ロッカーのハナコさん
 原作はコミックスとのことですが、それが伺へる雰囲気が随所に表はれ、テンポもよく1回15分間のサイズに最適だつたと思ひます。
 社員教育に使へさうな話題も多く、会社や仕事の細かな輪郭には現実感がありました。それでゐて、荒唐無稽な話やたつぷりのボケで笑ひも豊富。さらに、深い人間関係の機微などなど、いろいろなことが出てきましたね。
 それなのに詰め込みすぎの感はありませんでした。原作はよく知らないのですが、演技はもとより、とてもよくできた脚本や演出が、この完成度に大きな貢献をしてゐたのでせうね。本間さんの音楽も絶妙で良かつたし。
 そして、たくさん笑はせてくれたうへに最後はしんみり…と思つたものゝ、個性溢れる皆が輝いたあとに、あの主流の雰囲気が見事に帰つてきたではありませんか。でも、最終週のタイトルの「さよなら」にはきちんと疑問符が付いてゐたんですよね。だから視聴者を騙したことにもならない…。
 あゝ、なんてよくできてゐたんでせう。落ち込まないし、最低限の説明もあつたので引く掛かることもなかつたし。さうした意味で、後味もとつても爽やかでした。
 これからは、録らせていたゞいた6時間分のテープで再び楽しみたいと思ひますが、いつかまた制作・放送されることも、もちろん期待してゐます。
(2002年10月5日、NHKへの投稿「たいへん楽しめました。お見事!」を仮名遣ひを修正して採録)
 後記:『ロッカーのハナコさん』の続編ともいへる『帰ってきたロッカーのハナコさん』が2003年10月から放送されました。
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このページは長谷部 宏行(HASEBE, Hiroyuki)からの発信です
2017年4月9日版
(内容については実質的には2003年10月30日版)