ならず者フランク(O・リード)はいつか大きな牧場を手に入れてまっとうな人生を送るようになり
たい」と云う強い願望を抱いており、そのためにはまず字が読めるようになることが必要だと考えて
います。1冊の本を肌身離さず持ち歩きそれを教えてくれる人が現れるのを心待ちにしていた彼は、
たまたま通りかかった町で有力者ルーガー(J・ハックマン)の妻メリッサ(C・バーゲン)を教師
と間違えて誘拐してしまいます。
ルーガーは、ハンティングの旅先で知らせを受け取るや自ら追手となり居合わせた友人達も同行しま
すが、実は、ルーガーは性的不能の劣等感から女性に対しては異常なほどのサディストで、妻は既に
一味に陵辱されているに違いないと決め込んでおり、有力者の自分を侮辱した犯人達ともども皆殺し
にするつもりでいます。
ならず者一味と牧場主一行、遭遇したら誰が見ても勝ち目のない勝負ですが、ルーガー一行は全員
が、獲物に近づくことなく射殺できる射程700mと云う最新鋭のカービン銃を装備しているのがミ
ソ。さながら射的ゲームのような大量殺戮が繰り広げられる中、反駁しながらもフランクの不思議な
魅力に惹かれ始めていたメリッサは、次第にルーガーとの生活では得られなかった悦びに目覚め、愛
し合うようになります。数度の銃撃戦で仲間を失い追い詰められたフランクとメリッサは、カリフォ
ルニアでの新生活に夢を託して、眼前に広がる砂漠へと足を踏み入れます。が、ほどなく馬が倒れ立
ち往生。その瞬間、またもカービン銃が唸りフランクの肩から血飛沫があがります。陽炎の向こうに
現れたルーガーの姿、彼等もまた銃撃戦を繰り返すうちに犠牲者を出して離散し、残ったのは復讐の
執念にとりつかれたルーガーただ1人となっていたのです。近づいてくるルーガーからメリッサを守
ろうとするフランク、ルーガーはわざと急所をはずしながら彼を撃ち続けてなぶり殺にし、残忍にも
メリッサの下腹部を射ち抜きます。妻を誘拐したことで有力者である自分を侮辱したフランクと、彼
を愛したことで夫である自分を侮辱したメリッサに遂に復讐を果たしたルーガーは、2人の死を見届
けると自らもまた力尽き息絶えます。
原題「The Hunting party」、なんとも救いがたい話で終わり方も後味悪いし、はっきり云って無味
乾燥の残酷モノと云うほかありません。監督はD・メドフォード、この映画くらいしか聞いたことあ
りませんネ。状況設定と云い、J・ハックマンの存在感と云い、最新鋭カービン銃の登場と云い、特
にフランクとドク(M・ライアン)の友情が「ワイルド・バンチ」のホールデンとボーグナインを彷
彿とさせるなど、作りようによってはもっとイイ映画になってもおかしくなかったと思いますが、ハ
リウッドがまともな西部劇を作らなくなった時期の、マカロニの悪い影響が如実に現れた1作でしょ
う。それにしても、テンガロンハットがまったく似合わないリードの大頭はM・ブランドの出尻と並
んで西部劇では2度とお目にかかりたくないものの1つですネ。
[2006年7月30日 9時29分49秒]