コメディ・タッチの西部劇は少なくないでしょうが、コメディアンを中心に据えて喜劇として作
った西部劇で思い浮かぶのは、この映画の他は、「腰抜け二挺拳銃」、「凹凸西部の巻」、「底
抜け西部へ行く」、「彼女は二挺拳銃」程度です。
この映画はマルクス3人兄弟出演の1940年作品であり、冒頭に「これは『若者よ、西へ行こ
う』と呼びかけたホレイス・グリーリーに、そう提唱したことを後悔させた3人の男の物語であ
る」というふざけた字幕が出て、あとは、鉄道敷設の利権のかかった土地証書を巡る若いカップ
ルと悪徳有力者との抗争に、兄弟がからむストーリーですが、正直、筋書きなどはどうでもいい
のであって、マルクス兄弟特有の現実離れしたドタバタが笑わせてくれます。
しかし、背景や大道具には、メサそびえ立つ砂漠、6頭立ての駅馬車、騒々しい酒場、インディ
アン部落、弁慶号みたいな汽車、などを抜かりなく配置して、西部劇の雰囲気を盛り上げていま
す。お約束のチコのピアノ演奏、ハーポのハープ演奏のシーンもちゃんと取り入れてあります。
1939年の「駅馬車」、「大平原」の翌年の製作ですが、これら2作品のパロデイと思われる
構成も見られて楽しめます。
[2005年8月17日 14時40分59秒]