森高千里の渡良瀬橋
作者の方のご厚意により、公開する事が出来ました。どうもありがとう。なお、Mailからの写しの為、改行位置等が、若干変になっている可能性があります。
なお、追加情報によると、最近の明治製菓のCMのロケ地も足利だそうです。
Note 58 LE CHAT (salon.tea) [ RESPONSE: 2 of 131 ] Title:渡良瀬橋 Bytes: 157 Date : 12:20am 2/13/93 Author:msx05514 (あゆむ)
本来はここに「渡良瀬橋」歌詞データが入る予定でしたが、著作権法上の都合に よ り歌詞データはpool pddにアップロードされていますので、そちらをごらんください。
Note 58 LE CHAT (salon.tea) [ RESPONSE: 3 of 131 ] Title:渡良瀬橋 Bytes: 5216 Date : 12:23am 2/13/93 Author:msx05514 (あゆむ)
「渡良瀬橋」(森高千里作詞)に歌われる渡良瀬橋は、栃木県足利市通4丁目に 現 存する文字どおり渡良瀬川にかかる橋である。今回はこの歌詞から、歌の主人公の 住 所地及び恋人と通った道筋を確定してみよう。
まず歌詞からキーとなる言葉を探すことからはじめよう。この場合、キーとなる 単 語は、「渡良瀬橋」、「渡良瀬川の河原」、「電車にゆられ」、「八雲神社」、「 床 屋の角にポツンとある公衆電話」、「広い空と遠くの山々」となるであろう。これ は 誰がキーワードを探しても、同じ結果になると思われるので、解説は省略する。
歌詞によるとこの歌の主人公は恋人を連れ、足利市駅から徒歩で渡良瀬橋を渡り 、 八雲神社で御参りしてから主人公宅に向かったと思われる。渡良瀬橋と八雲神社は 名 称がそのものずばりであるため、簡単に同定することができる。(なお、渡良瀬橋 は 自動車専用で本当は歩けない。徒歩の場合は渡良瀬橋脇にある歩道橋を通ることに な る)
念のため、恋人が使った電車が、JR両毛線ではなく、東武伊勢崎線の足利市駅 で あることを証明しておこう。JR両毛線は地形的に渡良瀬川の北にあり、八雲神社 を 通ってから渡良瀬橋を渡ったと仮定した場合、(この場合、主人公たちの目的地は 渡 良瀬川南となる)はっきり言って八雲神社を渡って渡良瀬橋を渡るのは非常に無意 味 な遠回りとなる。なお、東武伊勢崎線野州山辺駅という可能性も捨てきれないが、 こ の場合、渡良瀬橋上流の緑橋を渡ったほうが近いだろう。
さて歌詞によれば、二人は主人公宅に向かう際、さらに理容店の角にある電話ボ ッ クスの脇を通ったことが明らかだ。該当する電話ボックスは2つある。まず、4丁 目 交差点東(八雲神社の東にある十字路が4丁目交差点だ)の理容店、そして、7丁 目 のO沢理容店の角の電話ボックスである。地形的に考えると4丁目のボックスに分 が あるように思われる。がしかし、この場合、正解は7丁目のO沢理容店角のボック ス である。なぜなら、4丁目のボックスは、理容店の前にはあれど、決して交差点角 で はないからだ。
ここで主人公一行のたどった道筋がくっきりと鮮明に現われて来る。つまり彼女 ら は、足利市駅から渡良瀬橋を渡り、水辺を守る建設省角の交差点を北に向かってか ら 4丁目交差点を西に行き、八雲神社で御参りしてから旧国道50号線を一直線に7 丁 目のO沢理容店まで歩いたのだ。もし4丁目交差点に着く前に西に向かったとした ら、 八雲神社にお参りにはいけないし、水辺を守る建設省前の交差点をまっすぐ西に向 か って(地図には出ていないが、水辺を守る建設省前を西に向かっても7丁目のO沢 理 容店にたどりつくことは可能だ)いっても、やはり途中に八雲神社にはないのであ る。
ここでさらに、重大な事実が判明する。主人公の住所は、足利市通7丁目XX3 0 番地からXX36番地のいずれかである。つまり、O沢理容店のあるブロック一帯 な のだ。少し考えればすぐ分かる。仮に主人公宅が旧国道50号の南にあったとしよ う。 すると、わざわざ大通りを渡って八雲神社や7丁目のO沢理容店角の電話ボックス な んか使う必要がないのだ。もちろん主人公宅が7丁目交差点角より東にあった場合 も 同様だ。わざわざ7丁目まで行って戻る必然性が感じられない。もし7丁目ブロッ ク より北、西宮地区だったとしたらどうだろう。今度はやはり7丁目の電話ボックス ま で行く必然性がなくなってしまうのである。なぜなら西宮地区に行くのなら、西小 学 校東または西の道路を行くのが一番オーソドックスであり、わざわざ7丁目まで行 っ てから北に向かっても遠回りなのである。(地図ではあまりよく出ていないが、7 丁 目北西にある道路を使うと西宮地区に行くには若干遠回りとなる)
最後に、7丁目ブロックの西、すなわち今福地区だったことを考えよう。地図で は 交番の西になる。しかしこの場合、やはり地図には出てこない要因が重要となって く る。この7丁目の交番から今福町までは切り通しとなっていて、ここいら一帯百数 十 メートルは民家が一件もないのだ。さらにここは交番側から見ると上り坂になって お り、わざわざ人を連れて歩くには若干抵抗が大きい。逆説的に言ってしまえば、駅 ま で歩いて行こう、なんて考える人の存在する最西端が通7丁目なのだ。(もし、車 の 手配が付かない場合は、今福地区の人はバスを利用するであろう)もっともっとも ら しい理由付けも可能だ。歌の中で主人公は前の晩にこの7丁目の電話ボックスで彼 氏 に電話しようとしてできなかったようなことをほのめかしている。今福の人間がわ ざ わざ7丁目まで出てきて公衆電話を使うだろうか。(念のため書いておくが、主人 公 宅に電話があるのは明白である。しかし、彼女は家族に彼氏との悲しい会話を聞か れ るのが嫌で、わざわざ家の外にある公衆電話まで出てきたのだ)
こうして主人公の家のある地点が定まった。こうなったらあと残るのは主人公の 同 定だけだ。この地区でそんな歌になりそうな年齢の娘さんは実は一人しかいない。 と いうのも通7丁目地区は旧市内であり、郊外へのドーナッツ化現象が起きている地 区 なのだ。実際、著者自身も、この7丁目のブロックに住んでいて、今はもう郊外に 引 っ越してしまっている。ちなみに著者の住所は通7丁目XX35番地であった。
結論から申し上げよう。この歌の主人公の女の子は、足利市通7丁目に住んでい る、 S嬢である。この地区にはそれらしき年齢の人物はほかにいないのである。問題は S 嬢は車を持っていて、(後部座席にぬいぐるみを乗せているのが特徴である)彼氏 が 来るくらいなら車を出しそうだ、という点である。もちろんこれにも理由は付く。 恐 らく、彼氏はS嬢の自動車運転の腕に恐れをなし、(斜め向かいに住んでたから言 う が、この主人公の彼氏の考えは杞憂である。S嬢の運転はそんなに危なくない)「 街 の風景を見たい」などと言ってわざわざ駅から徒歩でやってきたのであろう。
今回の私の解説はこれで終わる。このように単なる失恋の歌でも、内容を深く彫 り 下げていくことにより、例えば彼氏はS嬢の運転の腕を信用しておらず、そういっ た ほんのわずかの信頼関係のゆらぎがいつか二人の破局を導いたといった非常に細か い ことまで理解できるということが分かっていただけたと思う。
Note 58 LE CHAT (salon.tea) [ RESPONSE: 4 of 131 ] Title:渡良瀬橋 Bytes: 2080 Date : 12:25am 2/13/93 Author:msx05514 (あゆむ)
用語解説
渡良瀬橋 栃木県足利市通4丁目に現存するおんぼろ鉄橋。竣工昭和6年。冷静に考えれ ば、 あれだけ大きな川のくせに、わざわざ川の名前がついている橋があるということは 、 これは相当昔、まだ鉄橋などが珍しかった時代に、鳴り物いりでデビューした当時 と しては相当に豪華な橋であるということが分かるだろう。このようなことは、現地 に 調査に赴くまでもなく、橋の名前から判別できるのである。冷静に考えれば、昭和 6 年に作った橋がろくに改修もせずに使えて大型車両が相互通行できるのであるから こ れはたぶん当時はたいした橋だったのであろう。
八雲神社 渡良瀬橋から4丁目方面に降りていくと真っ先に目に入るのは八雲神社ではな く、 織姫神社である。また、歌の最中にも主人公が昔に戻りたいと八雲神社に祈るシー ン があるが、こういう願いを地元民がするとしたら恐らく七夕伝説でおなじみの織姫 神 社のほうであろう。にもかかわらず、森高がこの歌の中で主人公に八雲神社でお祈 り させた理由は何だろうか。これは簡単である。八雲神社は、足利幼女連続誘拐殺人 事 件の最初の事件「万弥ちゃん事件」の万弥ちゃんが誘拐されたとされる場所なのだ 。 歌の中にまぜるエッセンスとしては、かなりさりげないが効き目は十分であろう。
O沢理容店角の電話ボックス これは本当に7丁目近辺に住んでいないと分からないが、実はこの電話ボック ス は、若い(中・高校生)恋人たちが恋をささやいたり、あるいは恋に破れたりする こ とで有名なところなのだ。多くは第一中学、または県立足利工業高等学校の生徒で あ るが、近所には地元では有名なH英語塾があり、そちらの生徒の場合もあるようだ 。 この電話ボックスを利用するとは森高なかなかやるもんである。
S嬢 著者とは中学で同級だったが森高とどういう関係なのかは不明である。
森高千里 学園祭の女王と呼ばれる自称・非実力派歌手。足利工業大学の学園祭で足利を 訪 れた際にこの歌の原形を感じたらしい。
なお、「渡良瀬橋」の歌詞中で、北風が寒くてかぜをひいたというようなくだり が あるが、地元民なら分かるとおりこれは誤りである。足利では北風は吹かないし、 吹 いてもたいして冷たくない。冷たいのは赤城山から直に吹いてくる西からの烈風、 通 称「かかあ天下とからっ風」である。これは直に体験しないと分からないであろう 。
足利市 とりあえずきれいなとこらしい、夕日がきれいな町らしい。空が広い町らしい 。