映画が終わって画面が暗くなり延々と字が流れ出すと皆ぞろぞろ帰り始めるのが普通ですよね。最近
はそれほどでもありませんが、この頃がまた最高に長かったですからね。なんでも「ラストマン・ス
タンディング」などB・ウィリスが着けてた特殊ホルスターを考案した人の名前まで出てたらしいで
すからね、最後まで席についてる人なんかいませんよネ。
でもこの映画は違ってました。誰一人として席を立とうとしないんですよ。私も余りの感動にボーゼ
ン、暫くは口もきけないほどでした。ラストで仲間を助けるために去っていくコスナーに「風になび
く髪」が叫びますね。「俺はいつまでもお前の友達だ」久々に背骨までジーンと来ましたよ。狼もま
た我々の涙を誘うのに一役かっていました。アメリカ映画ってなんであんなに動物の使い方が旨いん
でしょうかね。
メイキングを観ると、G・グリーン等はスー族の言葉で行こうと云うコスナーの主張に最初は反対し
てるんですね、リスクが大きいと。でもあれが英語だったら…なんて考えられませんヨ。兵隊に拷問
を受けたコスナーが「俺は”狼と踊る男だ”お前たちに話すことは何もない」と敢えてスー族の言葉
で云いますよね。英語だったらあのシーンがないわけですからね。
「自分と仲のいいインデァンだけ救えばいいのか」とか「スー族に銃を渡してポウニー族を虐殺して
いる自己矛盾の映画」などと云う批判的な意見もありましたが、私はそう云う穿った見方は大嫌いで
す。作ってる側の意図がそもそもそうでないんですから、ここは素直に感動してればいいと思います
ね。聞けばコスナー監督、手直しに継ぐ手直しで大幅に遅れた脚本の完成を待ちきれずに撮影に入っ
ちゃったそうですが、恐らく彼の頭の中にはすべてのカットが既にインプットされていたんでしょう。
その後永らく駄作と云っていいような映画が続きましたが、「ワイルドレンジ−最後の銃撃−」でよ
うやくコスナーらしさが甦りました。やっぱり西部劇好きなんですねー。今後に期待しましょう。
それにしても「44−40」さんの一言、素晴らしいです。
[2006年10月9日 15時13分21秒]