相手の人相
黒人 真っ黒な肌 身長160cmくらい
もう一人小柄な女が同行しているが、人相など不明。にこにこしながら、近づいてきて、
「あなたは日本人ですか」
「ああ、そうだよ」
「わたし、南アフリカ」
「ァ、そう」
「いつまで居るの」
「明日だよ」
「そうですか、わたしもね、明日ビジネスで東京に行きます」
「ァ、そう」と、この辺で会話がつながってくると、
「あのね、日本円、千円札持っていますか」
「ウン、有るよ」
「ちょっと見せてくれますか」財布から取りだして、見せると、
「ああ、これが千円札ね」
ここで、わたしは、外国の人だから、日本の風景、特に、富士山が、
5000円札に印刷されていることを思い出し、
それも見せてあげると、
「富士山、きれいですね」といいながら、
「僕は米ドル持っています」と、厚さ1cmから2cmくらいの札束を取り出す、
が、あまりにもきれいに重なっていて、
「??? ちょっと、やばそうな雰囲気、きれいすぎる?」
ふっと、「ゃ、これは、やばいな。両替を装う偽札ではないか。」と感じる。
カラーコピーで、簡単に出来そう、米ドル、ちゃっちいデザインだもの。
「おお、たくさんだね」
「そう、ビジネスだから」
ここまで、話が進んできたとき、日本人数人が、つかつかと近づいてきました。
わたしとその人たちと、会話が始まる時間もないうちに、
その二人連れは、きびすを返すがごとく、さっと、離れていってしましました。
「お金、大丈夫ですか」
「うん」
「あぶなかったねー、今の奴らね、なにか企んでいましたよ」
「ウン、俺もそんな感じでしたがね」
「俺たちが近づいてきたんで、逃げていったんですよ」
そのとおり、多分、両替を頼んできて、
その変えた米ドルは、コピーされた偽札なんですね。
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