音楽の普遍性についての雑感
音楽作品は、記号で表記できる芸術のうち、最も直接的に人の感情を刺激できるものだと思ひます。
彫刻や絵画と違ひ、作者と演者が必ずしも同一ではない再現芸術である点もまた、人によるバイアスがかかつて豊かに成長できる要素になるとも思ひます。
作家が著した文学は読者の、脚本家や戯曲作家が創つた演劇も演出家や役者によるバイアスがかけられますが、特定の話し言葉といふ制約が(ほとんど)ない音楽は、人類規模でさらに普遍的な魅力を内包してゐると思ふのであります。音符や休符を知らず楽譜を読み解くことができなくても音楽は(そこそこ)楽しめますが、文字が読めなかつたり文章を理解できなければ文学作品は楽しめるでせうか。
もちろん音楽も深ひ知識があればないよりは深く味はへますし、文学はともかくも戯曲ならば識字能力は必須ではなくなりますが、敷居が低ひのは、やつぱり音楽だと思ふのです。
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このページは長谷部 宏行(HASEBE, Hiroyuki)からの発信です
2012年1月17日初稿/2022年2月20日一部補筆