瀑布をバックに、ポーレット・ゴダードを抱き上げながら二挺拳銃をかまえるゲーリー・クーパーの大看
板が、劇場の正面を覆いつくしていた。もうそれだけで、すっかり興奮し、ロードショウ料金の高さなど
忘れてしまった。広告の文言どおり、豪華絢爛たる一大スペクタル絵巻が息つくヒマもなく展開し、「ま
だ終わるなよ」と必死に祈ったのに、アッというまに二時間半が過ぎてしまった。船上でナイフ投げをし
ながらセリに勝つシーン.森の中の酒場から二挺拳銃かまえながらアビーを救出するシーン。現代のSF
Xも及ばない大瀑布のシーン。砦でインデアンと闘うシーン。バグパイプだけ華やかな死人部隊の救援、
続いて馬小屋での対決シーン。映画雑誌で、「50代に老成したクーパーが演ずるには、児戯に類する」
と書いてあり、腹がたったが、映画を見れば、全編クーパーは颯爽として、追随を許さないものがあった。
最近の映画、ダニエル・デイ・ルイスの「ラスト・オブ・モヒカン」では、「征服されざる人々」ときわ
めて類似する画面があったが、はたして、フィルムの借用があったかどうか、専門家に教えてほしい。
なお、ポーレット・ゴダードはこの映画もよかったが、このあと、この映画より八年前製作の「北西
騎馬警官隊」が公開された。あの混血娘のセクシーさにはまいり、西部劇の禁断の実を食べてしまった
ような気分になった。
[2001年6月10日 18時23分54秒]