作品名: RIDE IN THE WHIRLWIND -


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お名前: ウエイン命   
INDEXは何故か原題になっていますが、ほぼ直訳ながら「旋風の中に馬を進めろ」と云うカッコ
イイ邦題があります。「ニコルソン製作・主演、ヘルマン監督」は以前ご紹介した「銃撃」のコンビ
ですが、こちらの方が2年ほど前に作られています。「マパッチ」さんのご紹介通りC・ミッチェル
等の共演に加えて、「銃撃」と同じくM・パーキンスが出ています。
3人連れのカウボーイが旅の途中、5人の胡散臭い男達が住むあばら家に一晩厄介になります。と云
っても、夕食を貰って近くで野宿しただけなんですが、翌朝「お前たちは包囲された、銃を捨てて出
て来い」との大声で眼を覚ますことに。実は、5人組は駅馬車強盗を働いて自警団に追われているお
尋ね者だったと云うわけで、当然3人は一味と見做されて、投降を拒む5人組と一緒に追手の一斉射
撃を浴びる羽目になります。以降の展開に期待を持たせるなかなかのオープニングです。捕まって吊
るされるのは時間の問題と、3人はその場からの脱出を図ります。1人は射殺され、残った2人のう
ちニコルソンが足を負傷しますが何とか逃げ切り、とある農家に転がり込みます。そこには老夫婦と
美しい娘(パーキンス)がいますが、2人は空腹を満たしたら馬を頂戴して立ち去る気でいます(も
ともと無法者ではないですからね)。しかし、一息つく暇もなく、5人組のうち3人を射殺、投降し
た2人を吊るし首にした後ニコルソン達を捜索していた追手に発見されてしまいます。再び逃げよう
とした時、今度はミッチェルが射たれて落馬しますが、ニコルソンに助けられ、今度も危機一髪、辛
くも脱出に成功します。2人乗りでは追いつかれるのは時間の問題と判断したミッチェルは、自ら馬
を降りると岩陰に隠れ、ニコルソンのために追手を食い止めようと最後の力を振り絞って奮戦します
が、所詮は多勢に無勢、あえなく射殺されてしまいます。オープニングからここまでは、テンポも悪
くなく飽きさせません。が、問題はこの後なんですよ。ミッチェルがやられると、ニコルソンが馬を
飛ばして逃げているカットに変わるんですよ。観ている側とすれば「さあ、これからニコルソンの方
に話が移って…、どうなるんだろう」と思うじゃないですか。ところが、急に画面が変わって「CA
ST」なんて流れ始めるものですから一瞬何が起こったのかと思いましたが、終わっちゃったんです
よ、ここで。さては「DISK2」があるのかと思っても見ましたが、そうではなくホントに終わり
でした。主演のニコルソンに話しが移るところでね。
別のサイトでこの映画のユーザーコメントを覗いて見ると、「傑作だ」と云うご意見にの中にも「話
が途中で終わっている」とありましたね。ヘルマンと云う監督を理解していらっしゃる「通」の方が
そうおっしゃてるんですから安心しましたが、傑作かどうかは私には分かりません。パーキンスなん
かも出てるだけで特に何の役割も果たしてないように見えますし、私などから見ると、この2年後に
製作された「銃撃」の試作品のような感じすらしましたね。
ミッチェルがニコルソンと別れるシーンなどは黙っていても泣けるシチュエーションですが、そもそ
も作る側に観る側を泣かせようとする意図がないんでしょうネ。「三人の名付親」でP・アルメンダ
リスがウェインと分かれる時に「メリー・クリスマス」と云うシーン、泣きましたよね。ああ云う情
感が全然感じられないんですよ。「イージー・ライダー」と同列のアメリカン・ニューシネマと云う
ことになるんでしょうか。とすると、テーマは「若者の死を如何に描くか」ですか。考えて見ると、
アメリカン・ニューシネマと呼ばれた作品の支持層は、私のような団塊の世代より4〜5歳下の、所
謂「ちょっとしらけた世代」(失礼)ではなかったかと思います。従来の西部劇とは勿論違ってロマ
ンや郷愁とは無縁の世界、かと云って例えば最近のW・ヒル作品のように徹底的にリアリズムを追及
したものとも違ってますしね。M・ヘルマンと云う監督、難解と云う解説に納得いたしました。
[2007年12月31日 19時25分6秒]

お名前: マパッチ   
モンテ・ヘルマンが監督した「静かなるカウボーイ」物。
60年代西部劇にありがちな世代交代ものでもあり、何でもかんでも縛り首にしようとするアメリ
カの小社会を皮肉ったような雰囲気もありました。キャメロン・ミッチェルの老カウボーイがカッ
コ良くて、まだ若い頃のジャック・ニコルソンを叱りつけるラストはジーンときます。意外なとこ
ろでは、まだ無名時代のハリー・ディーン・スタントンが片目の駅馬車強盗役で登場。今までの彼
には見られなかった骨太な役柄ですけど、縛り首になっちゃうあたりでやっぱり情けなさが滲み
出ていました。
[2003年3月2日 13時35分42秒]

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