先日前期自治会・後期学生会・院生自治会は学生部長候補者3名に公開質問状を送りました。11月2日に回答が出そろったのでここに掲載します。大変読みにくいですがご了承下さい。
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(1) プロフィール (a)これまでのご自身の経歴について、特に一橋大学の業務に携わった経験があれば、その経験も含め具体的にお答えください。 (b)一橋大学の現在に至るまでの歴史について、また今後一橋大学が目指す大学像について、ご自身の思うところを具体的にお書きください。 (c)ご自身が研究者・教員として今まで培ってきた考えを、どのように大学運営に生かしたいとお考えですか。 加藤 (a)公示されている略歴にみるように、学部、大学院の学生生活を一橋大学で過ごし、その後、10年間の他大学での奉職の後、およそ10年前の1990年に一橋大学に職を得ました。一橋大学教員としての10年間には、後期学務委員など、年齢相応の学務を命ぜられました。 (b)私はイスラム世界の社会経済史を専攻しておりますが、その大きなきっかけは、学部の2年の時に、インド社会経済史専攻の先生の前期ゼミに参加したことです。大学のカリキュラムをみる限り、全く勉学に不利なテ−マであったのですが、前期ゼミの先生を始め、幾人かの先生は私を激励し、全面的にサポ−トしてくれました。一橋大学は大変に自由な雰囲気の大学ですが、その伝統を根底において支えてきたのは、制度もさることながら、個々の教官と事務官の熱意と誠意であったと思います。今後、多くの大学制度改革が図られるでしょうが、この一橋大学の伝統だけは是非とも守ってもらいたいものです。 (c)その時その時の状況に応じて、努力するだけです。 田崎 (a) 1976年から1978年まで社会学部助手、1979年から1988年まで社会学部助教授、1988年から同教授。関係した委員会のうち諸君に関わりの深いものは、前期学生委員会、後期学務委員会、大学院学務委員会、カリキュラム改革委員会、四年一貫教育懇談会、予算委員会などです。 (b) 社会や大学をめぐる状況が大きく変わりつつあります。一橋大学の伝統と創学以来つちかわれてきた気風、そして戦後の再出発いらい築き上げてきた理念を継承しながら、ひろく人類社会全体の要請に応えられるような大学像を模索する必要があるのではないでしょうか。 (c) 大学は教員、職員、学生・院生によって構成されているとともに、ひろく社会全体の附託に応える責任と義務があります。このことを常に念頭において自分に与えられた職分を果たしたいと思います。 廣本 (a) 1981年に商学部専任講師として採用されて以来、本学で勤務しています。学内では、前期学務委員(当時)、後期学務委員(当時)、大学院学務委員、附属図書館委員、入試制度委員、一橋論叢編集委員などを務めてきました。 (b) 一橋大学の歴史は、明治8年に創設された商法講習所に始まります。商業の発展に資するためには、政治、経済、法、社会・文化などの諸分野についての研究・教育も必要となります。そういった意味で、一橋大学は商業教育を基礎として今日まで発展してきたのであり、今後も、その方向で進んでいくべきであると考えます。 (c) 信頼関係を基礎に、辛抱強く誠実に努めることが肝要であると考えます。 T 候補者のプロフィールと基本姿勢 (2)学生部長候補者としての基本姿勢 (a)学生部長は、学生に関するあらゆる事務を統括する責任者であり、また、学生と大学当局との間のパイプ役として、大学当局には学生の意見・要望を正確に伝え、学生には大学当局の公式決定や審議の迅速・正確な伝達を行なうことが望まれています。この職務について、どのようにお考えですか。 (b)現在、学生と学生部長との間で月一回定例の会合が開かれています。また、必要によって適宜会合が持たれる態勢が慣行として定着しています。この慣行を今後も維持しますか。 (c)少ない予算枠や限られた時間のなかで万が一学生と教員の見解が食い違った場合、意見の調整を行い学生の意見・要望の実現のために努めますか。 加藤 (a) 私は、自分の意思とは関係なく、突然に学生部長候補者とされたわけで、学生部長というポストを具体的にイメ−ジすることはできません。ただ、質問状にあるように、「学生に関するあらゆる事務を統括する責任者」であり、「学生と大学当局との間のパイプ役」であるとの認識はあります。 (b)もしも万が一私が・・・ならば、という仮定のもとでの質問は、ほとんど誘導尋問、踏み絵に近いところから、正直にいって答えられない、あるいは答えたくないのですが、これも一橋大学の伝統なのですから、簡単にお答えします。体力と気力が許すならば、維持するのは当然でしょう。 (c)食い違いの調整のため、「学生と大学当局との間のパイプ役」は勤めます。 田崎 (a) はじめにお断りしておきますが、私たちは立候補したのではありません。また私の場合、諸君の公開質問状に答えるために、にわか勉強をしなければならない有様でした。その過程で今さらながら、私にはとても学生部長としての能力も知識もないことを確信しました。学生部長になった場合には、学生・院生諸君と大学当局のパイプ役を誠実につとめ、諸君がよりよい大学・大学院生活を過ごせるように努力したいと思いますが、うまくつとめあげられる自信がありません。 (b) 学生部長に課された職責から考えても、できるだけ多くの時間、諸君と話しあうことは必要不可欠だと思います。たとえ慣行がなくとも話しあいの機会をできるだけ持ちたいと考えます。 (c) 歴代の学生部長もそのように努力されてこられたと思いますし、私もそうした努力を惜しむつもりはありません。 廣本 (a) そのような学生部長の職務は非常に重要なものであり、大変な重責であると考えます。 (b) 学生部長の役目は調整役であり、コミュニケーションは不可欠であると思います。そのような慣行は大変に良いものであると考えます。 (c) 見解が食い違うから調整役が必要なのであり、合意形成のためにギリギリまで努力することが務めであると考えます。 (1)一橋の自治 (a)「3・1確認書」やいわゆる「権力排除声明」(1969、5、16)に表されている本学の「全構成員自治(三者構成自治)」を支持されますか。「大学自治=教授会の自治」という考え方についてどのような意見をお持ちですか。また、今後本学の自治をどのような方向に進めていくべきと考えますか。 (b)全構成員自治の原則のもとで、学生が果たすべき役割についてどうお考えですか。本学における学生の位置づけ、及び本学の意思決定への学生参加のあり方について具体的にお答えください。 (c)今後、学長選や大学改革などの問題に取り組むにあたって、文部省が予算誘導などで大学の自治に介入することがあった場合、いかなる圧力にも屈することなく本学の自主的な立場を明確に主張していくことを約束しますか。 加藤 (a)現在、議論が「大学自治=教授会の自治」という考え方の先にまで進みつつある、厳しい状況にあると認識しています。 (b)学生が主体的に大学運営に関与したいというならば、彼らが意見を表明する手段を確保することは当然でしょう。 (c)私の認識では、大学当局とは大学執行部であり、「学生と大学当局との間のパイプ役」の学生部長は、その役割からいって、執行部のメンバ−ではない、あるいはあってはならないと思います。それゆえに、約束を迫るのは執行部に対してであって、学生部長に約束を迫るのは少々筋違いではないでしょうか。 田崎 (a)「全構成員自治」の理念と制度は「教授会自治」に対する批判から生まれたもので、「教授会自治」論よりも大学という組織体にふさわしいものと理解し、支持しています。 もとより憲法が保障する学問の自由は大学自治なしにはありえず、大学自治は、大学を構成する各層のそれぞれの役割に応じた努力と支えがなければ維持も発展もできません。人類社会に奉仕しうるこれからの大学像を模索する中で、それにふさわしい自治を実現していくことは、学問と教育を真に発展させるための要諦であると考えます。とくに国立大学の場合は予算や職員の人事権をはじめ多くの制約があるので、その制約の枠内で自治の内実を豊かにする努力とともに、制約の枠そのものをゆるめていく努力も大切だと思っています。 (b)一橋大学では大学を構成する各層が自治組織を持ち、全学的な問題については各層の話しあいによって解決するという方針をとってきました。今後もこの方針を維持することが大切だと思います。 (c)学生部長が「いかなる圧力にも屈することなく本学の自主的な立場を明確に主張」するという場面がうまく思い浮かびませんが、大学の一構成員として不当な介入は排除すべきであると考えます。 廣本 (a) 全学的重要問題は教官・職員・学生の三者で解決していくという原則は、間違っていないと考えます。ただし、三者はそれぞれの立場から問題解決のあり方を考えるわけで、それらを総合するにはお互いの努力が必要になると考えます。信頼関係を損なうことなく、試行錯誤を積み重ねていくしかないと思います。 (b) 学生の果たすべき役割については、学生諸君が自分自身で考えて欲しいと思います。 (c) 本学の自主的な立場を明確に主張することは当然であると考えます。 U 一橋の自治のあり方 (2)学長・学生部長選考について (a)現在の一橋大学における学長・学生部長選考への学生・職員の参加制度についてどう評価されますか。学生参加の原則と運用について何か問題点があるとお考えですか。もしあれば具体的にあげてください。 (b)現在、大学評議会は現行の学長・学生部長選考制度の存続は不可能であるとして、制度の見直しを提案していますが、この提案についてどのようにお考えですか。 (c)大学評議会の制度見直し提案に対して、学生院生は学生大会や院生総会において反対決議を可決しましたが、このことについてどう考えられますか。現行制度の維持のためにできる限り努力することを約束しますか。 (d)1972年に学生と大学評議会との間で結ばれた確認書では、制度の「改正については、学生・院生と評議会との団交での決定を経なければならない」と、学生との合意なき制度改廃は行わないことになっています。大学はこうした制度改廃の手続きを遵守しなければならないと考えますか。 (e)かりに今回の選挙で文部省が発令を拒否もしくは引き伸ばした場合、本学の全構成員自治の理念にのっとり学生・職員との話し合いのもとにこれに対処することを約束しますか。 加藤 (a) 高く評価します。しかし、それが現実には運営しえない事態に至ったからこそ、皆が知恵を絞っているのでしょう。 (b) 見直しは必要でしょう。 (c)正式の手続きを踏んだ学生の意思表明なので、尊重すべきでしょう。上記の理由から約束はできません。 (d)(b)と同じ答えです。 (e)上記の理由から約束はできません。 田崎 (a) 学長・学生部長選考への学生・職員の参加や学生参加の原則と運用について学内的に問題があるという認識はありません。諸君の方で問題があるということであれば、それをよく聞いた上で対応を考えたいと思います。 (b) 職員、学生・院生諸君と教授会メンバーである私が持っている情報には大差ないと思います。そういう情報からは大学評議会の判断に釈然としない点があります。けれども、OB、現役の別なく最近の執行部メンバーの誰もがこの判断を大筋で支持していることは、それ相応に重みのあるものと受け止めています。 (c) 諸君の決議を尊重し、それが生かされるように努力したいと思います。 (d) 遵守しなければならないと考えます。 (e) このような事態は本学の非常事態ですから、当然であると考えます。 廣本 (a) 現行制度は、これまで十分にその機能を果たしてきたと考えます。 (b) 国立大学を巡る最近の情勢によって見直しが必要になったと理解しています。 (c) 学生諸君が反対決議をされたことは理解できますが、見直しが必要になっているという今日の状況も理解しなければならないと考えます。 (d) 遵守する努力をしなければならないと考えます。 (e) そのようなことになれば、それは非常事態であり、全学的に対処の仕方を話し合うのは当然であると考えます。 U 一橋の自治のあり方 (3)団交ー確認書方式について (a)学生の団体交渉権の保証が本学の自治にとって欠かせないものだとお考えになりますか。 加藤 (a)それぞれの立場に応じた、学生と大学当局との間での意見交換の手段はぜひ必要でしょう。 田崎 (a)そのように考えます。 廣本 (a) 団体交渉権は必要であると考えます。 1 勉学生活における「大学改革」 (1)カリキュラム改革 (a)これまでのカリキュラム改革について、事前の学内の議論なども含め、どのように評価しますか。 (b)「カリキュラム制定権は教員にある」という従来の大学の考え方をどのように思われますか。また、学生がカリキュラムの問題にどのように参加すべきか、思うところをお聞かせください。 (c)カリキュラムについての問題について、学生の意見・要望を具体的にどのように反映させますか。具体的な問題としては、事前ガイダンスの不備・ゼメスター制導入による時間割作成への支障、窓口業務の不手際などがあります。また学生が問題点を指摘している講義には、「統一テスト」に代表される英語や自然科学系講義などがあります。 加藤 (a) 学部によって改革のあり方が異なるため、一律には評価できません。 (b) 「制定権」であるかどうかはともかく、大学も教育機関である以上、カリキュラム編成の最終責任が教員にあることは当然でしょう。学生の希望はできるだけカリキュラムに反映させねばなりませんが、それと同時に、正規のカリキュラムとは別に、学生も主体的に、自主ゼミ、自主講義などを通して、希望する講座の開設を大学に願い出るべきだと思います。一橋大学のような小さな大学では、とりわけそう思います。 (c)具体的な問題については、答えるだけの情報をもっていません。ただ、学生生活の問題を具体的に考えれば考えるほど、人員が削減され続けている事務体制との関係が問われることになるのではないかと思います。 田崎 (a) 現行カリキュラムの策定とキャンパス統合には委員として途中まで加わりました。改革の方向性に大きな過誤はなかったと考えています。ただ、カリキュラム改革にともなって生ずる問題で未解決のものもありますし、カリキュラム自体は不断に見直しながら改善をはからなければならないと考えています。 (b) 単位の認定も含め、諸君に対する最終的な教育責任は個々の教員と教授会が負わなければなりません。そのような意味で「カリキュラムの制定権は教員にある」という指摘は当然であると考えます。しかしこのことは、教員や教授会が学生諸君や社会の要請を無 視して独善的・閉鎖的にカリキュラム制定権を行使してよいということを意味するものでないのはもちろんです。また、諸君の実状や希望とかけはなれたカリキュラムでは、旺盛な勉学意欲を引き出すことはできません。学生諸君の要望や意見には積極的に耳を傾け、それらをカリキュラムに適切に反映していくことは不可欠であると考えます。 (c) 従来からカリキュラムに諸君の意見を反映する努力は行われてきましたし、現行制度の中にも歴代の学生諸君の声がいろいろなところに生かされています。今後もこうした姿勢を堅持するとともに、諸君の声がもっとよく届くような制度や方法を検討したいと考えます。また、具体的に指摘されている問題については実状を調べ、職員や関係委員会と協議しながら、一日も早く解決するように努力します。ご指摘の講義については、それぞれの教官や教官組織の責任ある判断の下に運営されていることですから、一介の学生部長候補者が公開質問状の回答というかたちであれこれ無責任な論評を加えられるような性格の問題ではありません。 廣本 (a) これまでのカリキュラム改革は、一定の成果を上げたと考えます。 (b) 教員は教育責任を負っていますから、そのように考えるのは当然であると思います。その過程で、学生諸君の意見・要望に耳を傾けることが必要であると考えます。 (c) 学生諸君の意見・要望を聞きながら、学生の勉学生活環境を改善する努力は絶えず行われなければならないと考えます。窓口が混雑し業務に支障が生じているとすれば、それは早急に解決すべき問題であると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 1 勉学生活における「大学改革」 (2)図書館改革 (a)今後の図書館改革に当たって、学生の意見・要望を具体的にどのように反映させますか。 (b)開館時間の延長・日曜開館など、図書館利用の充実を望む声は恒常的にあります。三多摩地区の多くの大学では日曜開館が実現していますが、こうした要望について具体的にどのように取り組みますか。また、これが職員の労働条件悪化につながらないことも重要ですが、この点についての対応もお聞かせください。 (c)98年8月から始まった第2期図書館増改築工事(〜2000年)により、多くの図書が小平分校の図書館に移転されます。今後、長期に亘って学生の図書利用に支障が出ないよう具体的にどのような対応が必要だと考えますか。 (d)閲覧を自由にするなど、地域住民に図書館を開放する取り組みについてどのようにお考えですか。 加藤 (a) 学生が何を要望しているのかによるのではないでしょうか。 (b) 図書館職員の労働条件がどのようなものなのか、情報がありませんので、このような具体的な問題には答えられません。図書館は大学のシンボルである、との認識はあります。 (c)今のところ、できるだけ支障が出ないように努めるべきだ、としか答えようがありません。 (d)今の事務体制では、地域住民に開放するなど、考えられないと思います。 田崎 (a) 率直に言って、現在の図書館改革には利用者の声が充分に反映されておらず、事前の情報開示にも問題が少なくなかったと思います。今後は同様の事態が繰り返されることのないよう、関係委員会にお願いするなど必要な手だてを講じ、あわせて諸君の意見や要望が反映されるようにしたいと思います。 (b) 図書館の開館時間や開館日などに改善の余地のあることは認めますが、日曜開館については利用者の中にも異論のないわけではありません。また、ただでさえ少ない職員に献身的な努力をお願いしている現状に加え、今後の定員削減の影響や大学予算の制限、異なる勤務形態の職員が生ずることにともなう問題、非常勤職員のかかえる問題など、事前にクリアーしなければならない課題があまりにも多いのが実状です。開館時間の延長や休日開館を機関として維持する体制を組み立てるには、長期的な視野に立った全学的な検討が必要ではないでしょうか。 (c) 具体的にどのような支障が生じているかを調べ、関係委員会にお願いするなどして、改善をはかりたいと考えます。 (d) 質問事項が学生部長の職務とどのように関わるのか判らないので、個人的な考え方を申し上げます。蔵書を公開するという原則的な姿勢は大切ですし、「地域住民に図書館を開放する」という考え方にも理念的には反対ではありません。けれども大学には大学としての社会的な責務がありますし、さらに本学の場合は上記V-1-(2)-(b)で述べたように多くの困難を抱えています。こうした現状では、地域住民への図書館の開放は、開館時間や開館日の改善よりも難しいのではないかと思います。 廣本 (a) 利用者の意見・要望を斟酌することは不可欠であると考えます。そのためにも、学生諸君にはもっと積極的に意見・要望を述べて欲しいと思います。 (b) 利用者の要望をいかにすれば実現できるかという方向で検討すべきですが、そのために職員の方々に無理を強いるいことがあってはならないと考えます。 (c) 図書館委員会や図書館職員の方々により適切な対応が図られていると理解していますが、不十分な点があるのであれば、具体的に意見・要望を述べるべきであると考えます。 (d) 大学の研究教育および図書館の機能に支障をきたさない範囲内で、前向きに検討されて良いと考えます。 V 学生の勉学生活の環境 2 学生の自主活動 (1)学生の自主活動の意義 (a)学生の自主活動の意義をどうお考えになりますか。 (b)学生の自主活動を施設・予算の面で最大限に保障することについて、具体的にどのように取り組みますか。 (c)「大学改革によって現在の学生の自主活動環境が損なわれることがない」ことを定めた「6・8確認書」を、今後も堅持されますか。 加藤 (a)おおいにやるべきです。 (b)予算の許すかぎり、大学はサポ−トすべきだと思います。 (c)(a)と(b)で答えました。 田崎 (a) 学生の自主活動は諸君の人間的な発達にとっても必要なことであり、大学はその保障に責任を負うべきであると考えます。 (b) 上記V-2-(1)-(a)の立場に立ち、必要な努力を惜しまないつもりです。 (c) 諸君との約束を尊重します。 廣本 (a)〜(c) 学生の自主的活動は有意義であり、でき得る範囲内でこれを支援し続けることが必要であると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 2 学生の自主活動 (2)学生の自主活動に関する課題 (a)これまで、学生の自主活動は課外活動施設の24時間自主管理が事実上認められています。今後もこの状態を堅持し、学生の自主管理をお認めになりますか。 (b)現在、教室の利用・物品貸し出しは届け出制となっており、学生は誰でも自由に教室を使うことができます。今後も教室利用・物品利用の自由を堅持されますか。 (c)学内での宣伝物配布及びビラ貼りについて、学生の自治にゆだねるというあり方を今後も堅持されますか。 (d)キャンパスへのバイク入構についてどのように思われますか。 (e)キャンパス移転により自転車入構が増加することが分かっていたにも関わらず、大学当局は事前に学生との話し合いなく一方的に「駐輪規制ゾーン」を策定し、その後も駐輪区域を充分に保障していません。この問題について、具体的にどのような取り組みをなさいますか。 (f)キャンパス内の治安悪化について、学生の自由な活動・施設利用を妨げない前提で、具体的にどの様な取り組みをなさいますか。 (g)キャンパス内の「治安対策」として、大学当局は正門以外の出入り口を夜間に施錠する予定を立てています。 加藤 (a) 管理責任を自覚するかぎりにおいて、認めるべきだと思います。 (b) 一橋大学は、この点、大変に恵まれた環境にあります。規模が小さいことのメリットでしょう。今後、学生数が増えたとき、問題が生じるかもしれませんが、この恵まれた環境を維持すべきだと思います。 (c)現在、問題があるとは思いません。 (d)私は、個人的には、全面入構禁止にしてもらいたいと思います。 (e)第一義的には、物理的な空間確保の問題であると思います。限られた空間を最大限に有効に使うためには、規制遵守という学生の協力も不可欠です。 (f)教授会でも、何度もこの点について議論がなされましたが、その都度、予算面の問題に突き当たります。 (g)キャンパス内の「治安対策」は早急になすべき検討課題だと思います。 田崎 (a) 「自主管理」は、諸君と諸君の先輩が自己責任をよく自覚して自主管理能力を発揮してきたという実績に支えられて成り立っています。これが破綻しない限り、認められるべきものと考えます。 (b) とくに問題が生じない限り、諸君との約束や慣行を尊重するのは当然のことです。 (c) とくに問題が生じない限り、諸君との約束や慣行を尊重するのは当然のことです。なお、個人的な要望をさせていただけるのなら、ビラ貼りについては野放図になったり、いつまでも貼りっぱなしにならないよう、学生諸君の間でも話しあってほしいと思います。 (d) バイク入構の禁止は構内の交通安全の確保や騒音といった具体的な問題を解決するためにとられた措置であると記憶しています。 (e) 実状を調査し、諸君の意見・要望をよく聞いた上で、関係委員会に検討をお願いするなど必要な措置を講じたいと考えます。 (f) 治安の悪化は無視できないので適切な対策が必要だと思います。またこれによって諸君の「自由な活動・施設利用」が妨げられないように工夫するのは当然ですし、治安対策には諸君の協力も必要になると思います、対策を講ずる場合には事前に十分な話しあいを持ち、諸君の合意と協力の下に治安の回復に取り組むべきだと思います。 (g) 夜間施錠はすでに実施されていると記憶しています。今後は、現行の夜間施錠の方法などについて諸君の意見や要望を反映させていくべきだと思います。 廣本 (a)〜(c) 基本的には、学生諸君が自由に伴う責任を十分に自覚し、またその責任遂行能力が認められる限り、自由は認められて良いと考えます。 (d) 各層の声を十分に聞いて考えたいと思います。 (e) 学生諸君の意見・要望を十分に聞きながら、より良い解決案を模索し続けるべきであると考えます。 (f) キャンパス内の治安悪化は極めて重大な問題であり、問題解決のために真剣な取り組みが必要であると考えます。 (g) 治安対策として、1つの選択案であると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 2 学生の自主活動 (3)国立・小平のサークル活動に関する課題 (a)小平のサークル活動に関しては、自主管理・施設維持も含めた活動保障を今後も堅持することがこれまでの学生部長会合でも確認されています。今後もこうした状況を維持しますか。 (b)体育館・プール維持のための物品支給が不足するなど、特に小平の体育会・体育会系サークルの活動への保障は充分とはいえません。こうした問題について、具体的にどのような取り組みをなさいますか。 (c)今後国立に体育館・プールが建設される場合、学生の意見・要望を反映させていきますか。 加藤 (a) 維持すべきでしょう。 (b) 具体的にはどのような問題が生じているのか知りませんので、何とも答えようがありませんが、私は、学生時代の経験からも、学生の主体的なサ−クル活動を支持します。 (c)(b)で答えました。 田崎 (a) とくに問題が生じない限り、諸君との約束や慣行を尊重するのは当然のことです。 (b) 実状を調査し、諸君の意見・要望をよく聞いた上で必要な措置を講じたいと考えます。 (c) 諸君の意見・要望を反映させるように努力することは、学生部長の責務として当然のことであると思います。 廣本 (a)小平キャンパスの施設利用については、移転改築後の課外活動利用状況等を見て検討することが必要であると考えます。 (b)具体的に問題を把握していないので、関係者の意見・要望を聞いた上で検討したいと思います。 (c)利用者の意見・要望を斟酌することは当然であると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 2 学生の自主活動 (4)大学院生の研究環境 (a)これまでの一橋大学における大学院重点化についてどう評価されますか。 (b)院生の研究室は、現在、908人の院生数に対し440机しかありません。二人に一机もないという状態は、院生の研究環境を著しく悪化させています。こうした現状をどう思われますか。また、この問題を解決するために具体的にどのような取り組みが必要だと考えますか。 (c)近年、院生の急激な増加にともない、大学院の講義・ゼミが「マスプロ化」し様々な問題が指摘されています。研究科によっては、30人を上回るゼミがあり、院生への研究指導がおろそかになっているなどの意見があります。こうした問題を解決するために、具体的にどのような取り組みが必要だと考えますか。 (d)オーバードクター問題について、どのように取り組むつもりか、お答え下さい。関連して、文部省の大学教員採用枠の抑制政策について、どのように考えますか。 加藤 (a)評価がどうかの問題である以前に、大学院重点化は一橋大学の将来にとって、なさねばならない措置でしょう。 (b)これも、第一義的には、物理的な空間確保の問題であると思います。できるだけ空間は確保するように努めなければならないでしょうが、(a)との関連から、絶対的な空間の確保にこだわらない、機能、便宜の充実という側面からの、新たな院生の研究環境の整備を考える時期にきているのかも知れません。 (c)(b)と同じく、ゼミへの絶対的な参加人数だけを問題にするのではなく、ゼミ制度の見直しを含めた、新たな院生の研究環境の整備を考える時期にきているのかも知れません。 (d)教員としては、立派な研究・教育システムの確立によって、優秀な研究者、専門家の養成に努めるだけです。 田崎 (a) 大学の今後のあり方のひとつであると考えています。 (b) 現状は好ましいものではありません。すでに解決に向けて検討が始められているようですから、引き続きその早期実現を目指して努力するとともに、ほかに可能な方法があれば検討したいと思います。 (c) これは、学生部長の職務というよりは各研究科で取り組む課題であると考えます。 (d) オーバードクター問題の解決は各研究科に委ねられています。教員公募書類の開示方法など、学生部長としてできることがあれば、関係委員会に検討をお願いするなど前向きに取り組むつもりです。文部省の大学教員採用枠の抑制政策は好ましいものでありません。 廣本 (a) 大学院重点化を進めることは、本学にとって必要なことであると考えます。 (b) より良い研究環境を実現するために、一層の努力をすることが必要であると考えます。 (c) 問題解決のために各研究科でさまざまな検討・工夫が行われていると思います。 (d) オーバードクター問題を含め大学院生の就職問題は、今後ますます重大な問題になると思います。問題解決に向けて最大限の努力をする必要があると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 3 学費・受益者負担の問題 (1)学費 (a)98年度の新入生の場合、国立大学の初年度納付金は74万4200円(入学金27万5000円、授業料46万9200円)となっています。現在のような高額な学費は教育の機会均等の原則からみても問題であるという声が多く聞かれますが、こうした状況をどのようにお考えですか。また、具体的な対応についてもお考えをお聞かせください。 (b)国立大学にスライド制・学部別授業料を導入することについてどのようにお考えですか。 (c)入学金・授業料免除について伺います。昨年は967名が免除申請を行ない、うち186名が申請を却下されています。この状況をどのように考えますか。 (d)現在の奨学金制度は、学生のニーズに十分に応えているとお考えですか。 加藤 (a) 現在の額が教育の機会均等の原則を脅かすほどのものなのか、正直に言って、私には答えられません。 (b) それをどう評価するかは別にして、これからは、同じ大学でも、ますます学部ごと部門ごとに異なる運営がなされていくことになるでしょう。それが、予算面にまではなかなか及ばないでしょうが。 (c) 却下された理由を知りませんので、答えようがありません。 (d) 奨学金制度には、学生の勉学意欲を高めるためにも、多くの予算を割いてほしいものです。 田崎 (a) 「教育の機会均等」という観点を徹底すれば学費は国庫負担が適当だと思います。学生部長として具体的にどのような対応がとれるのか判りませんが、大学を構成する一員としても改善に向けた努力をしたいと思います。 (b) 「教育の機会均等」という観点からだけでなく「職業選択の自由」という観点から見ても問題があると考えます。 (c) 免除や分納については一律の基準があり、これを学内措置で改めることは無理だと思います。基準そのものを改めるなどの方法を採らなければ現状の改善は難しいのではないでしょうか。 (d) 私たちが学生の頃は一ヶ月の奨学金で半期の授業料を納めてなお余裕がありました。現在は数ヶ月分の奨学金がなければ授業料も納められず、授業料と奨学金のバランスだけをとっても悪化していると思います。また授業料の値上がりのテンポと貸与枠の拡充との関係でも問題が多く、とても諸君のニーズに十分に応えているとはいいがたいと考えます。 廣本 (a)〜(d)非常に高額な学費であると思います。学費等の問題は国の文教政策の問題であり、国立大学協会等を通じて文部省に働きかけるべきであると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 3 学費・受益者負担の問題 (2)「受益者負担」の適用について (a)学費からサークルの光熱費・寮費に至るまで、学生に対し「受益者負担」を適用する風潮が強まっていますが、この「受益者負担」の考え方についてどう思われますか。また、法による「教育の機会均等」の原則と受益者負担の考え方が矛盾すると思われますか。 (b)学生は、施設利用・自主活動への受益者負担適用に反対しています。この声に対し、具体的にどのような対応を取られますか。 加藤 (a)「受益者負担」の問題は、「教育の機会均等」とともに、「学生の自由で自主的な活動」の問題とも絡んでいると思います。 (b)「受益者負担」である以上、その判断のためには、どのような学生活動にどれだけの額が支払われているか等の具体的情報を知ることが不可欠ですが、現在の私はそれを持ち合わせておりません。 田崎 (a) 「受益者負担」という考え方は「受益者」を誰と考えるかによって様々な結果になります。「教育の機会均等」という原則の枠内であっても、学費、サークルの光熱費、寮費などさまざまな学生諸君の負担について一律の基準で処理することは難しいと思います。「教育の機会均等」という考え方と「受益者負担」という考え方は原理的には矛盾するものであっても、現実には「教育の機会均等」の実現を実質的に妨げないような負担のあり方は考えうると思っています。 (b) 「施設利用」と一口にいっても学内外にはさまざまな施設があり、利用の仕方もまた同様で現実には多種多様な場面が考えられるので、一律の対応は難しいと思います。個別のケースに応じて対応したいとしかお答えできません。 廣本 (a)(b)「受益者負担」を求めない場合には、すべての学生が均等に負担することになります。全学的な議論が必要であると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 4 就職問題 (a)就職情報室発行「平成10年度 就職の手引き」によれば、約8割の学生が講義・ゼミに支障をきたしたと述べています。就職活動によるゼミ・講義への影響をどのように考えますか。 (b)労働省女性青年室などが採用時におけるジェンダー差別に対し相談窓口などを設けていますが、こうした差別についてどのようにお考えですか。また、具体的にどのように対処しようとお考えですか。 加藤 (a)教員としては、ゼミ・講義への影響のない、あるいは少ない就職活動をおこなってほしいと強く願います。 (b)どのような相談が持ちかけられているのか、具体的な情報を持ちませんが、差別があるのなら、それをなくすよう努めるのは当然でしょう。 田崎 (a)私もその影響を受けている者の一人です。好ましいものではありません。諸君とも協力しながら解決に向けて努力したいと思います。 (b)ジェンダー差別は許されません。大学としても解消への努力を重ねてきていると思いますが、それを継承するとともに、関係職員の協力をえながらさらに働きかけを強めるべきだと思います。他大学の例も参考にしながら、いっそうの努力を払いたいと考えます。 廣本 (a)8割もの学生が講義・ゼミに支障をきたしているというのであれば、これは放置できない問題です。国大協等を通じて、改善を申し入れる必要があると考えます。 (b)そのような差別は軽蔑すべき野蛮な行為です。本学でも状況を調査し、場合によっては必要な措置を検討しなければならないと考えます。 V 学生の勉学生活の環境 5 留学生 (1)留学生の地位向上 (a)留学生は、法律によりアルバイトの職種に制限があったり、履修上限の関係で必ず4年間在籍しなければならないなど、一般の学生に比べ大きなハンディがあります。こうした格差は留学生を受け入れる大学が責任を持って是正につとめるべき問題ですが、留学生の地位向上について具体的にどのような取り組みを行いますか。 加藤 (a)大学の国際化の観点からも、留学生の研究環境の改善は求められていると思います。 田崎 (a) 指摘された格差のうち「法律によりアルバイトの職種に制限があ」るという点は学内措置で対応できる問題ではありません。また「履修上限の関係で必ず4年間在籍しなければならない」点は一般学生と同じですし、とくに留学生に対して一般学生よりも厳しい履修規則の適用はしてはいないはずです。留学生の地位向上については、今後も努力していくべきであると考えます。 廣本 (a) 日本に期待して来日した留学生が悪い印象を持って帰国するようであれば、日本および本学は留学生を受入れない方がましです。日本への留学希望者に対しては現状を正確に伝えると共に、現状を改善する努力を続ける必要があると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 5 留学生 (2)国際交流会館 (a)国際交流会館は、運営形態が「新規格寮」に準じており入居資格も「国費留学生のみ1年間」というものになっています。留学生の地位・経済的負担からみるとこの措置は留学生に充分配慮していないといえますが、具体的にどのような取り組みを行いますか。 加藤 (a)今の時点では、改善に努めるとしか、言いようがありません。 田崎 (a)留学生数に対して大学が提供できる部屋数が絶対的に不足していることが根本的な原因ではないかと考えます。寮建設など、必要な手だてを講じたいと思います。 廣本 (a)限られたスペースを前提として考えれば、できるだけ公平にという運営原則が適切であると考えます。留学生の居住環境については、長期的・総合的に、その改善を検討する必要があると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 6 学内における差別・排外主義の問題 (1)民族学校出身者の大学入学資格 (a)97年に引き続き、98年も朝鮮高級学校の生徒が一橋大学に大学受験資格認定の申請を出しています。三自治会は学生大会・院生総会で「大学が独自の判断で外国人学校卒業者に大学の門戸を開放する」ことを求める決議を挙げています。また、大学院では京大がすでに門戸を開放し、日弁連がこの問題を人権侵害だとして是正を勧告しています。99年度入試を含め、今後大学として、独自の判断により民族学校出身者に大学受験資格を認めるよう、大学当局に積極的に働きかけますか。認められない場合は、その理由をお聞かせ下さい。 加藤 (a)何度も指摘しているように、私見としては、学生部長は「学生と大学当局との間のパイプ役」に徹すべきであり、そのためには、私的な会話ではともかく、公的には自分の意見を述べるべきではない、と思っています。 田崎 (a) この問題については、個人的には日弁連の勧告に沿った立法措置によって解決が図られるべきであると考えます。受験資格認定などについては関係委員会で検討しているようですので、その結果を見守りたいと思います。受験資格認定も大学院の「門戸開放」も、個別の大学や大学院、研究科の独自判断で対応した場合には関係職員の処分など、職員に不利益を与える惧れがあります。学生部長は学生部の職員全体に対して責任を負う立場にありますから、このような独自判断による対応にはいきおい慎重にならざるをえないと思います。こうした惧れが生じないような方法で、問題の解決を促進する努力を払うことにはやぶさかではありません。 廣本 (a) 入試制度委員会で検討中であり、その結果を待つべきであると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 6 学内における差別・排外主義の問題 (2)学内におけるセクシュアルハラスメント・ アカデミックハラスメントの問題 (a)教授と学生の権力関係を利用した性的関係の強要や論文の盗用・盗作などが社会問題化し、本学も無関係ではないと思われますが、こうした問題について具体的にどのような取り組みをなさいますか。 加藤 (a)あってはならないことは、言わずもがなの問題です。 田崎 (a)セクシャルハラスメントやアカデミックハラスメントはあってはならないことだと思います。他大学の例なども参考に、学生・院生諸君の相談窓口を設けるなど具体的な対策を講じたいと考えます。 廣本 (a)そのような行為は卑しむべきであり、本学においてはそのような問題は未だ生じていないと信じていますが、今後も絶対に生じることがないよう最大限の努力をすべきであると考えます。 V 学生の勉学生活の環境 7 大学の開放 (a)施設も含め、大学の地域住民への開放については、どうお考えになりますか。過去、大学当局は兼松講堂を利用したいという市民の申出を拒否した事実がありますが、大学と地域社会の関係を考えれば、可能な限り大学は地域に開放されるべきだと考えられます。 加藤 (a)開放は、大学の運営に支障が生じないかぎりで、というのが当然の条件です。 田崎 (a)この問題が学生部長の職務とどのように関わるのか判りません。個人的には、大学の教育研究および諸君の課外活動、職員の労働条件、国有財産管理などのうえで支障がない限り、認められてよいのではないかと思います。 廣本 (a)大学の研究教育、また課外活動などに支障をきたさない範囲内で、前向きに検討されて良いと考えます。 1 学寮の意義・生活環境 (a)学寮について、一橋大学の従来の自治寮のあり方を今後も尊重する意思はありますか。また、学寮に関する問題の解決にあたって、現行の自治寮の理念と制度及び1988年1月18日確認書の原則を遵守しなければならないと考えますか。 (b)学寮に対する福利厚生の充実を、具体的にどのように行いますか。 (c)現在学寮をとりまいている「受益者負担」主義の適用をどのように思われますか。 加藤 (a)基本的には、寮という生活空間を律するのは学生であるべきだと思います。一橋大学の従来の自治寮の具体的な取決め、あり方につては、情報を持ちません。 (b)予算が許すかぎり、充実をはかるのは当然です。 (c)(b)との関係から、ある程度の「受益者負担」主義は必要だと思います。 田崎 (a)現行の自治寮の理念と制度、1988年1月18日確認書の原則は尊重されるべきであると考えます。 (b)寮問題はにわか勉強ではとても歯が立たないことがわかりました。現在の私には、学生部長になった場合にはよく勉強し、できるかぎり充実をはかりたいとしかお答えできません。申し訳ありません。 (c)V-3-(2)-(a)でお答えしたとおりです。 廣本 (a)一般に寮の自治は尊重すべきであると考えます。 (b)福利厚生の充実は検討すべき問題です。具体策は寮生との話し合いを通じて決定されていくものと考えます。 (c)寮生の意見・要望を聞きながら、慎重に検討すべきであると考えます。 W 寮問題 2 「新々寮(混住寮)」問題 (a)大学当局が提起した混住寮建設案について、現在、大学当局・学生間で検討が進められておりますが、混住寮の建設に積極的に取り組む意志はありますか。また、その過程においてこれまでに大学当局・学生間で行われた会合の内容を尊重する意志はありますか。 加藤 (a)「学生と大学当局との間のパイプ役」としては、これまでの合意事項を尊重するのは当然でしょう。 田崎 (a)積極的に取り組むとともに、その過程において会合の内容を尊重するのは当然のことであると考えます。 廣本 (a)混住寮の可能性は検討すべきであると考えます。これまでの経緯は当然に尊重しなければならないと考えます。 W 寮問題 3 個別の質問事項 (1) 一橋寮 (2)中和寮 (1)一橋寮:小平キャンパスの治安問題について、照明増設、警備の質の強化などを行う意志はありますか。 (2)中和寮:大学は文部省の意向を受ける形で、寮食堂の炊事婦及び寮作業員の校費雇用の打ち切り及び不補充を行っていますが、この対応についてどうお考えですか。 加藤 (1)早急に手を打たねばならない問題だと思います。 (2)この問題はひとり中和寮にとどまるものではなく、事務体制の根幹に係わる問題として考えるほかないと思います。 田崎 (1)実状を調査し適切な対応をとりたいと思います。 (2)おそらく、あらゆる手だてをつくした結果、ご指摘のような選択肢しか残されていなかったのだろうと推測しています。 廣本 (1)治安問題は、早急に検討すべき問題であると考えます。 (2)不補充措置は、厳しい財政事情のもとでやむを得なかったものと理解しています。 W 寮問題 3 個別の質問事項 (3)院生寮 (a)東キャンパスの治安問題について、照明増設、警備の質の強化などを行う意志はありますか。 (b)文部省の大学院重点化政策のもとで近年、院生数が激増しており、院生の住環境の整備が必要になっておりますが、将来的に院生独自寮建設に向けて努力する意志はありますか。 加藤 (a)繰り返しになりますが、これからのキャンパスライフでの最大の問題の一つは、治安問題となるでしょう。 (b)「院生独自寮」とは何を意味するのか分かりませんが、院生にかぎらず、学生の厚生施設充実の最大の問題は寮問題でしょう。 田崎 (a) 実状を調査し、適切な対応をとりたいと考えます。 (b) あります。 廣本 (a)治安問題は、早急に検討すべき問題であると考えます。 (b)院生の住環境の整備が必要であることは明らかなので、他の学生寮との関係も含め、問題解決に向けた検討を行う必要があると考えます。 1 副学長制 (a)多くの大学で導入されつつある「副学長制」について、どのように思われますか。また副学長制が導入されるような場合、これが学生生活にどのような影響があると考えますか。 (b)副学長制を導入した大学では、「学生部長」職が廃止され、学生に関する事務が統合されその責任者が事務局長(文部官僚)となっています。このことについてどのように思われますか。 (c)学生部長が廃止されることで学生と大学当局との間の窓口がなくなった大学があります。このことについて、どのように思われますか。 加藤 (a)「副学長」の具体的な役割がどのようなものになるかを別にして、制度自体を論じることはできないと思います。 (b)たとえ副学長制が導入されたとしても、「学生と大学当局との間のパイプ役」として学生部長職が不必要になるとは思えません。 (c)その名称がどうであれ、学生と大学当局との間の窓口がなくなるような事態は、大学としては大変に不幸なことだと思います。 田崎 (a)「副学長制」については勉強不足でよくわかりません。学生諸君の大学・大学院生活に悪影響が出るような導入はすべきでないと思います。 (b)事務組織上はご指摘のようになり、学生部長も現在の学生部長とはよほど違ったものになると思われるので、「学生部長」職の廃止には反対です。 (c)副学長制の導入と窓口の消滅との間に不可分の関係があるとは思えません。また窓口が消滅するような事態はあってはならないことと思います。 廣本 (a)副学長制については、先行他大学の事情を調査して、慎重に検討すべきであると考えます。 (b)(c)「学生部長」職が廃止され、学生との窓口がなくなってしまうとすれば、それは憂慮すべき事態であると思います。 X 文教政策 2 文教予算 (a)文教予算の貧困が、学費問題や教育研究条件の悪化を生んでいることをどのように考えていますか。 加藤 (a)文教予算の充実を切に望みます。 田崎 (a)好ましいことではないと考えています。 廣本 (a)憂慮すべきことであり、教育研究条件の改善に向けてあらゆる努力を行うべきであると考えます。 X 文教政策 3 大学審 (a)大学審議会は、学長などに権限を集中する方向を打ち出していますが、こうした大学運営の集権化についてどう考えますか。また、そのために学長選考に関わる者の絞り込むことを打ち出していますが、これについてどう考えますか。 (b)大学審議会の答申が法制化されることについてどう考えますか。また、法制化に対して大学としてどのように対応していくべきだと考えますか。 加藤 (a)その具体的な形はどうであれ、またそれを「集権化」と呼ぶのが適当かどうかはあれ、今の大学では、事務機構、運営機構の効率化は不可欠だと思います。しかし、それは、大学が高度な生きた組織である以上、それぞれの大学のこれまでの伝統と理念との間に折り合いをつけつつなされるべきものでしょう。そうしなければ、そもそもの目的である、事務機構、運営機構の効率化も軌道に乗らないと思います。 (b)最後に、またまた繰り返すことになりますが、ここで私に求められている答えが、「学生部長」としての対応であるならば、「学生と大学当局との間のパイプ役」として、この点に関して大学の合意形成に一役買う、ということになるでしょう。 田崎 (a)好ましいことではないと考えています。 (b)学生部長として何ができるかについてはわかりません。一大学人としては、大学の自律的な判断が損なわれる危険が生じた場合には、他大学の人々とも連携をとりながら対処すべきであると考えています。 廣本 (a)大学審議会で議論されている大学運営の方式がすべての大学に一律に強制されることは好ましくないと考えます。 (b)国大協等を通じて、大学全体で対応することが必要であると考えます。 |