1.5 人体の酸化還元電位とは?

 ここでいう人体の酸化還元電位とは主として身体の一部を構成する種々の体液の酸化還元電位のことです。体液には我々が日常に目にする汗、涙、血液、尿の他に唾液、リンパ液等々基本的な物でも20種類以上あります。体液以外でも、臓器や筋肉、骨等も理論的には酸化還元電位は存在するはずですが試料採取や非侵襲(非破壊)測定が困難なことから当面測定の対象から除きます。
 人の胃液の酸性度を表すpH値は極めて酸度の高い2以下の数値を示します。又汗は弱酸性、唾液は弱アルカリ性というようにpH値に関しては殆どの人体の体液についての多くのデータが揃っています。しかし酸化還元電位のデータは余り多くありません。その理由は体液についてORP(酸化還元電位)測定の困難さに拠ると思われます。一般のORPメータは測定に際して、表示数値の確定に最低でも1分程度の時間を要しますが、体液の酸化還元電位を試料採取(invitro)によって測ろうとするとその間に試料の性質が変わってしまいます。体液には多くの生理活性物質が含まれ、時間とともにその活性が失われます。また空気に触れることに拠る溶存酸素濃度の変化が無視できません。

 しかし近年の研究に拠れば、体液の種類によって固有のORP値を示し、また個体差や人によってORP値に大きな差があることが分かってきました。例えば尿と唾液のORPの一般健常者の平均値はそれぞれプラス100mVと50mVという測定結果が得られています。即ち両者とも通常の水の電位に比べて200mVも電位が低い上に唾液は尿に比べて50mV低いことが分かります。個人差については、平均値プラスマイナス200mVの広がりをもって分布しています。体液の種類による電位差や、個人差、そしてこれらの値の時間的変動は人体の状態について多く情報をもたらしてくれます。

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