作品名: Gunfighters -


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お名前: クインキャノン   
 1947年のコロンビア作品でシネカラー。ランドルフ・スコットのゼーン・グレイ・シリーズの最終作。
H・ハサウエイ監督でなく、ジョージ・ワグナー監督だけど。拳銃名人のブラゾース・ケイン(スコット)
は、彼を倒して名を上げようって連中に狙われ、開巻、友達にまで挑まれて、やむなく彼を撃つけどそれき
り銃を置き、旧友のボブと一緒に働こうって彼がいるインスキップ牧場に向かう。

 ところが牧場に着いた時、丁度ボブが殺されてるんだよ。実はこの地方の大牧場主のバナーが、他の牧場
を根絶やしにして王国を築こうってんで、配下のブルース・キャボットやフォレスト・タッカーなんて札付
きどもにやらせたのさ。バナーには双子の娘がいて、ジェイン(ドロシー・ハート)はいい娘でブラゾース
に想いを寄せ、ベス(バーバラ・ブリトン)は少しばかり性悪でキャボットと恋仲だよ。

 ブラゾースは、若い牧童のジョニーに撃ち方を教えるけど、自分は丸腰だね。だけど、牧場主の老インス
キップがタッカーに殺されるに及んで、インスキップのガンベルトを身につける。保安官事務所でグラント・
ウィザースの悪保安官補の手足を撃ち抜いて、ボブ殺しやインスキップ殺しがバナー牧場の仕業だって白状
させる場面は、スコットにゃ珍しく残酷で非情だけど、殺すか殺されるかって状況だから仕方ないね。ブラ
ゾースはバナー牧場に乗り込み、抜き合わせの果たし合いで、タッカー、キャボットと続け様に倒す。ベス
がブラゾースに向けて発砲したのが、ブラゾースの背後で銃を握っていた父親の肩を撃ち抜いちまう。土地
から出ようと馬を進めるブラゾースは、途中で二挺拳銃の弾帯を道ばたに捨てるけど、そこへ馬上のジェイ
ンが現れて寄り添い、一緒に新しい生活へと旅立つのさ。

 小説の原題は「Twin Sombreros」だそうで、確かにいろんなものが対で登場するよ。いい牧場主のインス
キップと悪牧場主のバナー。グラント・ウィザースが悪保安官補で、チャールズ・ケンパーが侠気のある保
安官。おまけに悪牧場主のバナーの娘が双子とくるんだから。姉妹を演じる女優さん二人が、本当によく似
てるんで、あっしみてえに外人さんの顔の見分けが苦手な人間は苦労するよ。あっしだけじゃねえ。当のス
コットも劇中で取り違えてたし、アメリカ人の観客も混乱したらしいね。

 拳銃名人が銃に嫌気がさして捨てたがる、とか、銃を捨てた主人公が、やむを得ずまた銃を取る、っての
は西部劇の重要テーマの一つだね。「拳銃無宿」のJ・ウェインは幕切れで銃を捨て、「拳銃王」のG・ペッ
クは銃を捨てようとして果たさず、「許されざる者」のC・イーストウッドは銃を捨てた人間がまた銃を取
るお話だったけど、誰もそんな役を繰り返しては演らねえんじゃねえかな。してみると、この役柄は俳優一
代に一度かも知れないね。スコットに取っちゃこれがそうなんだよ。きっと。

 主人公と殴り合うのはグラント・ウィザースで、この人は戦後のリパブリック西部劇にゃほとんど出ずっ
ぱりだったけど、スコットとの共演はこれだけだね。存在感のある人だけど伊達な雰囲気に欠けるんで、主
役ヒーローにゃ向かないんだね。だけど、若い時、ロレッタ・ヤングと駆け落ちしたそうだから大したもん
じゃねえか。こりゃ立派な勲章だよ。

 この写真、興行成績はよくなかったらしいね。双子の姉妹がいたりしてややこしいからかな。だけど、ス
コット作品にももっと不出来なのはあるし、あっしは結構楽しんだよ。昔、西部劇全盛の頃、輸入、公開さ
れてりゃよかったのに、って思うね。
[2007年6月9日 20時33分50秒]

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