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 平安時代の事物について調べるとき、文献の少なさや偏りから、知りたいことを知ることができないもどかしさを感じることがままあります。
 京都の地を歩いて平安時代を体感じようとしても、当時の建造物はほとんど残っておらず、辛うじて時代の様式を留める後代の寺社や御所を見て、当時を想像するしかありません。史料に明記してあるものだけ、物理的に存在するものだけを拠り所にして考えを進めるということは、特に平安時代の場合、限界があるようです。

  歴史を学問としてみるならば、想像を差し挟む余地はありません。けれども、我々は、もっと自由に平安時代を論じてもいいのではないかと思います。荒唐無稽ではない、根拠のある推定をすることで、本当の平安時代に少しでも近づくことができるかもしれない。もっと体温を感じさせるような平安びとを造型できるかもしれない。いや創り出してみせようと、思わずにいられません。

 このホームページは、そうした意図を持って作りました。
 研究の中で重点を置いているのは、平安人物列伝と平安歌人群像。そして紫式部の世界。『源氏物語』を著し平安時代の代表的人物とされる紫式部を取り上げる一方、歴史の潮流の渦に辛うじて名を留めはしたけれども、無名に近い人々にも燈明が当たればという思いを込めました。平安時代に関心がない、という方にも、これはと思っていただけるようなものを目指していきたいと思っています。

 

                  平安王朝クラブ メンバー一同