作品名: 夕陽に向かって走れ - |
正直云ってこの種の映画はよくわかりません。「なら書くな!」と云われそうですが、西部劇ファン にはシンプルな人が多いので、案外私と同じ人もいるかナと思って代表のつもりで書きました。こう 云うの迂闊に「判らない」って云えないんですヨ、馬鹿にされちゃいそうで。 「ニューシネマ的傾向?」どころじゃないですよ、どっぷりじゃないですか。何か監督がマッカーシ ーのお陰でずっと雌伏していた人なんでしょ。公開される前から既に名作でしたよ、当時。 レッドフォードの正確良くない保安官、(クーパーっていいましたっけ)何でこんな役演るのかと思 いました。確かに、映像とそれにも優るキャサリン・ロスの清純な美しさは特筆ものです。ちょっと ないですね。 でも傑作と云うものは、「これこれこうだから傑作」じゃなくて「傑作だから傑作」なんですよネ、 やっぱり。そこはよく判ります。[2006年5月14日 16時11分46秒]
エイブラハム・ポロンスキーの傑作。なんといっても美しい西部劇だ。 物語には少々青春映画的というか、ニューシネマ的傾向があるが、 まるで溝口健二のような流麗な映像処理が魅力。 後のイーストウッドはリメイクではないが、この追跡劇の魅力を「ガントレット」 で過激に継承し、バフステイア・フドイザナーロフが撮った「少年機関車に乗る」は ポロンスキー的な西部劇の運動性に満ちていた。これらはリメイクでも ウエスタンでもないが、この傑作の濃度を継承している作品はこれらと ヴェンダースの「さすらい」や「ことの次第」しか見当たらないのである。 後はさらにこの作品の美点を過激に疾走したようなチミノの「心の指紋」があるくらいか。[2002年1月6日 17時9分13秒]