MGCルガー10/22シリーズ

今は亡きMGCの傑作、Ruger10/22ブラックパンサー、通称「ブラパン」です。
電動はうるさくて重い、けど単発は・・・という横着モノの欲求を満たしてくれる、数少ないガスセミオートライフルです。
おそらく、サバゲ歴20年以上のベテランゲーマーの方なら誰でも知っている名銃ではないでしょうか。
製造元が消滅してしまったので、現在では入手困難なアイテムになっています。
たまにヤフオクなんかで見かけますが、プレミア価格でとんでもない高値が・・・w

 

このサイトは基本が「ゲーム向けのチューン」ですので、絶版品の歴史を振り返ってもあまり意味はないのですが、最近はこの銃を知らない若い方も増えているのでちょっとおさらい。


手元にある取説によれば、発売開始は1987年の12月となるようです。
フォールディングストックのブラパンから始まり、その後木製ストック仕様のスポーター、スペリオールSSS、H-BARとバリエーションが追加されました。

当時はスナイパーライフルといえば「スーパー9」しかない時代ですので、ダブルアクション・セミオートとはいえ高精度の連射を可能にする唯一の銃としてスナイパー達に愛用されます。

レシーバー上には10mmと20mmのマウントベースがあらかじめモールドされていて、実銃のディティールのこだわらないMGCらしいデザインとなっています。

リキッド・チャージでメーカー出荷時の出力は0.4Jとなっていますが、極悪無音改造されたコイツで痛い思いをした方も多いのではないでしょうか?

本体はABS、組み立てはタッピングピス仕様なので、分解組み立てを頻繁に行うとネジ山がバカになってしまいます。


ノーマルの10/22シリーズに入っているインナーバレルは、外径9mm内径6.7mm全長150mmという代物。高級モデルのスペリオールにはサイクロンバレルなるライフリングが刻まれたルーズバレルの一種も搭載されていたようですが、いずれにしても当然、ノンHOPです。ルーズでショートなバレルの方が弾道への悪影響が少ないという理論は確かに一理ありますが、現代のゲームフィールドではさすがに使いモノにはなりませんね。

基本構造は固定スライドのガスハンドガンと同じです。
トリガーを引くとガスユニットがハンマー起こしながら弾を装填しつつ前進、ラバーチャンバーにBB弾が挿入されたあたりでリリースされたハンマーがバルブを叩いて発射、となります。


電動とは比べものにならないシンプルなメカです。
その分イジり甲斐があります。

 

 

 

以下、泥沼の加工地獄が続きます。
読み進まれる方は、いざ御覚悟を・・・

 

 


つーことで、素浪人の10/22遍歴あれこれ

 

第一世代がこちら。


外装は、ご覧の通り、フラッシュハイダー部分とアウターバレルを加工して自作サプレッサーを装着、スリング・スウィベルをストック左側面に追加したくらいです。
載っているスコープはコニーペンタゴンの3-9*40FF。
マガジンを切り詰めて270蓮ショートタイプにしています。
内部は固定HOP仕様でした。

 

ジャンクパーツの類を集めて組み上げたのが、こちらの第二世代。

狙撃銃はやっぱり曲銃床、というのが個人的な好みなので、ブラパンのストックを改造しました。
知人からタダで譲ってもらった(強奪とも言う)APS-2のストックとブラパンストックの前半分をそれぞれ切断。
上手く噛み合うようにくさび形に整形して、自家製ABSパテで接着。
あとはエポキシパテを盛って削りまくり塗装しました。
灰皿や時計、バイポッドまで装着して、かなり変な銃になっています(汗

 

第三世代もジャンクパーツをかき集めたスポ−ター用木製ストック仕様。


延長ハイダーをつくってmini14風に見えないかなぁ・・・と。
ぶっといグリップ部分をかなり気合いを入れて削り込みました。
グリップ底部にアダプターをねじ込んで、エアタンク運用も可能なようにしていましたが、現場で再充填するのが煩わしいのであまり使いませんでした。

 

第四世代は、第三世代を夜戦用に改良したモノ。


といっても、外観上の変化は、サプレッサーで延長したトレーサーを装備して、電源スィッチを手元に伸ばしただけですがw
レンズの妙に明るいS2Sスコープを載せていました。
この辺りから可変HOP仕様になっていきます。

 

第五世代は、第二世代の進化版。


外装をカモフラ仕様にしてサプレッサーや時計をリニューアル。
可変HOPを搭載し、ストック内部にミニグリーンガスを仕込んでオールシーズン対応にしました。

モノ自体が少なくなり、現在ではそうそう無いことですが、ちょっと前まではジャンクパーツが結構出回っていました。


安く入手しては整備して楽しんで、一通り弄り倒したら新装備調達のために売却、を繰り返すこと、覚えているだけで5丁以上w
最後に売り払った時は「もう充分」と思っていましたが・・・


売った後で「あ〜、こういうやり方もありだな〜」という妄想が毎度のようにムラムラと。
そんな時に、オクで安いジャンクを見つけてしまい、思わず・・・ポチッとな(爆

 

では、チューニングのおさらいを兼ねてレストア作業開始です。

 

 

 

 

 

まずは、HOPバレルの搭載です。


一番簡単なのは、外径9mmのバレルに固定用の溝を切り自作HOPを付ける方法でしょう。
しかし、外径9mmというのはそうそうありませんので、外径8mmのインナーバレル、マルゼンAPS2やサンプロあたりの物を流用し、それに外径9mmの真鍮パイプを被せるのが一番確実ですね。
ノーマルバレル対応のチャンバーは大きく分けて3種類合ったようです。
ノーマルのニトリルゴム製、テフロンなどの樹脂製、そして一部メーカーがバレルとセットで作っていた金属製。
ノーマルタイプのチャンバー利用固定式HOPは、製作が楽で弾道も基本的に安定しています。
ただし、発射の瞬間にBB弾はチャンバー内にあるので、HOP形式としては軽い「つまずき型」になりますので 、トリガーの引き方によっては若干上下に散ります。


ジャンク品のオマケで付いてきたHAC製テフロンチャンバーも試してみましたが、結果は一緒でした。
むしろ、チャンバー入り口のOリングがノーマルノズルにはきつくて、トリガーがガク引き状態になってしまうため、精度はガタ落ちです。


そこで、金属製チャンバーを自作してみました。
結論から言うと、コレは失敗作w
レシーバー内部のガスユニットのがたつきをラバーチャンバーが吸収していたのに、その余地が無くなってノズルとインナー内部がこすれてしまいトリガーがスムーズに動作しませんでした。

 

そんなわけで最終的には、命中精度で定評のあるマルイの可変HOPチャンバーを移植することにしました。
アウターとインナーの隙間には金属や樹脂でスペーサーを入れてセンター出し。さらにレシーバー内部とバレルベースを電動ガン用チャンバーを収められるように削ります。
写真の作例は電動MP5K用可変HOPを利用したモノです。
HOP調整レバーはバレルベースに当たらないようにカットして、滑り止めの細かい溝を付けています。
電動SG550用のチャンバーを移植したモノも製作しましたが、こちらは内部スペースの関係から調整ダイヤルを内蔵出来ないので、レシーバー上部にネジ穴を開けてイモネジ調整式にしていました。
電動ガン用チャンバーの移植により、ほぼ満足すべき集弾性が確保されます。

しかし、「ほぼ」で引き下がれないのがイジリストの悪い癖w
実は、マルイ式とノーマル式の折衷案ではマルイHOPの精度を充分引き出せていないのです。
発射の瞬間までノズルが動き続ける機構ゆえ、バルブインパクトの微妙なずれがHOPパッキンとBB弾の位置関係をずらしてしまい、HOPの掛かり具合に強弱が出てしまいます。
そこで、思い切ってノズル部分から給弾機構も含め丸ごとマルイ式を移植することにします。
ベースは、チャンバーブロックがコンパクトでマガジン挿入口からHOP調整が可能なモノを、ということで電動スコーピオンのチャンバー機構を利用することにしました。

 

マルイから取り寄せて、即組み込み・・・とはいきませんw
インナーバレルの形状が、電動用やVSR用とは違うのです。
左から、普通の電動用、VSR用に加工したモノ、今回加工したモノ、です。
電動コンパクト用のバレルは、パッキン先端が嵌り込む気密用溝と回転止めの左右の切り込みはVSR用と一緒ですが、電動用では真下にあるパッキン回転防止溝が真上に必要になります。
市販カスタムバレルで電動コンパクト用では、最長でも245mm・・・ガス長モノ用としては短すぎます。
仕方ないので、電動用を加工して作りました。
命中精度を左右する部分だけに、加工には随分気を遣いました。
二度とやりたくないですw
レシーバー内部とスコーピオン用チャンバーのバレル固定プレートの高さが、偶然にも一致していました。
素晴らしい・・・
そんなわけで、少々加工すれば、ご覧の通りピタリと組み込めます。

HOPチャンバーの組み込みに成功したら、続いてノズル部分の改造です。
ノズルがノーマルのままでは、発射の瞬間まで動きっぱなしになってしまいます。
それでは命中精度が「そこそこ」止まりになってしまいますから、電動ガン同様に弾をチャンバーに送り込んで静止してから発射出来るようにできないものか、無い知恵を絞りました。
出来上がったのが、電動用ノズルを加工した「フローティング・ノズル」です。
ノズルに入り込むインナー・ノズルはジャンク品の電動用ヘッドから取り外して加工し、ノーマルノズルの位置に固定。
内径がそのままだとガスの流量が多すぎるので、真鍮パイプを積層して内径を3mmに絞り、規制越えしないように出力を調整します。
ノズル本体は、電動AK用システマ製ノズルの弾詰まりクラッシュで先端部分がおシャカになっていたモノを回転させながら切削し、先端部分に真鍮パーツを付けて弾の保持位置を調整しました。
ポイントは、ノズル前後のスプリングです。
前方のSP-Aは給弾位置までノズルを下げる役割、後方のSP-Bはトリガーを引いた時にSP-Aを圧縮してノズル先端をチャンバーパッキンに押しつける役割、をそれぞれ果たします。
力関係は、SP-A<SP-Bとなります。
確実にノズルを後退させながら、トリガープルが変な重さにならないよう、バランスには苦労しました。
この二つのスプリングだけでは弾詰まりなどのトラブルで後退しきれない場合も考えられたので、補助的にトリガースプリングを0.7mmのピアノ線で自作した極々軽いモノに交換してあります。

トリガースプリングの話が出たついでに・・・
チャンバーの加工と同じくらい、あるいはそれ以上に10/22チューンで大切なところがトリガーチューンです。
10/22は、電動やガスブロとは違い、ダブルアクション・トリガーなので、トリガープルが命中精度を大きく左右します。
トリガープルは出来るだけ軽くかつスムーズに、しかもがたつきは最小限に抑える必要があります。
そこで、0.7ミリのピアノ線を曲げてハンマーのスプリングを自作してかなり軽くします。
ハンマースプリングを柔らかくすることによって、トリガーの引き味をかなりマイルドに出来ます。
注意すべきは、トリガースプリングはむやみに手を加えないこと。
トリガースプリングを軽くしすぎるとガスユニットの重さでトリガーが戻り切らなくなることがあります。
私のようにノズル部分にスプリングを組み込むのでない限り、トリガースプリングはノーマルのままでも良いでしょう。
さらに、バルブの解放ストロークを調整するためにハンマーにイモネジを立てて、ファイアリングピンも追加します。
バルブは、ノーマルのベース穴を拡張したものに軸の細いカスタムバルブの本体を組み合わせたものを使っています。
トリガーストロークの調整は、シアーを削ったりせずに、ハンマー左右のシアーを押し下げるピンに真鍮パイプを被せ、その厚さで調整します。
なお、メインユニットから出ているホースは4ミリのままです。
1j未満を前提とする限り4ミリでも大丈夫、というか、精度的にはトリガープルがスムーズな4ミリの方が良いと思います。
かつては、8mmホース仕様とか10mmホース仕様などを見かけましたが、違法な極悪ハイパワー仕様にするのでない限り交換の必要はないと思います。
ノーマルマガジンは諦めて、スコーピオン用のマガジンを利用することにしたので、マガジン・アダプターを自作します。
ノーマル・マガジンから採寸して、てきとーなABS片と電動SIGのノーマルマガジンの残骸を組み合わせ、プラリペアで整形。
マガジンキャッチもスコーピオン用に合わせてプラリペアを盛って整形。
トリガーガード部分にも溝を掘って、スコーピオンマガジンがキッチリ収まるようにします。
マガジンアダプターを組み込むと、こうなります。
ご覧の通り、HOP調整も問題なく行えるようになってます。
ココに嵌め込めるキューブマガジンを作ってみたい・・・
マガジンを装着。
まだ出し入れが固めですが、使っているうちに馴染むのでこんなモノかと。
レシーバーの辺りが金属っぽい光沢を持っているのは、実は塗装です。
喰い付きの良いインディのパーカーシールをベースに吹いて、染めQのギンギラ銀とブラックを吹き付け、ラプラス・ペーパーで研磨。
スチール・ブラックがこすれて地肌が見えるようになった感じに見えません?

 

 

完成。

 

スポーターストックとの組み合わせだと、ノーマルのアウターの寸法がちょっと寸詰まりで好きではありません。
ブラパンストック仕様なら丁度良いんですけどね。
今回は、長めのアウターパレルを組みたかったので、手元にあった各種金属素材で自作しました。
真鍮パイプとアルミパイプの積層で、根元のレシーバーロック部分はプラリペアをキャストして製作。
フロントサイトは、ウィンチェスターに取り付けているXP100用から型取りして、これまたプラリペアでキャスト製作しました。
いかにも「民間のライフル」っぽい仕上がりになりました。
ストックは、グリップ部分を握りやすいように削り込みました。
全体のニスを剥がして、ダークブラウンに染め直し、オイル仕上げにしています。
パワーソースは、お手軽さを生かしたいので、ノーマルのリキッドチャージです。
10/22カスタムといえば、消音タイプが多いのですが、あえてサプレッサーは付けていません。
撃つと、バッカン、バッカンとえらく景気の良い発射音がします。
ゲーム・コスチュームが、猟銃担いだオジサンが紛争に参加、みたいな設定(訳わからんw)なので、こんな感じが似合っているんじゃないかと。
ギリー着て本格的に狙撃がしたかったらエアコキがあるし、バリバリ闘いたい時には電動があるし・・・
普段着姿のお気楽ゲームには、ちょうど良いのではないでしょうか。


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