糖質ゼロのビール2大巨頭に思ふ
 糖質ゼロを謳ふビールの2大巨頭はキリンの「一番搾り 糖質ゼロ」とサントリーの「パーフェクトサントリービール」だらう。前者は2020年10月6日、後者は2021年4月13日が初版の発売で、約半年の差はあるが総合的にみてほゞ同時期といつてもよいと思ふ。
 これら2つのビールは、どちらも同じやうな開発期間だつたことがウェブページで明かされてゐるのが興味深い。
 キリンの開発担当(森下あい子氏)は「5年以上の期間を費やし、350回以上もの試験醸造を繰り返した」といひ、サントリーの開発担当(長谷川高政氏)は「350回以上の試験醸造を繰り返し、約6年かかった」といふのである(文章は主旨を変へず編集)。
 この年数と試験醸造の回数の一致は偶然だらうか。両社の情報発信に、実は担当者同士が協同開発してゐたのではないかといつた妄想が膨らむ。
 そして、2022年5月16日、キリンとサントリーは、糖質ゼロビールに関する特許のクロスライセンス契約の締結を発表した。これは、リニューアル後は技術提携といふ形の実質的協同開発といつても過言ではないのではなからうか。
 ちなみに、私は、どちらかといふとパーフェクトサントリービール(2022年1月25日リニューアル発売)の方がコクがあり美味しいと思ふ。なほ、糖質ゼロといふが実は正真正銘のゼロではない。麦芽を使ふ以上いかに製法を工夫しても炭水化物をゼロにすることは不可能で、糖質が100ミリリットルあたり0.5グラム未満であればゼロと謳ふことができる(食品表示法)。

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このページは長谷部 宏行(HASEBE, Hiroyuki)からの発信です
2022年5月29日初稿/2025年10月4,5日改稿