作品名: コロラドの決闘 -


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お名前: ポルカドット   
 原題「ジャック・スレイド」(1953)で、タイトル・ロールを演じるのはマーク・スティーブンス。
この人の西部劇は珍しいです。物語の始まりは1840年代で、ジャックはまだローティーンの少年で
すが、子供たちの喧嘩を止めに入った大人の男に石をぶっつけ、これが頭に当たって打ち所が悪かった
らしく、男は死んでしまいます。そのため父親はジャックを連れて密かに町を逃げ出すが、乗った駅馬
車が強盗に襲われて父親が殺されるのだから、導入部からして暗い物語です。駅馬車の御者のトム・カー
ター(ハリー・シャノン)がジャックを引き取って育ててくれます。

 成人したジャックは運送会社に雇われて、馬車輸送を護衛する仕事につき、ヴァージニア(ドロシー・
マローン)と結婚もしますが、仕事ぶりは次第に暴力的になり、輸送馬車を襲う無法者たちを容赦なく
射殺したり縛り首にしたりして、人々に疎まれ、恐れられるようになります。無法者兄弟を捕縛しよう
と、彼らの住む小屋を襲った時、実は老トムが兄弟たちに雇われて料理人をやっており、あくどい兄弟
たちはトムを無理矢理に小屋の外に出し、悪党が出てくるのを待ち構えていたジャックが発砲して、育
ての親を撃ち殺すという因果な巡り合わせになります。

 さらに、ジャックは馬を走らせている時に、誤って女の子を蹄にかけて大怪我をさせてしまい、それ
らの出来事に打ちのめされたジャックは、ヴァージニアの願いも空しく酒浸りになって、ついに町民た
ちにジャックをリンチにする動きが出ます、ジャックの雇い主で友人でもあるダン(ポール・ラングト
ン)が、彼を連れ戻して正式の裁判にかけるといってジャックを追いますが、ジャックはこれを拒絶し
てダンと撃ち合いになり、自殺同様の挙動でダンに撃ち殺されます。

 こういうお話ですから、見れば気が滅入ること請け合いです。そういえば「ジャック・スレイド復活
(邦題:拳銃稼業)」なんて作品もあって、ジャック・スレイドという名前は何となく覚えていましたが、
どういう人物かはよく知らず、まあ、ジェシー・ジェイムズや、ダルトン兄弟みたいな無法者だろうと
思っていました。しかしこの映画で見る限りでは、ジャックは強盗を働くような犯罪者ではなく、むし
ろ逆の立場です。荒っぽい西部で無法者たちを相手に、自分も暴力で対抗しているうちに身を滅ぼす男、
というのであり、後年にスティーブ・マクィーンが演じた「トム・ホーン」などに通じる人物像と思い
ます。まあ、ワイヤット・アープのような西部の英雄も、ジャック・スレイドのようなアンチヒーロー
も、その差は紙一重というのかも知れませんね。

 他の出演者では、バートン・マクレーンが運送会社でスレイドの先任の監督のジュールズですが、酒
癖の悪い乱暴者で首になり、以後、スレイドの仇敵になります。卑怯な男で、広場でのジャックと決闘
の折りにひるんだ態度を見せ、立ち去りかけるスレイドの背中を撃って重傷を負わせます。後の方でジュー
ルズは仲間のガンマンと二人、例によって酒場にいるジャックを不意に襲いますが、二人組の後からヴ
ァージニアが酒場に入って来て、小型のデリンジャー銃でガンマンを撃ち、スレイドもジュールズを倒
して窮地を脱します。ドロシー・マローンは沢山の西部劇で見ましたが、人を撃つのを見たのはこれだ
けです。軍隊を除隊したばかりジャックがトムと酒場に来た時、リー・バン・クリーフが酒場にいて、
トムがジャックの早撃ちを自慢するのを耳にして因縁をつけますが、ジャックの腕前を見て尻尾を巻く
ごろつきを演じています。
[2009年1月12日 11時52分3秒]

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