作品名: 静かなる対決 - |
西部劇をA級・B級と呼ぶときの判断基準には、スタッフ・キャスト・スケール・製作費等いろいろ ありますが、私はそれらにカメラとお話し(ストーりーとはちょっとニュアンスが違うんですが)を 入れています。この映画の役どころは、B級西部劇の王者R・スコットとしては異色と云えるんじゃ ないかと云う気がします。彼の映画はそんなに観ているわけではないので知った風なことを云える立 場ではないんですが、例えば、タイトルバックの広大な牧場と牛の群れを捉えたロングショットの奥 行きと広がりは「赤い河」の1場面でも見ているような感じでしたし、お話し自体も、スコットと彼 が想いを寄せる酒場の歌姫を、ウェインとA・ディキンソンに置き換えれば「リオ・ブラボー」の姉 妹編になってしまいそうですよね。そう云うところにA級の雰囲気を感じると云うわけなんです。余 りこう云う役ってないんじゃないでしょうか。ただ、この映画のスコットは、ウェインではなく一生 懸命クーパーを演じてるように見えましたがどうでしょうか。ポーカーフェースでユーモラス、ちょ っとはにかんで見せたり、あのいつもキチンとしているテンガロンハットをあみだに被ったりもして ますしね。何と云ってもコスチュームのカッコいいこと。最初登場したときは「真昼の決闘」のクー パーさながらでした(製作年代は逆ですが)。それも3回のお色直しまであるサービス振り。極め付 けはラストの歌姫へのプロポーズですよ。難題がすっかり解決したところで、メイドのエプロンを取 って彼女に着けますよね。「スコット、やれば出来るじゃない」って、観ているこちらも思わずニン マリ、ウェインの「逮捕する」に優るとも劣らない洒落たプロポーズでした。[2007年10月20日 7時39分40秒]
新発売の格安DVDを買って、半世紀ぶりぐらいに再見しました(Abilene Town,'46)。 まだ若くて颯爽としたランドルフ・スコットが見られますね、といってもすでに50才に近かっ たのだけど。 後年の「OK牧場の決闘」や「連発銃は知っている」では妖艶だったロンダ・フレミングも、こ の作品では初々しい娘役です。 鉄火なヒロインのアン・ドボラックは、酒場の舞台の歌と踊りで楽しませてくれます。歌が自前 か吹き替えかは知りませんが。「ドボラック」という名前を「ボザーク」などと表記してあるのを 見ることがありますが、字面からは予想できない読み方ですね。まあ、作曲家のドボルザークの名 前なども似た綴りのようだけど、彼の場合は英字とはちょっと違う珍妙な文字(失礼!)を使うよ うでもあり(チェコ語ですかね)、本当のところ、英米人は彼女の名前を何と発音するんでしょう かね。 七面倒な心理的要素などを持ち込まない古風な西部劇の楽しさに満ちていました。[2005年11月15日 22時43分9秒]