懲りもせずオークションで「へんなの」を落札してしまいました。どうやら「骨董色物改造路線」が完全に定着してしまったようでして、今回のネタはサンプロの迷銃、XP100です。
ボルトアクションのピストルなんて何を考えて作ったのやら?実銃は小動物のハンティングやブルズアイ競技なんかで使われているらしいが、かなりの珍銃。0.17口径の世界最速の弾丸が撃てるというのがウリらしいのですが・・・。実銃でもマイナーな存在なのに、ましてやエアガンでこれをモデルアップして売れる計算があったのだろうか?なぞです。 で、このXP100、トイガンの世界ではある意味において有名な存在です。曰く「史上最強のダメ銃」・・・などというのを聞くとムズムズしてしまう自虐嗜好の変態がここに若干一名。さて、どうするか。 |
このXPおよび旧型M700がいわゆる「ダメ銃」として有名なのには訳があります。アウターバレルの固定がなされていないに等しい、というのがその理由です。それには、写真でもお解りいただけると思いますが、マガジンがチューブ式であることが大きく影響しています。チューブ式そのものは決してマズイ機構ではありません。むしろ、雑な作りのマガジン式よりは信頼性が高いとも思われます。問題なのは、チューブマガジンを採用したことによりアウターの、またはチャンバーをストックとキッチリ結合する箇所が無くなっていることです。ストック内部に先端からチャンバーに至るまでバレルと平行な形でマガジンチューブが入っているので、下からバレルアッセンブリーをがっちり固定することが出来ないのです。XPの場合、ストック先端の白いプラパーツとアウターがイモネジで軽く繋がっているだけです。従って、命中精度を左右するチャンバー&インナーの保持が、プラ製アウターとレシーバーの結合部分に依存していることになる訳です。相当頑丈な一体型レシーバーでない限り、がっちり固定するのは不可能な構造だと言えるでしょう。これだけでも精度向上には致命的なのに、ボルトハンドルやトリガーシステムにもこれでもかというくらいの欠点満載です。ノーマルのままででキチンと当たる個体に遭遇するのは天文学的確率に近いと思われます。うーん、よくこれで製品として出したものだと思わせる作りです。しかしまあ、文句ばかり言ってても始まらないので、基本と財布に忠実にチューンしていきます。
さて、まず最初にやらなければならないのが骨格、つまりアウターとレシーバーの固定です。ノーマルでは下からのネジ一本で止まっているだけなので、力を入れなくてもグーラグラ動きます。そこで、アウターとレシーバーの隙間に0.2mmのプラシートを一周巻き付けてセンター出し、それをさらに上下左右からビスを打って完全に固定します。 次は、インナー&チャンバー周りです。入手したものはかなりの初期型でノンHOPバレルですが、ゲームで使用するにはやはりHOPで飛距離を稼ぐ必要があります。自作固定HOPを作るのは簡単なのですが、手元のジャンクパーツの山を眺めていたら丁度良いものがありました。APS2SV用のノーマルバレルとそれ用のノーマルHOPパッキン(なぜかこういうものがゴロゴロある)。で、これのHOP穴とノズルの位置関係を測ったら、おお、なかなか良い感じ。チャンバーの気密用パッキンをやはりAPS2SV用に交換すると弾の保持位置がピタリとHOP穴の所に来るではないか。というわけで、インナーを5cm程延長したアウターに合わせてカットし、HOPパッキンも0.25弾に合うように削って組み込みます。チャンバーブロックとアウターのセンター出しは薄いプラシートをチャンバーブロックに貼り付けて調整しました。 バレル周りが終わったら今度はシリンダー周辺に手を入れます。シリンダーの内外を一通り研磨して、ヘッドはノーマルをそのまま使用。ピストンはジャンクパーツとして手に入れたM700用ノーマルアルミピストンをボアダウンして使います。ピストンリングは、ノーマルのVリングは抵抗が大きいので、同じくジャンクセットに入っていたエアーアームズ(現PDI)製のYリングを組み込みました。シリンダーボスのガタもチャンバーブロック同様にプラのスペーサーを入れて解消。ノズル位置固定の要、ボルトハンドルには中古ジャンクで複数入手出来たM700用でシリンダーとのガタの一番少ないものを選びました。 |
ハンドガンのままではまるきり使いものにならないし、ピストルグリップは嫌いなので、APS2の新品ストックをオークションで落札。これにオリジナルのストックというかグリップを切断&接着。あとはパテ盛りをして、スプレー吹いて、アラを誤魔化します。
ストックに合わせてトリガーシステムも移動させます。エンドボスブロックにホームセンターで売ってるステー(カラーボックスなんかを補強する金具で4つで80円!)を両サイドから取り付けて、トリガーを装着。シアーバーに、これまたステーを取り付けて、引っ越したトリガーと連動させます。トリガーとシアーの接触位置を調節することで、クソ重いトリガープルを何とか使えるレベルに持っていきます。なお、ボルトハンドルとの位置関係から誤作動しやすいセフティーはキャンセルしました。 初速は、PDI製XB280%SPのギリギリ自由長カットを使用し、0.25バイオ弾でレギュぎりぎりの99m/s。0.25弾を使うには初速が若干高過ぎるようで少し弾道が暴れ気味ですが、30mヘッドショットも何とか狙えるくらいのまとまりはあります。 集弾性はまあ元が元だけにこんなものかなという感じですが、特筆すべきは音です。バレル長とシリンダー容量、ピストンスピードが見事にマッチングしたようで、弾を込めて撃つと銃口からの炸裂音も殆どせず、実に静かです。サイレンサーやソルボセインといった定番の消音加工は一切無しですが、撃たれる方には弾の風切り音しか聞こえないという、非常に怖い仕上がりになりました。トリガープルが良くないし、マガジン式のVショートやAPS2の方がゲームでの使い勝手がよいことから出番はほとんど無くなりましたが、独特の撃ちごたえと発射音が何となく気に入っていて手放せないでいます。 追記:その後、ボルトがゴロゴロあっても使い切れないので、ドナドナしました(w |