本ページは三自治会の刊行物「AUTONOMIO」を利用しました。 11月18日に評議会(大学当局)は、学生との合意なしに一方的に学長・学生部長選考規則を改廃しました。つまり、学生・職員の選挙参加権を一方的に廃止したわけです。この選挙制度は、学生・職員・教官みんなが納得して大学づくりをしていく、という一橋大学の自治原則を制度的に支えてきたものです。しかし今回のことで、学長・学生部長選挙がなくなるわけではありません。私たちの選挙権が今後も保障されるかどうかは、学生がこれからねばり強く評議会と交渉していけるかどうかにかかっています。また、現在の交渉は、21世紀の大学のあり方を左右するという意味でも重要です。 そこで一橋大学三自治会は、この12月と来年度夏学期に、何回か全学生が参加できる「討論会」を開催することにしました。この「討論会」は、学生の総意と自治会方針を決定する学生大会と違って、参加した学生が学長選問題の今後について議論・意見交換する場です。こうして「討論会」での議論を積み重ねていき、来年度の学生大会につなげていきます。今回はその第一歩です。当日には分かりやすい資料を配付します。是非、12月14日「討論会」に参加して下さい。 開催日 12月14日(月) 時間 16:30〜 場所 西本館21教室 参加資格 学生全員 論点 学長選問題の今後 (学長選問題に関して自由に論点を出せます) 1 責任を曖昧にしようとする評議会 〜打算ではなく誠意を見せよ〜 11月18日に評議会は、学生の反対の声を無視して、学長・学生部長選考規則(学生・職員参加条項)の廃止を決定しました。これは、学生との団体交渉での合意がなければ同規定を改廃できないとしている「72年確認書」に違反する措置です。「確認書」とは、学生生活のあらゆる領域において学生と大学が結んでいる条約のようなもので、評議会はこのルールに拘束されます。 11/18強行改廃は明らかに確認書違反ですが、評議会はそのことを認めようとしません。責任を認めてしまえば今後交渉しにくくなるとの打算が働いているようですが、学生の選挙権を一方的に改廃しておいて、責任すら認めないという姿勢こそが前向きな対話を阻害しているということに評議会は早く気づくべきです。 2 合意形成ルールの再確認 〜二度と確認書を一方的に破らない約束を〜 今回、とりわけ重要なのは、学内ルール・手続きの再確認という作業です。なぜなら、第一に、11/18強行改廃が確認書を軸とした本学の合意形成ルールを踏みにじる形で行われたことを深刻に受けとめざるを得ないからです。第二に、今後、仮に確認書で制度を維持していくことについて議論になった場合に、確認書がそもそも状況次第で一方的に破られるような代物であったらお話にならないからです。これらの理由から、学生・職員・教官の“合意に基づく”大学運営という本学自治原則を、もう一度具体的なシステムのレベルで確固としたものにする必要があります。 自治システムの再構築には様々なアイデアが必要です。現時点で最も重要な点は、二度と確認書が一方的に破られないようにすることです。確認書の破棄には学生の団交での合意が不可欠であることを改めて明文化する必要があります。また様々な学生参加制度(公開質問状や会合など)のバージョンアップや、予算等に関わる情報公開制度なども必要でしょう。 3 介入を受容するだけでいいのか 〜文部省の介入、独立行政法人化、大学審答申〜 評議会は強行改廃の根拠として、学外情勢の変化をあげています。具体的には、文部省が学長選を理由に予算を盾にとっていること、文部省ににらまれると独立行政法人化されてしまうこと、大学審答申で大学運営を中央集権化する方向性が示され法制化が準備されていることなどです。「だから学長選改廃はやむなし」というわけです。しかし大学がこうした姿勢を続ける限り、文部省の介入によって、学内ルールが際限なく崩されていきます。 問題は、その「学外情勢」に主体的に働きかけをしているかどうかです。評議会は、予算を盾にとるという不正を続けている文部省行政を改革するために、何かしたでしょうか。何もしていません。評議員の中からも問題点が指摘されている独立行政法人化や大学審答申・大学立法に対しても同様です。これでは、いかに学生が学長選問題の今後を議論しても、「そんなことをしたら予算がもらえない」「民営化される」という一言で一蹴されてしまいます。大学が自らの自治に基づいて、社会的責任に基づいて、改善すべき「学外情勢」に主体的に働きかけることこそが、今後の議論をより実のあるものにしていくのです。学生としても「学外情勢」に対する取組みを強化していく必要があります。 4 早すぎる「改廃規則」の施行 評議会は99年3月31日までに学生との合意を目指し、4月1日から改廃規則を施行すると言っていますが、年内に学生大会で合意に至るのは不可能です。学生との合意のないまま「改廃規則」を施行しないことが求められます。 5 「参考投票」は制度とは言えない 〜除斥の拘束力ある選挙制度が不可欠〜 評議会は、規則改廃後の制度のあり方として、「参考投票方式」を提案しています。これは、除斥の拘束力を完全になくしてしまい、投票に示された学生の意思は、ただ「教官の良心」によって「参考」にされるというものです。学生の意思を制度的に反映するという今までの選挙制度から見ると、落ちるところまで落ちたというものです。本学の自治原則では、学生の意見は「述べていい」「参考にする」というレベルではなく、学生の「合意」が重要なのです。除斥が学生の過半数に達したらその候補者が学長になれないという拘束力は、そうした自治原則を最低限のラインで守ってきました。よっぽど問題のある候補でなければ、容易には除斥は成立しないからです。しかしこの拘束力すら奪うというのであれば制度の名に値しません。また、評議会案では大学が選挙に関与する義務についても曖昧です。このような評議会案では合意に至るのは困難でしょう。これについても討論会で議論します。 |