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時期・場所 2000年6月 ウクライナ・キエフ
被害者 投稿者本人
手口
 6月2日午後11時ごろ(現地時間)、
トラムから降りた僕は小走りで民宿(いわゆるプライベートルーム)へ急ぎました。
遅い時間にも関らず、意外にも人通りが多かったの
で、少し気が緩んでいたのかもしれません。
 さて、道路から民宿へ入る最後の部分で数十メートル暗い木立の中を通ります。
ここが一番危ないと思った僕はそこまで何度か振り返りながら、
後をつけているものがいないか確認していました。

 民宿はアパートの3階です。
早足に昇っていると、突然、後ろから大きな足音が聞こえてきました。
やばい!と思ったのも遅く、
玄関にたどり着いた時に男二人に追いつかれてしまいました。

 民宿のおばさんが鍵をあけると、連中がなだれ込んできました。

 一瞬、身分証明のようなものを見せると、大きな声でわめきたてます。
どうやら、自称警察官で、なんらかの容疑で取り調べるとのことです。
(僕のロシア語の能力では判らない!!)

 部屋に連れて行かれ、壁に両手をついて立たされ、
まずは身体検査をされました。
そして、連中は荷物検査を始めました。

 「パスポート!」と言うのでパスポートを差し出すと、
男は確認だけして、ベッドの上に置きました。
僕はすぐに自分のポケットにしまいました、、、、

 ここで、僕は「あれっ」と思ったわけです。
今まで何度か官憲の職質を受けていますが、
パスポート等の身分証明書は最初に確保し、
全ての質問検査が終了するまでは絶対に返さないのです。
これは日本だろうが外国だろうが官憲の鉄則のはず、、、、

 もしかしたら、連中、ニセ警官か、、
そうならもっと「やばい」なあ、、、と思いました。

 ニセか本物かどちらにしても僕には連中に抵抗できる力も無いし、
冷静な判断を出来る精神状態でもありません。
ただ、この瞬間感じたことは「ついに僕にも順番がまわってきた、、」でした。
今まで似たような旅行をしている人達が経験していて、
僕だけ経験してなかったもので、、、、

二人連れは、僕の荷物やポケットなどをチェックし始めた。ただこれが、やっぱり少し
「雑」なのだ。適当に手を突っこんで、調べる。そして「雑」だが、細かいところまで気
にしてる、、、

 そのとき僕は、Gパンの両ポケット、ベストの両ポケット、パスポートケース、そして
スポーツバッグの「隠しポケット」の計6箇所に分散して現金を入れていた。

 Gパンの両ポケット、ベストの左側、パスポートケースの4箇所について
は見つかってしまった。
パスポートはすぐに返してくれたのに、
財布は「しばらくあずかる」と言う。
ますます「偽者っぽい」のだが、
ウクライナでは本物の警官でも現金に手を出すのかもしれない、、
と思ってしまった。

 「荷物をまとめろ、連行する(ロシア語判らなかったけど、そんなことを言ったのだろう)」
 と、言われる。民宿を出る。
 ところが、方向は道路の方ではなくて、さらに暗がりの方、ますますやばいのである。
 ロシア語で「車はどこ?」と聞いても。 OK、OKと言うだけである。

 そして暗がりの小屋の影でにたどり着いたとき、
連中は僕のかばんのなかから、カメラ2台をウオッカの入った買い物袋に入れ替えようとした。
 何しろ、僕のバッグはモスクワやキエフで買い揃えた
大型辞書、地図類、で相当重かったのである。

 この瞬間、僕は連中が間違い無く「ニセ警官」だと思って、
大声を出した、、、
とその瞬間強烈なパンチが顔に当たった、、、そして、連中は走って逃げて行った。
同様の手口・
注意する点

身も心もぼろぼろの状態で民宿に帰ると、なんと僕の部屋はきれいに片付けてあった。
おばさん曰く「早く出て行け、かかわりになりたくない」とのこと。
こんな状況の僕に血も涙もないやつと思ったが、
もしかしたら思いたくはないが、このおばさんもグルの可能性がある。
早く立ち去る方が得策かもしれない。

 電話を貸してくれと言ったら、「警察には電話するな」と言う。
「いや友達の家に電話するだけだ」と言って借りる。

 現地の留学生の友人に電話して、とりあえず迎えに来てくれるようお願いした。
そして、盗まれたもののチェック。
現金は300ドル程度いかれたか、後はカメラ2台とウオッカぐらいか。
パスポート、帰りのチケット、残りの金、クレジットカード類は無事だった。

 やがて、友人がやってくる。そして彼の下宿にころがりこむ。
やっと少し気分が落ち着いてきた。 

 明るくなってから、警察と大使館に行くことにして、日本のカード会社(傷害保険付)
にコレクトコールをかける。(日本時間土曜午前7時)
「カードが無事なら、もう一度保険担当の出勤する、平日の昼間に電話してくれ」とのこと。
「10時間後には飛行機に乗るので、今、現地で必要なことの指示が欲しい」と言うと
「午前9時にはもうすこし詳しいものが出勤するから、
2時間後に電話をしてくれ」とのこと。

 2時間後電話する。「現地警察への届け出が必要」と言われるが、
「警察に届ける時間もロシア語能力も無い」と言うと、
「第3者の証明が得られるように努力してください」とのことだった。

 さて夜明け、とりあえず、土曜日だけれど誰か出勤してるかもしれないので、
日本大使館に出向く、、、警備員に尋ねるがやっぱり留守。
 友人が大使館職員の自宅の電話番号を知っていたので、電話してもらう。
すると、「今からすぐ行くから」との返事で、少し安心。
意外と親切な大使館の対応に喜んだ。
友人によると、その書記官はいろいろと親切で、彼も助けてもらったことがあるとのこと。

 書記官に事情を説明し、管轄の警察署の住所を教えてもらう。
そして万が一、警察で問題があればと名刺をいただき、
警察署から携帯電話に連絡するようにと番号を教えていただく。
 そして警察へ、、、到着と同じに時間切れ、、だが、
一応受付けに申し出る。やっぱり相手にされず。空港に向かう。帰国の途へ、、、、、