作品名: スプリングフィールド銃 - |
この映画が「凡作」だとはまったく思わない。どうにもなんとも作り事っぽい 「真昼の決闘」の直後に公開されたことばかりが、この映画の評価を下げてい るわけではないだろう。いつまでも「荒野の決闘」や「シェーン」ばかりにほだ されていては、西部劇の面白さ、ジャンルの奥の深さ、その可能性の多くを 見逃すと思う。 潜入スパイ、アンダーカヴァー・エイジェント、一見西部劇にそぐわなさそ うな題材を果敢に取り上げながら、見事に西部劇として仕上げている。まさ に「敵か見方かカウボーイ」。ゲイリー・クーパーが結局どういう立場なのか、 映画の中盤までわからない。誰が本当の敵なのか見方なのか、話のクライマ ックスまでわからない。この宙ぶらりんのサスペンスが「正統派西部劇ファン」 には心地が良くないのだろう。 ハンガリー人監督のアンドレ・ド・トスも、時として邪魔くさい東欧的諧謔 趣味を一切廃し、すべての無駄と淀みを切り捨てた、直截的でスピード感あ ふれるストーリンテリングで、どんどん映画を進めてゆく。脚本は練り上げ られており、緩急もうまくついている。そして何より西部劇に欠かせない、 撃ち合い、殴り合い、取っ組み合い、疾走する馬、縛り首の台までも、たっ ぷり盛り込んだ93分。単なる娯楽活劇としても充分堪能できる。[2008年4月27日 15時15分50秒]
案山子さん、「西部のガンベルト」で早速ボルカドットさんがトス監督のことを詳細に紹介してくだ さってますネ。このサイトのホント良さですヨネ。 この映画は洋画劇場全盛前のTVで繰り返し放映されましたが、監督の名前がアメリカっぽくなかっ たことと、余り面白くなかったことしか憶えてません。ただ、その後トスの作品は何本か見ました が、多作にも拘わらず概ね面白い、所謂職人監督と云う印象です。 一番面白かったのは、J・パランスが泥鰌ひげをつけてモンゴルのオゴタイ・ハーンを演った「蒙古 の嵐」、西部劇ではないんですヨ。オールラウンドプライヤーだったんですね。でもパランス、「征 服者」の我がウエインよりさまになってました。セクシー美女A・エクバーグとの共演でしたが、な んと「映画鑑賞」の授業で学校から見に行ったんですから進んでたでしょ。 先日ペックの「拳銃王」を見ていたら「From a Story by ××× and Andre de toth」と出たので ビックリ!こう云う作品も入れると相当な数になるんじゃないでしょうか。精力的だったんですね。[2006年5月20日 8時31分5秒]
輸送中の軍馬を南軍に奪われる事件が相次ぎ、主人公のG・クーパーは北軍内部に 輸送計画を漏らしているのではないかと疑う。 自ら臆病者の汚名を来て、軍隊を追われ、民間人となって捜査に当たる。 軍隊を追われるのも捜査に当たるためのもの。 シャツの背中に臆病者の印としてペンキでバツを塗られ、砦の門の外に追い出される シーンがあった。軍馬の輸送計画を漏らしていたのは上官である砦の司令官(まだ 見ていない人にネタを明かしてもいいのかな)。 題名のスプリングフィールド銃は連発銃で、少人数で南軍と戦う時に威力を発揮する。 最後はその上官を岩山に追い詰め、倒してしまう。 1952年作品。監督はアンドレ・ド・トス(知らない)。 「真昼の決闘」の後に公開されたため、見劣りがはなはだしく、興業的には失敗したとか。[2006年5月15日 23時53分35秒]