作品名: ブラックストーンの決闘 -


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お名前: ポルカドット   
 1948年のレイ・エンライト監督作品、原題は「Return of the Bad Men」。無法者名士が勢揃いの「群
盗の町」が好評だったのを受けて作られた同系列の作品で、これも当たったようです。物語の関連は全
然ありませんけどね。いかにも1940年代の正統派通俗西部劇って感じです。

 ブラックストーンはオクラホマ準州の「Braxton」であって、別に「黒石宿」ではありません。政府
所有の町で、1889年、ランドラッシュを目前に閉鎖されることになっています。お馴染みのギャビ
ー・ヘイズがこの町の銀行家。彼の娘で美人のマッジ(ジャクリーン・ホワイト)は未亡人で、10才
ぐらいの息子のジョニーがおり、彼女と婚約しているのが元テキサス警備隊員で牧場主のヴァンス・コ
ーデル(ランドルフ・スコット)です。

 ランドラッシュに加わろうと大勢の入植者がブラクストンに集まり、それにつれて無法者たちもやっ
て来ます。ビル・ドゥーリン、ヤンガー兄弟、ダルトン兄弟、サンダンス・キッド、ワイルド・ビル・
イェーガー、アーカンソー・キッド、など、有名無名の無法者の連合です。ビリー・ザ・キッドや、ビ
ル・ドゥーリンの姪っ子のシャイアンという女無法者までいて、ヘイズの銀行がこの連中に襲われます。
「この年代にビリー・ザ・キッドがいたのか?」なんていうのは野暮です。

 トム・タイラーやレックス・バーカーといった連中が無法者役で、「拳銃街道」で酒場の歌姫だった
アン・ジェフリーズが、今度はガンベルトに鍔広帽で馬を駆るシャイアン役。しかし、彼女は途中で更
生し、以後はガンベルトをやめてドレス姿で町の判事の許で働き、ヴァンスを挟んでマッジとの間に三
角関係めいた緊張も生まれます。ヴァンスは、駐屯騎兵隊の引き上げに当たって、軍の大佐から、新し
く生まれたガスリーの町の保安官になるよう頼まれ、辞退しているところへ強盗団に襲われた駅馬車が
辛くも帰り着き、それを見て保安官を引き受けます。マッジは保安官だった前の夫が殉職して未亡人に
なったのであり、ヴァンスの保安官就任に複雑な気持ちを抱きます。

 ロバート・ライアンのサンダンス・キッドはロバート・レッドフォードが扮したような愛嬌者でな
く、仲間だろうと邪魔になれば平気で殺す冷血漢です。また、この作品より15年ほど前に、南洋の島
へ行ってキング・コングを捕まえて来たロバート・アームストロングは、ここではビル・ドゥーリン役
で、サンダンス・キッドとは対照的に考え深い初老の無法者を演じて味があります。

 人々をガスリーに移住させる最終列車が出たあと、ブラクストンがゴーストタウンになり、広場を風
転草が転がっているのが印象的です。無法者一味がこのゴーストタウンを根城にして、ある夜、荒れた
サルーンでダンス・パーティを催して浮かれている中で、ドゥーリンは「何かおかしい」予感を覚えて
います。果たせるかな、連邦保安官になったヴァンスの率いる追っ手が急襲して銃撃戦になりますが、
無法者たちは夜陰に乗じて逃れ、ドゥーリンだけが投降します。後日、サンダンス・キッドと仲間はガ
スリーの町に潜入し、シャイアンにドゥーリンの移送の日を教えるよう迫った挙げ句、声を上げそうに
なったシャイアンを、あろうことかキッドが絞め殺してしまいます。

 美人のアン・ジェフリーズは、スコットとの共演は「拳銃街道」とこの作品の二つだけだけれど、「拳
銃街道」では悪党に背中を撃たれて死に、この映画ではロバート・ライアンに絞め殺されるのだからご
難続きですが、映画の製作から60年後の今日、彼女だけがご存命で、今でも元気に映画出演なんかし
ているようであり結構なことです。

 サンダンス・キッドを追ってゴーストタウンのブラクストンに向かうヴァンスが、シャイアンの短銃
を携えるのは、トランパスとの決闘にスティーブの銃を持って赴くヴァージニアンの心意気ですね。
[2008年5月26日 21時40分59秒]

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