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お名前: グリーンベイ
鳴海先生・・・お早う御座います。
返信有り難う。良く分かりました。断片的な此方の記述を、おまとめを頂き有り難う。日本人には
余り理解できないホモセクシャル。そう言えば、欧米では日常的な事象として問題化している様子を
伝えられますネ。そうした視点で考えてみると、あの映画も、この作品もと思い当たる多くの監督の
名前が浮かんできます・・・。よくよく考えてみるとホークスもそうかなと考えられなくもない。
「赤い河」のダンスンとガーシュ、この作品のデイーキンスとコデル、そして、「リオ・ブラボー」、
「エレ・ドラド」、「リオ・ロボ」までが、ウエインと格相棒がそんな風に見えてきたりも致します。
(笑)・・・馬鹿なと怒られるかな・・・。またご指導下さい。
[2002年3月25日 7時11分46秒]
お名前: 鳴海昌平
>グリーンベイさん、どうも早合点して解釈してしまい、
失礼致しました。今、「ハワード・ホークスを語る」
久方ぶりに読み返しております。でもどうなんでしょうね。
映画見てると無意識的にそのように描写してしまってる
感じが強くしますが、フランス人からすると、
このかってのハリウッドの無意識的な部分に
強い興味があるのでしょうね。
僕もそういうとこに興味ある方ですが(苦笑)・・・。
たとえばフランスでは「恐怖の報酬」って
ホモセクシャル映画っていう言われ方が強いってのも
ありますが、男同士の友情って、ホモセクシュアルの
一歩手前に近いかもしれないですからね。
特にホークスは、前にも書きましたが、
似たような稀有な職人肌のプロ的な男同士が
お互い似たものを感じあって、惹かれていく
という関係が出てくるので、「それは恋愛そっくりだ」と
見る人がいても不思議じゃないかもしれないですね。
フランス人がかっての任侠映画とか見たら、
やっぱり「男が男に惚れる」なんてのはそう見てるのかも、ですね。
北野武の新作「BROTHER]とか言われてそうですね。
50年代のハリウッド映画だとサミュエル・フラーの
「東京暗黒街 竹の家」はホモ的な男の三角関係を描いたと、
フラー本人が言ってますね。
フラーは異常心理映画が多く、精神病院も描けば、
ロリコンも描いてるし、この人はかなり意識的ですね。
かってのハリウッド映画はそういうちょっと異様な部分を、
結構無意識的に露出させてしまってるところが、
今だに色褪せない面白さの要なのかもしれないですね。
まだまだ語り得ぬ部分が一杯残っていて。
それとヌーヴェルヴァーグの評価の仕方のその内実自体が、
実はまだ全然一般的には流通してないところもあって、
「ヌーヴェルヴァーグが評価した」っていう映画史的事実だけが
流通してるだけみたいな感じもあって、
「カイエ」派とかヌーヴェルヴァーグ系はひたすらホークスの
あの語り口と、機械的なまでに合理的な簡潔さを言いますよね。
ジョン・フォードもドイツ人のヴイム・ヴェンダースが凄く愛してますよね。
彼はフォード映画の美しさって点に大きな興味があるようですね。
最近では日本の若い映画監督がサム・ペキンパーにすごく影響されてますよね。
篠崎誠は「忘れられぬ人々」で「昼下がりの決闘」に、
黒沢清は「ニンゲン合格」で「ケーブルホーグのバラード」にと、
異国の人間がそれまでの評価と全然違う点に注目して違う映画が出来ていく
っていうのは面白いですね。ホークスもとても多様性のある映画を作っていた
人なので、今でも下手なハリウッドの新作より面白いのかもしれないですね。
長々と失礼しました。
[2002年3月25日 1時42分9秒]
お名前: グリーンベイ
鳴海先生・・・今日は。前回のホモセクシャリテイ・・・について、私の問いかけの真意が、伝わら
なかったようですネ。ホークスがそうではなく、監督が映画で扱う二人の男が、そのように窺えるの
ではと言う意味です。舌足らずで済みません。それには、ホークスが「君たち(フランス人)は、
私の映画でホモセクシャルのカップルを描いていると考えているんだろう。皆笑った。「君たちは
だいたいそうやって解釈するんだ」。だが、君たちはそうしたものを研究するのが大好きなんだ。
私より私の映画を良く知っている。そこで、インタビュアーは「貴方の映画の男の登場人物たちは
ホモセクシャリテイーめいている、ということにたいしてどう思います・・・。と続くのです。
ジョゼフ・マグブライト著「監督ハワード・ホークス映画を語る」より・・・・。
[2002年3月24日 15時58分20秒]
お名前: 鳴海昌平
グリーンベイさん、ご返信ありがとうございます。
いやー、そっちの気はあったんでしょうかねえ・・。
ホークスさんってすごい女好きだった聞きますし、
伝記読んだ印象では、昔オートレーサーやってたりと、
体育会系の酒と女が好きな野球の監督みたいな人で
球団側(映画会社)には妥協しない、反権力的で気骨で
頑固な職人さんって感じ、だけど孤高の芸術家的な感じ
じゃなく、親分肌の現場監督って感じらしいのですね。
だから頑固な職人同士の男の友情を描くと、お互いを理解
し合う、しかもお前じゃなきゃダメだっていう友情になるので
男の恋愛にも見えないこともないですね。
ただバイセクシャルの人って、こういう人を統率したがる人
に多いってのは聞いた事ありますね。あっちの世界ではなよなよ
してて男に走るタイプと、いわゆる男らしすぎて情けない男見てると
手ほどきしたくなるので男に走るタイプがいるそうですが、
ホークスは男優も女優も人を操るのが巧みな人だったそうで、後者の
可能性あり????いえ、いえあくまで想像ですよ。(笑)
で僕の勝手な妄想的想像ではアンソニー・マンは前者だったのかなと・・・。
マン監督ってきっと繊細で男らしいタイプじゃないから、
Jスチュワートのように無骨とは正反対のタイプの人間を主人公の
西部劇がハマったのかな・・・と。とても荒くれ者が多くて、繊細すぎて
生きていけない人間を主役にして、ミルク奢られたり、最後に女の前で
泣いたりって描写もちゃんとあるのは、マンの西部劇って「俺は繊細で
男らしく荒くれ者になって生きられないんだよ」っていう心の叫びの西部劇
なのかなと、思ったりもします。マン映画ってその荒くれた世界で生きる
繊細な人間っていう描写が特徴的ですし。ホークスとマンって、
ホモセクシュアル的には反対のタイプかもしれませんね。
[2002年3月24日 13時52分49秒]
お名前: グリーンベイ
鳴海昌平さん・・・お久しぶりです。ホークス作品に対するご指摘ご尤もです。ホークス監督が
あるインタビューで、あなたと他の監督達がアメリカで評価されるのに、これほどの時間がかかった
のは何故ですか?。・・・「大きなスタジオ郡があって、私たちが有名になることは、望まれていな
かった。そうなることが金がかかるからだ」と。「事実、私の作品を、良いところがあると最初に考え
てくれたのがフランス人だし、自然に、私は彼らが好きになった」と。
鳴海先生・・・それから「ある批評で述べられている通り、貴方の映画の男の登場人物たちがホモセク
シャリテイーめいている。と言うことに対して、何かを感じておられますか・・・?。この「果てしな
き蒼空」の二人の主人公も考えれば、そうした思想が隠し味になっているとも考えられなくもない?・
如何でしょうか・・・。
ワード・ボンドさん・・・私も、「スクリーン」も「キネ旬」さえ購読していません。仰る通りの理由
からです。ポスター集とか特別企画の別冊とかは買い求めてますが・・・。映画も新作系は、うちの
「名画鑑賞会」でリクエストでもない限り積極的には見ていません・・・。やはりクラシカルな名画を
主体に再見している状態です。
[2002年3月23日 23時32分26秒]
お名前: 鳴海昌平
皆さんの素晴らしい博識とご意見、ありがたく拝読させて戴きました。
ホークスって、原作の件ともうひとつ、やはりヌーヴェルヴァーグの作家たちのホークス賛っていうのが大きく影響している点もあるようです。「カイエ デュ シネマ」の伝統が神通力を発揮しているというか・・・。特に西部劇の名作もですが、スクリューボールコメデイの「赤ちゃん教育」や「男性の好きなスポーツ」、「僕は戦争花嫁」、「ヒズ ガール フライデー」「モンキービジネス」辺りなんかもあちらで人気や評価が高いようですね。確かにルビッチやスタージェスとはまた違った面白さがありますね。特にそのホークスの簡潔な語り口や無駄のない描写が評価されてるようですね。
[2002年3月23日 16時54分14秒]
お名前: ワード・ボンド
グリーンベイさん、いつもながら興味深いお話、ありがとうございます。
ホークスとフランス映画人との関係は、そういう裏話があったんですね。
なるほど!よく分かりました。
そんな経過を経て「リオ・ブラボー」が製作されたと思うと、なお一層
味わい深いですね。
話は変わりますが、「キネ旬」はともかく、最近の映画雑誌は読みごたえ
が無いと思いませんか?確かにカラフルで体裁はよくなりましたけどね…。
私達の少年時代と違い、いろんなメディアが混在していますので、雑誌の
相対的な位置付けが下がったんでしょうね。
[2002年3月23日 16時23分50秒]
お名前: グリーンベイ
ワード・ボンドさん・・・ホークスのフランスでの評価について、先に、この作品を通して物語が
フランス人の一団と、主人公が旅をすることからフランス的雰囲気・・・とカキコしましたが、一寸
ニュアンスが違っています。ホークスは「ピラミッド」(55)の大失敗をやらかします。会社に
153万ドルもの赤字を負わせます。そんなことで、もう、立ち上がれないほどのダメージを負い
以後、4年間もの間、フランスに渡り映画作りを停止します。この間、フランスでは、シネマニアック
達が、「ホークスは偉大な芸術家」、「ホークスの天才」とか持ち上げた論文が発表され、特に
ゴダールは「紳士は金髪が好き」が公開されると、熱にうかされたような紹介文を発表、トリフオー
も「プロフエッショナルの秘密・・知識人・・ハワード・ホークス」と題した論文を映画誌に発表し
ている。ですからヨーロッパでの4年間と云うものは居心地の良いものであったようです・・・。
そして帰国、ウエインと組んで「リオ・ブラボー」(59)の製作に入る訳です
[2002年3月22日 22時10分0秒]
お名前: グリーンベイ
ワード・ボンドさん・・・グリーンベイです。私も先生と同じで、「スクリーン」と「キネ旬」を
むさぼり読んだ記憶、そして、当田舎町、淀長さんが喧伝した全国区の洋画専門館「グリーンハウス」
の発行したプログラムが手元にありますので、懐かしく捲りながらカキコしています。この作品は
53年7月12日〜17日まで、タイロン・パワーの「荒野の襲撃」と二本立てで上映されました。
ま、こんな具合な訳です。先生がご指摘のハワード・ホークスの女優の扱い方が特別のように感じ
ますよネ。例えば、「ピラミッド」のジョーン・コリンズ、「リオ・ブラボー」のデイッキンスン、
「ハタリ」のエリザ・マルテイネッリ、「リオ・ロボ」のジェニフアー・オニールとか、また「紳士
は金髪がお好き」では、ジェーン・ラッセル、モンローまで使っています。やはり、相当、お好きな
ようですネ。実生活でも三回の結婚歴があるが、なんと第三夫人は、彼が56才の時、新婦デイー・
ハートフオードは26才でした。祝福に駆けつけた息子と娘のバーバラは新婦とは、兄弟の様だった
のです。そう言えば、娘のバーバラは「果てしなき蒼空」にインデアン役出ていますね。
[2002年3月22日 21時13分40秒]
お名前: ワード・ボンド
ノスタル爺さん、グリーンベイさん、レスありがとうございます!
いつもながら、お二人の豊富な知識と含蓄のあるコメントに感謝致します。
私は、どの作品についても、小中学生の頃に観た記憶と、その頃、貪るよう
に読んでいた「スクリーン」誌の記事の記憶しかありません。
従って、非常に断片的な知識しか持ち合わせていませんが、お二人を始め、
このBBSの参加者の皆様のお話をお聞きしますと、私の抜け落ちている部
分が見事に埋まり、「な〜るほど!そういうことだったのか!」と思わせら
れることが度々です。
正直言いまして、ハワード・ホークスについても、フィルム・ノワールの走
り的な存在で、フランス人には評価されていることは知っていましたが、な
ぜそんなに評価が高いのかがわかりませんでした。最近、世間一般の高い評
価と、私自身の評価のギャップを埋めるべく、彼の作品を見直す作業を始め
ましたが、まだ完全に理解できるところまでは行っていません。
例えば、ジョン・フォードは、良きにつけ、悪しきにつけ、アイリッシュの
意識や価値観といったものを感じさせますが、ホークスには、そんなものは
感じません。また、女性の描き方は、例えば「三つ数えろ」のローレン・バ
コールやドロシー・マローンなどのようにセクシーでチャーミングな描き方
は明らかにフォードとは違います。まだこんな、表面的なことしか理解でき
ていませんが、これからもできるだけ多くの作品を観て、ホークスを極めた
いと思っていますので、引き続きご指導方よろしくお願い致します。
[2002年3月20日 10時53分11秒]
お名前: グリーンベイ
ワード・ボンドさん、ノスタル爺さん・・・お久しぶりです。この作品「果てしなき蒼空」(52)
「ザ・ビッグ・スカイ」原題について、お二方の寸評のご指摘の二三について、記憶に浮かぶ事柄を
カキコします・・・。
ホークスのフランス人の感性についてですが・・・この作品は、A・B・ガスリー・ジュニアーの
小説の映画化ですネ。1830年代、ミズーリ河をセントルイスからモンタナまで遡行した西部開拓
初期の毛皮目的の狩猟の冒険の旅と、一行のうち二人の男のその後の日々を描いた大河小説で、二人
は、フランス人の一団に加わって、川上を目指す平底の川船マンタン号に乗り込んでの物語展開です
からフランス人の匂いが自然と醸し出したものと推察できます・・・・。
この作品は、当初、RKOでもホークスの大作を欲しくて堪らなかったし、ホークスもまた、「赤い河」
で得た実績と評価を再度、この作品で得ることが出来ると考えていた。またこの作品の出来不出来は
キャステングに負うところが多かったようです。 そこで、K・ダグラスの収まるまで
ホークスは以下のような取り合わせを考えている。
クーパーとアーサー・ケネデイ、ミッチャムとマーロン・ブランド、ミッチャムとC・ヘストン、
クーパーとM・クリフト、ブランドとクリフト、だが、M・ブランドは出演料が12・5万千ドルで
ホークスは腹立ち紛れに、大スターは不要で無名の役者で撮ると発表した。・・・興行的にも評判も
失敗作となったが、そもそも、二人の主人公を、M・ブランドとR・ミッチャムを起用しておったら
全く違ったものとなっていたに違いないと言われている・・・。
エリザベス・スレットですが、共演のカーク・ダグラスと懇ろになり、両人のお暑い関係は撮影が終
わっても暫く続き、「地上より永久に」(53)の売春婦役にスクリーンテストを受けたが、ドナ・
リードに破れて映画界から姿を消すことになったとか・・・。以上、トッド・マッカーシ著「ハワード
・ホークス」より・・・・。
[2002年3月19日 0時7分36秒]
お名前: ノスタル爺
URL
この作品は、ホークス西部劇の中でも目立ちませんね。(笑)
私は、フォード・タッチの美しい映像で好きなのですが……
カーク・ダグラスは、ホークスの求めたイメージとはかなり違っていたようです。
ホークスは当初、ジョン・ウェインとロバート・ミッチャムで考えていたのに、二人の
都合がつかず、カーク・ダグラスとデューイ・マーチンになりました。
私のお気に入りは、インディアン娘役のエリザベス・スレット。(笑)
彼女はインディアンの血をひいていて(父親はチェロキー・インディアンとの混血)、
エキゾチックなところがあるでしょう。
モデルが本職だったので、お芝居の方は……(笑)
[2002年3月17日 13時50分36秒]
お名前: ワード・ボンド
このハワード・ホークス作品はまだ書き込み無かったですよね!?
先日、NHKのBS2でフランソワ・トリュフォーの「アメリカの夜」が放映されていま
したので、久しぶりに観ました。トリュフォーを始め、フランスの映像作家にはホークス
信奉者が多いと聞きますが、この「アメリカの夜」の中でも、ホークスに関する書籍が、
小道具として使われていました。ついホークスの作品群を思い浮かべましたが、その中で
この「果てしなき蒼空」が、このBBSで書き込まれてなかったのでは・・・と思いつい
た次第です。
1952年製作で、撮影がラッセル・ハーラン、音楽はディミトリ・ティオムキンという
「赤い河」や「リオ・ブラボー」と同様、おなじみのスタッフが顔を揃えています。
ホークス作品の中では、それほど評価は高くないようですが、私は、カーク・ダグラスが
出演しているということもあって、この作品のノンビリとした雰囲気が好きです。
それにしても、ジョン・フォードよりもホークスというフランス人の感性が、私には興味
深いですね。
[2002年3月16日 14時43分36秒]
※この作品についての発言をどうぞ。
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