作品名: Ride Lonesome -


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お名前: クインキャノン   
 ランドルフ・スコット主演、バッド・ベティカー監督の第六作。年嵩の賞金稼ぎと若い無法者の反目
と共感を濃密に描いているよ。賞金稼ぎのベン・ブリゲイド(スコット)は、若い人殺しのビリー・ジョ
ン(ジェームズ・ベスト)を捕らえて、彼を指名手配してるサンタ・クルスの町に連行しようとする。
捕まる前にビリーは、回りの丘にいる仲間に、このことを兄のフランクに知らせろ、って大声でいう。
フランクは名うての無法者さ。

 サンタ・クルスに向かうブリゲイドとビリーは、駅馬車中継所で二人の無法者のサム・ブーン(パー
ネル・ロバーツ)とホイットに出会うけど、そこへ、駅長の妻のキャリー・レインが銃を持って現れて、
彼らに出て行けっていうよ。駅長は印度人に追い散らされた馬を集めに出て不在さ。ブーンは、自分た
ちの狙いは駅馬車強盗じゃなくビリーだっていう。誰であれビリーを捕らえてお上に突き出せば、それ
までの罪を特赦されるってのさ。ブーンは、この先真っ当な暮らしをしたいんだね。彼らは五人でサン
タ・クルスを目指す。

 印度人の一隊が現れて、酋長がキャリーを妻に欲しいから馬一頭と交換しようっていうけど、出され
た馬がキャリーの行方不明の夫の馬だったんで、キャリーが悲鳴を上げて破談さ。出発する一行を印度
人たちが襲い、突進して来た酋長をキャリーが銃で撃って、印度人は逃げ散る。まあ、男を殺して奪っ
た馬で、殺した男の女房を手に入れようなんて横着な了見じゃ、酋長は撃ち殺されても仕方ないね。

 ブーンが、ビリーを渡してくれれば賞金は譲るっていうけど、ブリゲイドは応じない。ブーンは、ブ
リゲイドを殺してでもビリーを手に入れたい一心だっていう。お尋ね者の護送を悪党仲間が追い、その
追跡を振り切って目的地に着けるか、ってのが興味の的なのとは、この映画はどうも違うんだね。ブリ
ゲイドは急ぐでもなく、野営した形跡を隠そうともしねえよ。

 翌日はフランクが追いついて対決になるだろうって前夜、一行は不吉な縛り首の木のある河原で野営
する。ブリゲイドは木を見つめながら、キャリーに、自分の狙いとそのわけを打ち明ける。立ち聞きした
ブーンが、ブリゲイドとフランクの対決の時、援護すると申し出るけど、ブリゲイドはそれでも何も変
わらないぞ、っていうのさ。翌日、宿命の対決で、ブリゲイドはフランクを倒し、ブーンとホイットが
フランクの仲間を追っ払う。だけど、その直後、ブリゲイドはブーンに、「俺とやってビリーを手に入
れてみろ!」って挑発するよ。ブーンは驚きながらも、ブリゲイドに向き合って身構える...。
 
 魅力的なパーネル・ロバーツがスコットと四つに組むねえ。あっしゃ、この人は、多分これしか見て
ねえけど、彼はハリウッドにゃ容れられなくて、テレビが主な活動場所だったようだね。ブーンにべっ
たりの相棒のホイットは、新人のジェイムズ・コバーン。善悪どっち側に落ちるか危うい狭間にいるよ
うな若者さ。フランクはお馴染みリー・バン・クリーフで、いつもみてえな三下じゃねえよ。姿を見せ
るのは後半で、出演時間はあまり長くねえけど、全編を重い陰で覆うカリスマ的な凶漢さ。この作品での
実績が、後年のモーティマー大佐や主役につながったんだろうなって思うよ。「七人の無頼漢」や「反
撃の銃弾」じゃ、主人公と対立する大物悪党はリー・マービンやリチャード・ブーン一人だったけど、
ここじゃロバーツが良い・悪い奴、クリーフが悪い・悪い奴って役割分担だね。

 クリーフやコバーンはその後スターになり、年を加え、そして逝っちまった。監督夫人でキャリー役
のカレン・スチールは、ラナウン・シリーズじゃほとんど永遠の女性か女神の域だって思うけど、彼女
もすでに亡く、ロバーツやベストも今じゃ老境だね。本当に諸行無常だよ。だけど、若い彼らが紡ぐ西
部の物語はフィルムに焼き付いてて、こうして後年見ることができる。有り難いね。
[2006年7月30日 21時4分14秒]

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