作品名: シャロンの屠殺者 -


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お名前: 44-40   
アンソニー・マンが「ララミーから来た男」の次に撮った作品。シャロン砦を
舞台にした騎兵隊もの。カラー・シネスコ。
一見ジョン・フォードの「アパッチ砦」のように、無知・無理解からインディ
アンを攻め急ぎ功を焦る隊長(ロバート・プレストン)と、彼らに敬意を払い
冷静に反対する将校(ガイ・マディソン)が出てくるが、この映画では主役を
彼らではなく、野山に生きる猟師(ビクター・マチュア)にしたところが新しい。
彼は自分たちが野蛮人だと恥じており、文明の象徴として騎兵隊の青い制服
に憧れるが、いざスカウトとして砦に雇われて中に入ってみると、本当に野蛮
なのはどちらなのか疑問を抱き始める…

「アパッチ砦」は結局サーズデイ中佐一人のせいにしてしまったが(それさえ
最後にウェインの台詞で救われる―まあこれがこの映画の魅力のひとつだが)、
この映画は騎兵隊ごと疑問符を付け、その背後にあるキリスト教にまで疑いの
目を向ける。55年のハリウッド作品にしちゃあすげえなと思ったら、やはり
フィリップ・ヨーダンが脚本にかかわっていた。赤狩りの標的にされた脚本家
たちを擁護し、ひそかに名前を貸していたという人物だ(「無頼の群」も彼による)。

果たしてインディアンに対する攻撃は行われ、騎兵隊はまったく敗北し多くの
死傷者が出るが、マチュアの捨て身の活躍で多くの兵士が救われる。最後は
その野蛮人の彼が青い制服を着て、全隊に「Dismiss(解散)!」という号令をかけ
るところで終わる。ここは少しコミカルに撮られているが、そのぶん落ちはむ
しろキツい。

粗野でおおらかな猟師を演じるマチュアの熱演と、戦いを焦るプレストンの
抑制が効いた演技がうまく対比されている。両者ともとても好演。他の出演は
マチュアが恋する隊長の妻にアン・バンクロフト、猟師仲間にジェームズ・
ホイットモアなど。
[2005年9月26日 15時50分45秒]

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