ザルツブルク
快晴だ。このホテルの朝飯は素晴らしい。日本なら2500円は取られるだろう。円高のおかげもあるが、安い。ついゆっくり食べ、話し込んでしまい、予定の列車を1本逃した。しかし、次の列車はOBB(オーストリア国鉄)が最近走らせているRailJetという速い列車だった。確かにDBのHPで見ると1時間半で最も早く行ける。駅でパスのヴァリデートをしてもらい、車中の人となる。ここで驚いたのは、順番を番号札で監理する様になっていた事だ。昔はやたら並ばされた。DBも進んでいる。もっとも客の方は次の人の事など考えずに前と同様ゆっくり喋っている。その昔、前のドイツ人が列車の時刻を延々と窓口で調べさせていて、殴ったろうかと思った事もある。幾ら何でも権利の濫用だろう。今はインターネットで何でも調べられるので、それほどの事はないだろうと思うが、ITに弱い人はどこにでもいるから油断ならない。
列車は定刻通りミュンヘンを出たが、途中で何があったか知らないけれど、やたら停まった。そして列車は 15から20分くらい遅れて到着。驚いた事にザルツブルク駅は工事の真っ最中で囲いがしてあったり、解体されていたりして駅舎も見られない。10年くらい前はドイツの駅がこんなだったなあ。これからどう変わるのか見当は付かないが、既に駅前は相当変わっていた。高いビルだらけだ。新しい道も出来ている。最後に来たのは15年ほど前なので当然かとも思うけれど、何回か訪れて変わらない街なのだという印象があったので戸惑った。とにかくまずはミラベル庭園を目指す。徒歩で20分くらいで着く。横はモーツアルテウムだ。庭はとても奇麗で何も変わっていなかった。ザルツブルクはこうでないと(笑)
商店街で街の中心のゲトライデガッセに行くのに、車の通れる橋は少し遠回りなのだが、ホテルザッハー横から入ってペデストリアンのMakartsteg(マカート小橋/マカートは画家の名前)を渡ると便利で、景色を見るにも恰好の場所になっている。それにしても暑い!ザルツブルクで日焼けするとは。アイス(Eis)を売っていたので思わず食べてしまった。久しぶりのアイスは美味い。アメリカのアイスクリームと比べて乳脂肪が少ないので、あっさりしている。初めて食べたのは1981年にバイロイト青少年音楽祭に参加した時で、1スクープ30pf(ペニッヒ/マルクの時代だ)で当時のレートで40円くらいだったと思う。今回は 小さいコーンでだけれど、3スクープ(Drei Kugeln)バニラ、チョコレートそれにレモンで2EUR(この時のレートだと250円くらいか)だった。
ゲトライデガッセからレジデンツプラッツ、モーツァルトプラッツまで歩き、カフェで少し休んで昼飯を軽く取る。それからKさんのご要望でモーツァルトの生家(Geburtshaus)を見る。面白かったが、特に息子の兄Karl Thomas Mozartと弟Franz Xaver Wolfgang Mozart(ジェスマイアとの不義の子との噂も)の展示物が興味を引いた。その後州立劇場近くの住居(Wohnenhaus 楽器がある)にも行ったのだが、この日は工事があるという事で、残念ながら既に閉まっていた。
この後駅に着くと、遅れて戻ったツケが回ってきた。列車が無い!予定の時刻以外は全く不便だった。駅前のテラスでコーヒーを飲み時間を潰し、RE(地域急行)でミュンヘンへ帰る。行きの列車では気が付かなかったが、沿線のかなりの家がソーラーパネルを載せている。日当たりの良い東南側に付けているので、乗る側で見えたり見えなかったり。他の州はどうなっているのか分からないが、バイエルン州では補助でもあるのだろう。などと考え事をしている裡に到着。既に夕方の18時近くで、一番端のホームだった。
再びミュンヘン
ホテルでひと休みしてマリーエンプラッツに行く。とにかく人が多い。今まで何度も来ているが、こんなに人だらけなのは初めてだ。土曜日でイースター前だからなのであろうけれど。いつも妻への土産にする錫のタペストリー(Zinndekoration)を買いに、Max Krugという前回立ち寄った店に行く。嬉しい事になんと40%offだ。元値52ユーロの洗濯女のものを割引の値段で買う。これには色々な伝統的職業をレリーフにしたものが多く、バイエルン州の特産品なのだが、最近は余り人気がないらしい。
さて、晩飯だが市庁舎地下のラーツケラーへ。ここは空いていた。ビールを頼み、選んだ料理はニュルンベルガー(8本)と豚肉のグリル(Schweinebraten)。美味かったが、特に後者の量にドイツが初めてのKさんはびっくりされた。400gはあっただろう。実際昔より少なめにはなったが、日本人には桁外れに多い感じは否めない。20年前は残す事が多かった。二人でシェアーして丁度良い。
それからバイエルン州立劇場やレジデンツ付近を散歩する。 この辺はレジデンツもポストも工事中で囲いがされているが、それに出来上がりの絵が書いてあるので、それが面白い。風呂屋の書き割りみたいだ。劇場の公演予定を見ると、ケント・ナガノ指揮で日本の震災の為のチャリティーコンサートの記載があった。3日の15時30分からフラウエン教会で行われ、出し物はブラームスのドイツレクイエムだった。有り難い事だ。夜の公演なら行けたんだけれど、 明日は私も初めての街バンベルクに行くので残念ながらこの時間に帰って来られない。短い旅行なので、変更は難しい。
その後ホフブロイハウスの前を通って再び市庁舎前に出ると、路上演奏の色々な音が聴こえて来る。ロッシーニの泥棒かささぎをヴァイオリン、キーボードとチェロ、コントラバスで冗談音楽の様に演奏している一団が目に付いた。音程はめちゃくちゃだし、いい加減この上ない。でも雰囲気は実に楽しい。こういう音楽もあって良いと思わせるには充分だったので、少し見物料を置いて来た。これがドイツで、ミュンヘンなのだ。