録画しておいた『報復者』を観ました。BS2以前に『復讐の荒野』という題名で放映され
ているんですね。
1972年製作なのに、何故か劇場公開されなかった作品です。マカロニを含め西部劇
そのものが衰退している時期だったので、毛色の変わった西部劇でないと商品価値がない
と判断されたのでしょうかね。
白人に率いられたインディアンによって一家を皆殺しにされた牧場主の、白人ボスへの
復讐を描いていますが、作品そのものは正統派西部劇ですよ。
一家皆殺しのシーンも陰惨な描写ではなく、実にアッサリしています。
この牧場主は南北戦争の元英雄で、指揮官として優秀な人物であることを、本筋に入る
前にさりげなく紹介しており、こうした丁寧な造り方は好感がもてますね。つまり、“何でそう
なるの?”と考えさせるシーンがないんですよ。つねに伏線が張られており、物語に破綻を
きたしません。
だけど、作品的に素晴らしいかというと、首を傾げざるを得ません。それは、演出において
何もかもが平凡だからです。ハッとするような映像表現もなければ、声をあげたくなるような
アクションシーンもありません。シネスコ画面いっぱいに現われたインディアンが攻撃してくる
ラストシーンの迫力のないこと。
ダニエル・マン監督は、この手のアクション映画には向かない監督かもしれませんね。
主人公の牧場主に、ウィリアム・ホールデン。彼の最後の西部劇作品です。
他にアーネスト・ボーグナインやウディ・ストロードが、いい味を出していました。
[2000年11月18日 19時36分2秒]