11月14日討論会たたき台

今後の折衝・オルタナティヴにむけて三自治会からの提起―四つの柱

1998年12月14日一橋大学三自治会

はじめに
 11月18日の有権者投票の強行によって、現行学長選考制度は学生・職員との合意なき形で規則・内規から削除されました。これは一橋大学の民主的な運営・自治にとって、大きな後退といわざるをえません。しかし、だからといって、これで全てが無に帰したというわけではありません。長期的には、学長選学生投票制度を規則・内規に戻していく展望が必要ですが、当面、これからの大学自治、それにかかわる自主的な活動や勉学条件を守っていくためにも、より高いレベルで新しい制度を確立し、またそれを補うような積極的なオルタナティブを学生の側から提案していくことが今、求められています。以下に三自治会としてより新しい制度と、それを補うオルタナティブ―四つの柱を提起します。もちろんこれで行く、ときめているわけではなく、学生全体で議論していく上でのたたき台として提起するものです。是非これにたいする積極的な意見を寄せて下さい。


1,「改正」学長選考制度の実質をどこまで高めるか、ということ。

@制度上の問題
 規約・内規からの削除によって、学長選考学生投票は、「確認書方式」まで後退せざるを得ません。しかし、新しい制度の中身については、未だ白紙状態であり、「積極投票形式」「除斥投票形式」のどちらにするかということも、まだ議論できる状態です。しかし、どのような制度にしても、守らなければいけないのは何度も繰り返しになるが以下の二点です。第一に「選考制度に拘束力をもたせる」ことであり、第二に「自主的組織が行うのではなく、当局も関与する形で行うべきである」ということです。
 a)「拘束力」を持たせるためには、学生投票の結果の成立要件を確認書に結ぶ事が必要になると考えられます。具体的には「辞退条項」(注1)が今回入ったので、これまでどおり選挙を行い、結果除籍されたならばその候補者に推薦委員会が辞退をさせるという形にすれば、実質的な拘束力を与えうると考えられます。ちなみに、この「拘束力をもたせる」という観点からすると、「積極投票方式」はこの方式で拘束力を持たせるためには、学長選挙本選挙での教員票に学生票を上乗せするしかなくなるということから、かなり実現が困難になってしまうということを付け加えておきます。
 b)「大学側の関与」については、1)学長選挙管理委員会を教官・学生で組織する2)その他物品等の便宜も図るという従来通りの方式を、確認書で締結すればいいと考えられます。
*こうすると、規則・内規から削除された以外は、実質的に現行制度と全く同じ形式をとるのがいいということになります。


Aその他の問題
 ここでは、学生の制度への関心を高めるためにどのようなオルタナティブが必要かと言うことを書きます。規則・内規から削除されたということは、学生投票を文部省に「隠す」かたちで行わざるを得ないということです。つまり今後学生投票について文部省からクレームがついた場合、規約・内規という根拠をもって行っていくという反論ができなくなるということです。こうなると制度を守りうるのは高い学生の世論とそれを象徴する学長選挙への高投票率を維持していく他ありません。したがってもはや八〇年代のような低投票率では、制度を守っていくことは困難と考えられます。以下に、学生の関心をより高め、より学生が参加しやすくなるような制度を考えます。

A、公開質問状改革

1)公開質問状は従来のように作成する
2)公開質問状を候補者が回答した後に、候補者に対しての公開質問会を必ず行う
3)公開質問状と、公開討論会での発言を含めた形で、それを公式見解として学生に周知する。これによって「一方通行での回答で、曖昧なものになる」ことを防ぐ。
4)以上のプロセスを保障するために、推薦委員会による候補者の確定から、学生投票の期間まで(つまり公示期間)を若干延長する。
5)以上のことを確認書に明記する。

B、他にないでしょうか。


2,確認書の拘束力を強化するために

 今回の有権者投票の強行は、従来からの主張どおり、「学生との合意なき改廃はおこなわない」という72年確認書に明確に違反しています。こうした当局による確認書違反行為は、それにとどまらず、確認書方式の拘束力全体に影響を与えかねないものです。つまり、こうした当局の行動が今後も許されるなら、当局が「正しい」と判断すれば、いつでも確認書を破れることになってしまいます。
 これについては、次回行われるであろう団交で、「今後二度とこうした違反行為は繰り返さない」という確認をとることと、69年3・1確認書などに唱われた三者構成自治に関わる手続き的な、理念的な確認書を再度当局と結び直し、且つレベルアップをはかっていくのがいいと思われます。




3,失われた「権利」を回復していくために、「制度」以外のオルタナティブをどうするか

 この「学長選以外の様々な学内民主化の課題」については、教職員組合も取り組もうとしています。この機会に、学長選以外で一橋の民主的な運営・自治をどう保障し、発展させていくかを考えることが必要です。

Aディスクロージャー
情報開示については、何を要求し、どのような回路をもって要求するのかなど、検討の余地が沢山あります。例えば、大学の予算の公開や、教授会の審議内容の公開などが考えられますが、他にもあると思います。
 
B学生の大学行政への参加
具体的には学生委員会(注2)への参加(参加形態についてはいろいろあり得る)を考えています。カリキュラムの問題や課外活動の問題で、審議の時点から参加し、意見を述べるというのは重要だと思います。


4,独立行政法人化・大学審路線・文部省の予算圧力に反対する運動をどう構築していくか。

 そもそも今回の学長選改廃問題は、学内から沸き上がってきたものではなく、様々な外部からの圧力によってもたらされたものです。今後も一橋の学長選や大学自治を維持・発展させていくためには、こうした外部からの圧力と常に対決していくことが必要と思われます。
@文部省の予算圧力は、これまでも、またこれからも文部省が大学を統制・支配する手段として続いていくと思われます。学長選問題にとどまらず、大学改革や大学自治全般の抑圧なども、この予算圧力を梃子として文部省は攻撃をかけてくるでしょう。こうした圧力に対しては、先ず、大学当局に対して文部省の予算の圧力に対する認識を質し、その圧力に屈しないことを求めていくことが必要です。
A独立行政法人化・エージェンシー化の問題は深刻な事態にいたっています。一方この問題につい評議会も含めた教員・職員・学生の一致がはかれる課題であると思われます。また、大学審路線についても、その評価については評議会内部でも評価の違いがあるようですが、一方で京都大学のように批判的な見解を出しているところもあるので、全学一致しうる展望はあると考えられます。当面、全ての一橋大学の学生・職員・教員がこの問題で一致するための運動を展開していく必要があると考えられます。独立行政法人化・大学審議会路線=大学関連法案に反対する一橋大学の集会・声明を行うために尽力します。




(注釈)

(注1)「辞退条項」とは、11月18日の有権者投票で学長選挙規則に加えられた文言です。すなわち「やむおえない場合には、候補者の辞退を認める」というものです。
(注2)学生委員会規則
第一条 一橋大学に、学生委員会を置く
第二条 委員会は、学生部長を補佐し、次の各号に関する事項を審議し、その運営に当たる
1,入学料、授業料及び寄宿舎の減免等に関すること
2,奨学生に関すること
3,健康管理及び生活相談に関すること
4,学生の試験に関すること
5,自治活動及び課外活動に関すること
6,大学に対する要望に関すること
7,処罰に関すること
8、その他学生部長が必要と認めた事項
第三条 委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織し、学長が任命する
 1,各学部教授会から選出された教官各一人
 2,学部教育委員会から選出された教官二人
 3,教養教育委員会から選出された教官二人
(以下略)

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