Last Update 99-11-18
PC用スピーカーの改造
久しぶりの変造ネタは、私のPCスピーカーに関する話題です。
改造後(左)と改造前(右) |
上の写真をご覧下さい。このスピーカーは、FMV-DESKPOWERのオマケとしてついてきた物です。
右は改造前で、左は改造後です。どうして同じ物を二つ持っているかというと、一つは自分で買ったDESKPOWERについて来た物で、もう一つは友人Oからもらった物です。
このスピーカーは、雑誌の評論で「音がいい」と評されていました。自分で買ったDESKPOWERにもこのスピーカーがついて来ましたが、なるほど確かに音がいい。同じようなスピーカーをいくつか聴きましたが、それと比較してもいい音です。
ユニット |
基板 |
分解してみると、確かにいい音がしそうです。
まず、スピーカーユニットですが、口径約8cmのユニットです。エッジはウレタンで、センター部には樹脂製のドームが付いています。エッジが柔らかい為、低音のノビが期待できる上、硬質素材のドームにより、高域のノビも期待できます。また、裏を見るとマグネットはかなり大型で、トータルで見ても、かなり良質なユニットと言えるでしょう。
このスピーカーはアンプ内蔵型で、公称出力は3W×2となっています。基板を見ると、ここでも私はにやけてしまいました。
画像を見てもらうと判りますが、このスピーカー、回路構成が左右対称であるなど、かなり「マニアックな」設計です。また、ランドパターンもかなり幅広くとってありました。
ユニットといい、基板といい、「わかってるなぁ」という感じの構成で、音が良いのも納得できるという物です。
しかし、いくら音がいいとは言え、欠点がないわけではありません。オリジナルの音は、むしろ、「まだまだ」という点がかなり残っていました。前述のように、素材としては充分な物を持っていますので、改造を行う事としたのです。以下、順を追って説明しましょう。
1.エンクロージュアの鳴き止め、補強
改造前(上)と改造後(下) |
エンクロージュア部拡大 |
このスピーカーの最大の欠点は、エンクロージュア(筐体)の共鳴で、中音域にかなりの付帯音が付いている事でした。スピーカーもスイカ等と同じで、筐体を「コンコン」とたたくと、善し悪しが判ります。このスピーカーはたたくと「ボコボコ」という非常にプラスチックっぽい軽い音がします。
こうした軽い音を出す筐体に一番効くのは「補強」と「複合素材化」です。何だかご大層な言い回しですが、画像を見てもらえば一目瞭然です。
筐体のあちこちに黒い物がありますが、これが「ブチルゴムテープ」です。オーディオマニアなら一度は耳にした事があると思いますが、防振、接着等に使われるべとべとのゴムの事です。これを、筐体の裏側、空きスペースに貼って行きます。
更に、筐体の裏側は、木板がH型に渡してあります。これが、「複合素材化」です。
Hの縦棒の部分はブチルゴム−木板となっています。上記のようにブチルゴムは接着、隙間詰めに効果がありますから、これにより側板の鳴きはかなり押さえられます。しかし、これだけでは不充分なので木板を左右に渡し、それをパテで止めてあります。また、渡し板の左右には、やはりブチルゴムを挟んであり、パテで固めてあっても結合部において適度な内部損失が発生するようにしてあります。(効能はウソくさいなぁ)
2.防護ネットの削除
スピーカーには、必ずと言っていい程、ユニット保護用のネットが貼ってあります。これが音質に良い影響を与えない事はよく知られている事です。特に、このスピーカーの保護用ネットは目の細かいパンチングメタルであり、軽いプラスチックの筐体とあいまって中音域を汚す原因となっています。
という事で取っちゃいました。また、ここでも書かれているようにバスレフ式のスピーカーはダクト以外の穴があると背圧が下がり、バスレフの効果が低下するので取り付け穴もパテでふさぎます。
3.電源コンデンサーの強化(気休め程度)
改造後の基板 |
アンプで一番大切なのは、「電源」です。入力電圧(出力電圧)が変動しても、電源部は枯渇することなく電気を供給しなければなりません。(ヤワなアンプは出力電圧が急に立上がった時に供給電力が不足する:雷の音なんか再生すると判るらしいですよ(笑)) 一般的には、アンプにとっての理想電源は容量無限大の直流定電圧電源であると言われています。
今回は、そんなご大層なことする事もないだろうと、電源部に良質のフィルムコンデンサをパラに繋ぎました。容量は1uFです。ACアダプターの大きさから見ても、もうちょっと大きい容量の物が良かったのですが、手持ちがそれしかないのでこれにしました。もともとは、自作スピーカーのネットワーク用に買ってあった物です。
工作は簡単で、電源のプラスマイナス間にコンデンサを入れるだけです。ただし、リードの絶縁には注意を要します。
画像ではわかりにくいのですが、熱収縮チューブを使用し、リードが露出しない様にしてあります。
以上の改造を施したスピーカーの音ですが、効果は絶大で、中音域での耳障りな胴鳴りがほとんどなくなりすっきりとした音になりました。また、気休めのコンデンサの効きも以外と良く、低域の立ち上がりに効果があります。
というわけで、CDプレイヤーの故障もあり、メインのオーディオにほとんど火を入れられない私にとっては、今は、パソコンが音楽趣味の最前線となりつつあります。
次回は、MP3についての話題を予定しています。お楽しみに。
おまけ(Heiny-Meedr'sオーディオ論)
私がオーディオ関係のコラムを書こうと思いついたのは、職場の後輩Oがカーオーディオに凝り始めたのがきっかけでした。
オーディオの話でいつも思うのが、「言葉で伝える事の難しさ」ですね。以前、スピーカーの話をしていた時、何だったか話題は忘れましたが、後輩が「理論で説明できないなんて信用出来ない」みたいな事を言いました。
わかってないなあ。オーディオは理論だけじゃないんだぜ。そういう事は、音を聴いてから言えよ。ってな感じですかね。
とにかく、オーディオは実践あるのみ。計測器よりも自分の中のキログラム原器を磨く事を善しとするオーディオという趣味はなかなかいいものだと思うのですがね...。