの仕事だね。」と言ったら喜んでいた。

<制作編>

写 真

解 説


<前準備>



切断は完了。

仮組みでイメージしてみます。

切断精度は良好。特に、幅160mmの部分はドンピシャに加工されている。



すぐに組み立てたくなるのをぐっと我慢。

何故なら。









長いブランクの間に工具がなくなってるんだ、これが(泣)

買いましたとも、ええ!


・小型Cクランプ(100均で2個105円で購入。安っぽ〜い。)
・ハタ金、じゃなくてバークランプ
・そして、昔欲しかったコーナークランプ





<組み立て>




クランプをフルに使って組み立てます。


思いつきで写真撮っていますので思いっきり工程が荒いです。

天板と底板は2枚重ねです。














吸音材コレクション。

左:グラスウール
右:フェルト












「TQWTは胴鳴りがすごい」との事なので、
この辺のページを参考にしながら吸音材をこんな風に入れました。

フェルトにグラスウール。

グラスウールはこの程度使っても大量に余ります。




この後、ボンドを塗り広げて側板を接着します。

カットの精度がいいので釘やネジは全く使いませんでした。



<(とりあえず)完成!>

とりあえず完成。

「とりあえず」としているのは、まだチューニングが残っているからです。

右のメインスピーカと比べたらまるで親子ですね。


「それでは」と、試聴したところ。

何これ??音が死んでいるんですけど。。


「もしかしたら、失敗?」


しばらく考えていたら「まめ知識」が溶け出して来た!

「スピーカーユニット取り付け部に口を当てて声を出すと、そのスピーカーの音がわかる」と某有名評論家が言っていました。

ユニットを取り外してしゃべると、鼻が詰まったような押さえた声になります。まさにこのスピーカーの音そのものでした。まさに、某評論家の力説通りです。

では、という事で、組立途中の2本目には吸音材を一切入れず、仮組みをしてしゃべってみると、多少の胴鳴りはありますが、抜けの良い、いい声になりました(あくまでスピーカの響きですよ^^;)。

そこで、ユニットを外し、グラスウールを全部取り去りました。
結果は、全然違う!鳴りっぷりの良いゴキゲンなサウンド(これも某有名評論家の口癖)に変身しました。

胴鳴りについては、天板と底板を二枚重ねにしたり、上に鉄アレイを置くなどの工夫をこらしおり、参考にしたページの箱で問題となっていた「変な付帯音」はもともとかなり抑えられていたので、吸音材の必要性はあまりなかったのかもしれません。

名機の予感(^^;)

ま、そうは言ってもまだ組み立てて数時間では音はわかりません。
ユニットも新品ですし、まずはエージングですね。少しの間鳴らし込んでみます。

 

次回は、エンクロージャの補強と塗装です。(板取図のB部分とC部分を使って補強します♪)

 

とは言っても、皆さんおわかりの通り次のUPはいつになるかわかりませんので、オーディオオタクのページでコーヒーブレイクをどうぞ。

オーディオ解体新書
DP−1100SGのページを見るとわかりますが、あの頃日本の製造業が世界を席巻していた理由がわかろうというものです。
どのクラスでも、ひたすら「いい音」を求めて、技術者は「知恵」と「工夫」と「思い入れ」を製品に織り込んでいた。単純な「コスト」の概念から見たら大失格ですが、何故か会社もお客も従業員も幸せでした。市場原理主義でコストと引き替えに日本の製造業が失ったものは、あまりにも大きいです。

オーディオの足跡

オーディオ懐古録

懐かしいスピーカー達

 

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